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    @t_utumiiiii

    @t_utumiiiii

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    @t_utumiiiii

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    一枚の広告「フレディ・ライリーは不良債権処理及び買収のプロとして、あなたのビジネスと成功のために尽力します。」/フレディ・ライリーがマーシャ・ベイカーに出会わず敏腕弁護士として活躍しているifルート 工場長のレオと時々レオの経営に口を出すマーシャ、明るく元気な一人娘のリサ(少女たちの確執衣装をイメージ)

    頼れるビジネスパートナー(弁護士遡及妄想時空のマーシャとリサ) 戦争が終結してからというもの、国際欄には和平の記事が目立ち、多少の小競り合いはあっても、少なくとも本土やそれに近い場所で「ライフルが飛ぶように売れる事態」には、およそ発展しそうにもない状況を報じる朝刊を見るにつけ、マーシャは自分の判断――そして、自分の説得を受け入れてくれた夫の寛容さ――に、心から安心するのだった。
     今も縫製工場を営み、余裕があるという程ではないものの、慎ましくも楽しい暮らしを維持するには十分な、そこそこの稼ぎを得ている彼女の夫・レオは、いっとき縫製業界での熾烈な競争にうんざりしたのか、或いは、当時まだ小さかった娘を抱え、先行きの不透明な縫製業界よりは、もっと「割のいい儲け」を得るべきだと、彼なりに使命感に駆られでもしたのか、その頃には業界外でも「奇跡」ともてはやされた軍需工場の購入、そして軍需産業への転身に関心を示していたのだ。その時の夫の浮かれようといったら無くて、明日にでも契約書にサインをしかねない勢いがあったところ、彼は寸でのところで落ち着きを取り戻したのか、「戦争が終わったらライフルなんて見向きもされませんけれど、人々が服を買わなくなることはないでしょう」という、マーシャが再三繰り返してきた説得を聞き入れ、奇跡の軍需工場の買収を取りやめ、渋々ながら縫製業界に留まることにした。それが今から、だいたい七年ぐらい前のことだ。もしあそこで判断を誤っていたら、夫を説得することができなかったら、私達は今頃、どうなっていたのだろう……。マーシャはそのことを考えるにつけ、背筋がぞっと竦む程だった。

     紙面の一角を埋める弁護士事務所の広告――「フレディ・ライリーは不良債権処理及び買収のプロとして、あなたのビジネスと成功のために尽力します。」――には特別目を留めないまま、ふうとため息を吐きながらマーシャは新聞を畳んだ。それを見計らったように掛けられた「何か面白いことが書いてあったの?」という娘の声に、朝食後職場へ向かう夫を見送ってから、部屋には誰もいないつもりだったマーシャは、明るいブラウンの目を丸くしながら顔を上げる。
     そして、ブルーの手袋を嵌めた両手でテーブルに頬杖をついて、フリルをあしらわれた揃いのブルーのスカートと真っ白いパニエを揺らし、よそいきの青いエナメル靴を履いた足をぶらぶらとぶらつかせながら、いかにも退屈を持て余した具合に座っているリサを見つけると「……リサ、お行儀が悪いわよ」と、自分も紡績工場を営む夫の読み物である新聞を盗み読んでいた――とはいえ、工場長を務めるレオは何かと「現場主義」なところがあり、新聞に書き並べられる社会の動向を把握することをあまり重視しないため、もっぱら、テーブルの上に置き去りにされる朝刊をマーシャは読んでいるのだが――こともあってか、少々気まずげに目を伏せながら窘めた。
    「だって、退屈なんだもの!」
     よそいきのロイヤルブルーのボンネット帽を被ったリサは、この前の冬に彼女が迎えた14歳の誕生日に、マーシャから贈られた白粉(性格はあくまで理性的で、慎み深い傾向のあるマーシャは、愛娘を目の前に、はっきりそう言ったりはしないものの、その可愛らしく丸い頬に点々と浮かぶそばかすを見るにつけ、レオに連れられて外を活発に駆け回る幼い娘を止めなかった自分の判断を常々悔やんでいた)を薄く叩いた頬をぷく、と膨らませながら言った。
    「今日はピクニックの予定だったのに、外はあんな天気でお庭にも出られないし、お父さんはさっさとお仕事に行っちゃうし、お母さんはずうっと、新聞(それ)とにらめっこでしょう?」
     この頃工場の数を増やしたレオは確かに仕事に掛かり切りになっており、子供が寝る時間を過ぎてから帰ってくることも珍しくはなかった。愛する父とのお出かけの機会を待ちわびた娘が、ピクニックに持っていくバスケットに詰めるサンドイッチやマフィンのレシピをマーシャに聞いたり、家事手伝いのローズに聞いたり、当日のバスケットに敷く布地の四隅に綺麗な刺繍を縫い取ったりと、随分楽しみにしていたことは、マーシャもよく知っていた。
     しかしそれにしたって今日の天気はひどいもので、黒ずんだ雲から垂れ流される季節外れの大粒の雨は窓や屋根をひっきりなしに叩き、外気はまるで暦が一ヶ月前に引き戻されたかのように冷え冷えとして、リビングルームの暖炉にも、数週間ぶりに火が入れられていた。
     天気をどうにかすることはできないとはいえ、それでも面白くない気持ちを隠しきれない様子で、不満げに唇を尖らせながらぷいとそっぽを向き、可愛らしく拗ねている娘に、マーシャが思わず頬を緩ませながら「少し早いけど、お茶にしましょうか?」と言うと、リサは相変わらず面白くない気分ながらに心惹かれたようで、ぷうと膨らせていた頬を少し萎めながら、母親の方におずおずと向き直った。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE公共マップ泥庭

