過去に投稿した「お酒ネタ」の続きになってしまいました。
恐らく前作を読まなくても問題のない内容になっていると思います。
❏設定❏
・彰人と冬弥が成人を迎えている(大学生?)
・二人は高校生の時から付き合っている
・二人の身長差は十センチ以上開いている
❏本文❏
彰人:冬弥が一人暮らしをしているマンションに到着すると、チャイムを鳴らしてドアを開ける
彰人「邪魔するぞ」
冬弥「ああ、いらっしゃい」
冬弥:微笑みを浮かべながら彰人を出迎える
冬弥「彰人、その手に持っている物は、もしかして……酒か?」
彰人「おう、お前から連絡が入ってることに気がついたのが、バイトが終わった後だったからな。手土産を買っていこうにも、夜中じゃ開いてる店なんてコンビニかスーパーくらいだろ。それなら、前に話してた宅飲みでもするかと思って沢山買ってきた」
冬弥「わざわざ手土産を用意してくれた気遣いには感謝するが、その……大丈夫、なのか。数日前に居酒屋で初めての酒を飲んだ時は、すぐに酔い潰れていただろう……」
彰人「ああ、そうだったな……で、誰かさんにホテルに連れ込まれて、寝てる間に犯られちまうくらいには隙だらけになっちまったんだから、そりゃ心配にもなるよな」
冬弥「うっ……」
彰人「バカ、冗談だっての……そんな顔すんなよ」
冬弥「彰人……」
冬弥:あからさまにホッとした表情を浮かべる
彰人「それじゃ、人生二度目の乾杯でもするか」
冬弥「ああ」
彰人・冬弥:袋の中から適当な缶を一本ずつ手に取ると、蓋を開けて缶同士を重ね合わせる
~数分後~
冬弥「彰人、大丈夫か……」
彰人「……」
彰人:ぐでんぐでんに酔っぱらった状態で、テーブルに突っ伏している
冬弥「あまり無理はするなと言っただろう……彰人、起きてくれ」
冬弥:ゆさゆさと彰人の体を揺らす
彰人「う、ん……もう飲めねえから、パス……」
彰人:パシッと冬弥の手を払いのける
冬弥「……」
冬弥(まるで、あの日の再現映像を見ているかのようだな……)
冬弥:心中でそう呟いた後にハッと目を見開くと、過去の会話を思い出す
彰人『酒はもうこりごりだって言いたいところだが、また飲もうな。今度はオレかお前の家で』
冬弥『ああ、その時は自制するように気をつける』
彰人『いや、どうせ無理だろ』
冬弥「……」
冬弥(これは、あの時の反省を生かすチャンスなのでは……それに、どうせ無理だと言い放った彰人に、俺が自制できることを証明するチャンスでもある……)
冬弥:意を決したような表情を浮かべる
冬弥「もう飲めないのは、見れば分かる。どうせ寝るなら、寝室で……」
冬弥:もう一度、彰人の体をゆさゆさと揺らす
彰人「だーかーら、のめねえって……おれのはなし、ちゃんときいてんのかよ、とーや……」
彰人:再び冬弥の手を払いのけながら机に突っ伏していた顔を上げると、ほんのりと赤く染まった顔を冬弥に向け、とろんとした表情を浮かべながら冬弥の顔をじっと睨みつける
冬弥「俺は彰人を寝室に連れて行こうとしただけで、酒を飲ませようとはしていない……話を聞いていないのは、彰人のほうなのだが……」
冬弥(先ほどから全くと言っていいほど視点が定まっていないし、どこかぼんやりとしているな……それに、目元は潤み、頬も赤く染まっている……その上、普段の彰人からは想像できないほど発言内容があやふやで、呂律も回っていない……)
冬弥「……」
彰人「――……? とー、や……?」
彰人:ぼんやりとした表情で小首を傾げる
冬弥:思わずといった様子でごくりと生唾を飲み込むも、すぐにハッと目を見開くと同時に、膝の上で握った拳にグッと力を込める
冬弥(あ、危うく、自制という二文字を忘れるところだった……)
冬弥:冷や汗を垂らしながら心中でそう呟くも、すぐに冷静さを取り戻したかと思うと、まるで幼子をあやすような優しい手つきで彰人の頭をぽんぽんと撫でる
冬弥「彰人、今度こそ寝室に連れて行くから、俺の肩に掴まってくれないだろうか……あの時のように、またお姫様抱っこをされるのは嫌だろう?」
彰人「――……?」
冬弥「……」
彰人:ぼんやりとした表情を浮かべたまま、こてんと小首を傾げている
冬弥:隙だらけな彰人の姿を見ているうちに、焦りと不安が芽生えはじめる
冬弥(いつか、彰人が俺以外の誰かと酒を飲みに行くと言いだしたら、その時は全力で阻止しなければいけないな……少し飲んだくらいでこの有様では、確実にその誰かに犯されてしまうだろう……)
彰人:自分以外の全人類が恋人を襲う危険人物にでも見えているのか、悶々とした表情を浮かべている冬弥が変な想像を膨らませはじめたことには気付くことなく、突然冬弥の首に腕をまわしたかと思うと、至近距離から冬弥の顔をじっと見つめはじめる
冬弥「――……? 彰人、一体どうし……」
彰人:冬弥が喋り終わるのを待たずに、冬弥の唇にキスをする
冬弥「――――…………っ!?」
彰人「ん、う……っ、とー、やあ……っ、は、あ……っ、ん……」
冬弥「――――~~~~っ!!」
冬弥:本能に命じられるままに彰人の腰を抱き寄せそうになるも、すぐに自制の二文字が脳裏をよぎると同時にお互いの体を引き剥がす
彰人「――……?」
彰人:不思議そうな表情を浮かべながら、再びこてんと小首を傾げる
冬弥「――……っ、彰人! 先ほどから、寝室に連れて行くと……」
彰人「――……、……」
彰人:冬弥の言葉が耳に入っていないのか、もう一度仕切り直そうとするような雰囲気で冬弥の首に腕をまわすと、強引に冬弥の唇を奪ってキスをする
冬弥「――――~~~~っ! 彰人、駄目だ……!」
彰人「――……、……」