❏設定❏
・とくになし
❏本文❏
彰人「お前な、いつまでもビクビクしてんなよ」
寧々「……っ!」
寧々:彰人から指摘された直後に、びくりと肩を揺らす
彰人「……」
彰人(出会ったばかりの頃のこはねを思い出すな……)
彰人「人見知りなのは分かるが、冬弥とは普通に話してるだろ」
寧々「そ、それは……」
彰人「……」
彰人:決して目を合わせることなく、うろうろと視線をさまよわせはじめた寧々を見て、表情を引きつらせる
彰人(これじゃ、苛めてるみたいじゃねえか……)
彰人「まあ、第一印象が悪かったのは認めるが……」
彰人:こはねがファンフェスタに参加することになり、みのりや一歌も交えて一緒に合同練習をした時に軽く睨みつけてしまったことを思い出しながら、体裁悪そうに後頭部をかく
寧々「……っ! そ、そんなことは……」
彰人「あるだろ、正直に言え」
寧々「……うっ、す、少しは……」
彰人「そうか」
彰人:寧々が正直に話してくれたことを嬉しく思い、微笑みを浮かべる
寧々「あ……」
寧々(やっぱり、どこからどう見ても怖い人にしか見えないけど……いい人、なんだよね……)
寧々:彰人に対する第一印象が悪かったことを認める返答をしたにも関わらず、怒ることなく笑顔を浮かべた彰人に驚きながら、そんなことを考える
彰人「今さら反省しても遅いだろうが、今後のためにオレの第一印象がどんなだったか聞いてもいいか?」
寧々「え……」
彰人「絶対に怒らねえから、正直に言ってくれて構わねえよ」
寧々「ほ、本当に?」
彰人「ああ」
寧々:彰人の様子を伺うように上目遣いで見つめるも、絶対に怒らないという言葉を信じると、意を決したように恐る恐る口を開く
寧々「に、二重人格の人だって思ってた……」
彰人「あ?」
寧々「……っ!!」
彰人:予想外の言葉を耳にして、無意識のうちに寧々を睨みつける
寧々:絶対に怒らないって言ったのにと思いながら、キョロキョロと隠れる場所を探す
彰人「おい、いくらキョロキョロしたところで隠れる場所なんかねえぞ」
寧々「うっ……」
彰人:すっかりと怯えきった様子の寧々を見て、再び体裁悪そうな表情を浮かべる
彰人「悪かった、絶対に怒らねえって言ったのに……」
寧々「……! あ、ううん……わ、わたしも……すぐにビクビクしちゃって、ごめん……」
彰人・寧々:お互いに少しだけ距離が縮まったような感触を覚えつつ、ぎこちない微笑みを浮かべる
~終~