ここは天才陰陽師安倍晴明の持つ庭院。彼と彼の仲間、彼の式神たちの一部が住んでいる場所だ。雪が溶けてすっかり春の色に染まった庭院では式神たちの騒ぐ声が聞こえる。今日もいつもと変わらずとても賑やかだ。
皆と離れた場所で、少年が一人、縁側に腰掛け静かに庭院の景色を眺めていた。真っ白い肌に灰色の髪、氷の二本の角と姿だけでも妖怪であると分かる彼の周りは、雪が降り薄く霧が出て、座っている付近には薄く霜が張りとまるでそこだけが冬であるかのようだ。幼い顔つきだが凍てつかせるような鋭さがある。
冷気を纏う彼の名前は雪童子、晴明の式神の一人だ。