    ※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定
    一曲分(泥庭) 大勢の招待客(サバイバー)を招待し、顔も見せずに長らく荘園に閉じ込めている張本人であるのだが、その荘園主の計らいとして時折門戸を開く公共マップと言う場所は、所謂試合のためのマップを流用した娯楽用のマップであり、そのマップの中にもハンターは現れるが、それらと遭遇したところで、普段の試合のように、氷でできた手で心臓をきつく握られるような不愉快な緊張が走ることもないし、向こうは向こうで、例のような攻撃を加えてくることはない。
     日々試合の再現と荘園との往復ばかりで、およそ気晴らしらしいものに飢えているサバイバーは、思い思いにそのマップを利用していた――期間中頻繁に繰り出して、支度されている様々な娯楽を熱狂的に楽しむものもいれば、電飾で彩られたそれを一頻り見回してから、もう十分とそれきり全く足を運ばないものもいる。荘園に囚われたサバイバーの一人であるピアソンは、公共マップの利用に伴うタスク報酬と、そこで提供される無料の飲食を目当てに時折足を運ぶ程度だった。無論気が向けば、そのマップで提供される他の娯楽に興じることもあったが、公共マップ内に設けられた大きな目玉の一つであるダンスホールに、彼が敢えて足を踏み入れることは殆どなかった。当然二人一組になって踊る社交ダンスのエリアは、二人一組でなければ立ち入ることもできないからである。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE※日記のないキャラクターの言動を背景推理等から捏造
    ※捏造荘園設定

    マーサが香水使ってたらエブリンさん超怒りそう みたいな
    嫌いなもの:全ての香水の匂い(広義のウィラマサでエブマサ) チェス盤から逃れることを望んだ駒であった彼女は、空を飛び立つことを夢見た鷹の姿に身を包んでこの荘園を訪れ、その結果、煉獄のようなこの荘園に囚われることとなった。そこにあったのは、天国というにはあまりに苦痛が多く、しかし地獄というにはどうにも生ぬるい生活の繰り返しである。命を懸けた試合の末に絶命しようとも、次の瞬間には、荘園に用意された、自分の部屋の中に戻される――繰り返される試合の再現、訪れ続ける招待客(サバイバー)、未だに姿を見せない荘園主、荘園主からの通知を時折伝えに来る仮面の〝女〟(ナイチンゲールと名乗る〝それ〟は、一見して、特に上半身は女性の形を取ってはいるものの、鳥籠を模したスカートの骨組みの下には猛禽類の脚があり、常に嘴の付いた仮面で顔を隠している。招待客の殆どは、彼女のそれを「悪趣味な仮装」だと思って真剣に見ていなかったが、彼女には、それがメイクの類等ではないことがわかっていた。)――彼女はその内に、現状について生真面目に考えることを止め、考え方を変えることにした。考えてみれば、この荘園に囚われていることで、少なくとも、あのチェス盤の上から逃げおおせることには成功している。
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    @t_utumiiiii

    DOODLEクリスマスシーズンだけど寮に残ってる傭兵とオフェンスの象牙衣装学パロ二次妄想ですが、デモリー学院イベントの設定に準じたものではないです。
    the Holdover's Party(傭兵とオフェンス ※学パロ) 冬休み期間を迎えた学園構内は火が消えたように静かで、小鳥が枝から飛び立つ時のささやかな羽ばたきが、窓の外からその木が見える寮の自室で、所持品の整理をしている――大事に持っている小刀で、丁寧に鉛筆を削って揃えていた。彼はあまり真面目に授業に出る性質ではなく、これらの尖った鉛筆はもっぱら、不良生徒に絡まれた時の飛び道具として活用される――ナワーブの耳にも、はっきりと聞こえてくる程だった。この時期になると、クリスマスや年越しの期間を家族と過ごすために、ほとんどの生徒が各々荷物をまとめて、学園から引き払う。普段は外泊のために届け出が必要な寮も、逆に「寮に残るための申請」を提出する必要がある。
     それほどまでに人数が減り、時に耳鳴りがするほど静まり返っている構内に対して、ナワーブはこれといった感慨を持たなかった――「帝国版図を広く視野に入れた学生を育成するため」というお題目から、毎年ごく少数入学を許可される「保護国からの留学生」である彼には、故郷に戻るための軍資金がなかった。それはナワーブにとっての悲劇でも何でもない。ありふれた事実としての貧乏である。それに、この時期にありがちな孤独というのも、彼にとっては大した問題でもなかった。毎年彼の先輩や、或いは優秀であった同輩、後輩といった留学生が、ここの“風潮”に押し潰され、ある時は素行の悪い生徒に搾取されるなどして、ひとり一人、廃人のようにされて戻されてくる様を目の当たりにしていた彼は、自分が「留学生」の枠としてこの学園に送り込まれることを知ったとき、ここでの「学友」と一定の距離を置くことを、戒律として己に課していたからだ。あらゆる人付き合いをフードを被ってやり過ごしていた彼にとって、学園での孤独はすっかり慣れっこだった。
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    @t_utumiiiii

    DOODLE象牙衣装泥庭二人とも怪我してるみたいで可愛いね🎶という趣旨の象牙衣装学パロ二次妄想(デモリー学院イベントの設定ではない)です
    可哀想な人(泥庭医 ※学パロ) 施設育ちのピアソンが、少なくとも両親の揃った中流階級以上の生徒が多いその学園に入学することになった経緯は、ある種“お恵み”のようなものであった。
     そこには施設へ多額の寄付したとある富豪の意向があり、また、学園側にもその富豪の意向と、「生徒たちの社会学習と寛容さを養う機会として」(露悪的な言い方になるが、要はひとつの「社会的な教材」として)という題目があり、かくして国内でも有数の貧困問題地区に位置するバイシャストリートの孤児院から、何人かの孤児の身柄を「特別給費生」として学園に預けることになったのだ。
     当然、そこには選抜が必須であり、学園側からの要求は「幼児教育の場ではない」のでつまりはハイティーン、少なくとも10代の、ある程度は文章を読み書きできるもの(学園には「アルファベットから教える余裕はない」のだ)であり、その時点で相当対象者が絞れてしまった――自活できる年齢になると、設備の悪い孤児院に子供がわざわざ留まる理由もない。彼らは勝手に出ていくか、そうでなければ大人に目をつけられ、誘惑ないしだまし討ちのようにして屋根の下から連れ出されるものだ。あとに残るのは自分の下の世話もおぼつかないウスノロか、自分の名前のスペルだけようやっと覚えた子供ばかり――兎も角、そういうわけでそもそも数少ない対象者の中で、学園側が課した小論文試験を通ったものの内の一人がピアソンだった。
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    recommended works

    @t_utumiiiii

    DOODLE #不穏なお題30日チャレンジ 1(2).「お肉」(傭オフェ)
    ※あんまり気持ちよくない描写
    (傭オフェ) ウィリアム・ウェッブ・エリスは、同じく試合の招待客であるナワーブと共に、荘園の屋敷で試合開始の案内を待っていた。
     ここ数日の間、窓の外はいかにも12月らしい有様で吹雪いており、「試合が終わるまでの間、ここからは誰も出られない」という制約がなかろうが、とても外に出られる天候ではない。空は雪雲によって分厚く遮られ、薄暗い屋敷の中は昼間から薄暗く、日記を書くには蝋燭を灯かなければいけないほどだった。しかも、室内の空気は、窓を締め切っていても吐く息が白く染まる程に冷やされているため、招待客(サバイバー)自ら薪木を入れることのできるストーブのある台所に集まって寝泊まりをするようになっていた。
     果たして荘園主は、やがて行われるべき「試合」のことを――彼がウィリアムを招待し、ウィリアムが起死回生を掛けて挑む筈の試合のことを、覚えているのだろうか? という不安を、ウィリアムは、敢えてはっきりと口にしたことはない。(言ったところで仕方がない)と彼は鷹揚に振る舞うフリをするが、実のところ、その不安を口に出して、現実を改めて認識することが恐ろしいのだ。野人の“失踪”による欠員は速やかに補填されたにも関わらず、新しく誰かがここを訪れる気配もないどころか、屋敷に招かれたときには(姿は見えないのだが)使用人がやっていたのだろう館内のあらゆること――食事の提供や清掃、各部屋に暖気を行き渡らせる仕事等――の一切が滞り、屋敷からは、人の滞在しているらしい気配がまるで失せていた。
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