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    ぽみょか

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    ぽみょか

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    【南揚・北蜂・漣楪】なんじょうくんが据え膳会議にお呼ばれするはなし

    ※直接のシーンはないけれど、据え膳食わせたい的な話をずっとしている
    ※全員成人済・各CPつきあってる
    ※南揚・北蜂・漣楪のバレンタインすけべ話に続きたいはなし





    「正直なハナシ、打てる手はほぼ打ち尽くしてしまってもうやることが無いのデース……。
    縛ってベッドにころがす以外は思いつくかぎり全部ためしマーシタ」
    「あ~、あの人縛って転がそうと思ったらそれこそ象用の麻酔とか要りそうですもんねえ。力ずくではまず無理っていうか」
    「ウィウィ、まったくその通りデース。ひょっとしたらエレファンのだって効かないかもしれマセーン!」
    「そ、そんなことってあるですか……?」

    まるっきり他人事、のトーンで適当に打った相づちにわりあい食い気味の同意を貰って、なんか調子狂うなあ、と手元のカップに口をつけた。
    少し乾いた喉をなめらかな紅茶にさらりとろりと撫でられて、はふ、と小さく息をつく。
    ……流石、学生時代から散々お茶会してるだけあってずいぶん美味いやつ飲んでるんだな。

    「……ちょっと、適当言わないで。考えて、まじめに」
    「はーいはい。真面目に、ね」
    「なにその言い方、嫌味ったらしい。……したでしょ、約束。したんだから、ちゃんとして」
    「そうは言ってもさあ揚羽。
    俺的には、あのふたりに据え膳食わせる方法なんて皆目見当もつかないんだけど」

    ――っていうか、その気になってないわけないんだからこんな作戦会議なんてまったく必要ないと思うんだよね。まあ、こんなとこまで来ちゃったからには話聞くくらい付き合うけどさ。

    「困ってる、ふたりとも。キミんとこのふたりのせいで。……なんとかして」

    チームメイトと師匠の手が早かろうが異常に遅かろうが俺の知ったことじゃないし、正直まったく関係ないと思うんだけど、って。
    相談持ち掛けられたとき最初に頭に浮かんだもっともな断り文句は、困り果てたように翳った青紫に両目をのぞき込まれて以来、ずっと喉の奥で封じられている。


    ……ほんと、廉も漣先輩も、とんだとばっちり寄越してくれたもんだよね。


    ***
    ことの発端は、一昨日の夜。

    たしか、ひと月ぶりくらい?
    お互い忙しかったせいでかなりご無沙汰になった時間を埋め合わせるように、ふたりの部屋で揚羽と顔を合わせるなり、ものも言わずにキスをした。
    そのまま言葉少なにシーツの上へと押し倒して、ばたばたくすくす笑い合う間に押し倒されて。
    さあそろそろ服でも脱ぎますか、とダブルベッドの温度がじんわり上がってきたそんな頃。
    既にくたくたと息をついていた揚羽が、突然がばりと身体を起こした。

    「っねえ、……どうやったらいいと思う? さそいかた。こういうときの」
    「ん、何? 揚羽から誘ってくれるの?
    ……よっぽど萎えるようなこと言わなきゃ別に何しても大丈夫だと思うけど」
    「違う、キミ相手じゃなくて」
    「……、……ええ~っともしかして浮気の相談? お前それはあまりにもデリカシーないんじゃないの、やるならせめて俺に隠れたとこでやってくれないと」

    動揺と、また何か変な知識でも引っ掛けてきたのかなって呆れが半分ずつ。あいまいに混ざって我ながら妙に冗談めかした色になった返答は、「そんなのじゃない」と即座に叩き返されて。
    考えたこともなかった、と慌てたように付け加えられた言葉にふいうち食らって、そっかそっかと思わずにやけそうになる頬をぎゅと引き締めて安堵した。
    ……その、数秒後。

    『メートル・リオとソウが困ってる。……誘っても手出してこないから』

    何とも反応しづらい爆弾が、揚羽の口から落とされた。


    「……俺的には、よそのそういうのってあんまり首突っ込まない方がいいと思うけど」
    「相談された、この前。シたいのにできなくてつらいって。……悩んでた、ふたりとも」
    「うん、あのさ揚羽」
    「しようとした、アドバイス。……でも浮かばなかった、何にも。考えてみたら、誘ったことない気がする。ボクからって」
    「それはそうかもっていうか確かにそうだろうけど。力になれないんだから、聞かなかったことにしてそっとしといてやれば?」
    「……、……コウキはどう?」
    「え?」
    「わかる? さそいかた。
    ……あ、ボクから誘ってないのにいつもちゃんと始まるのって、さそってるから? コウキがボクのこと」

    どう? と至近距離ではばたいたまつ毛を見ながら、
    確かに最初の頃は俺が誘導してたけど最近は揚羽も結構態度に出ちゃってるよ、と言おうかやめとこうかほんの数拍迷って。
    とりあえず別の言葉を口にのせた。
    ……ふた月ぶりだっていうのになんでよその性事情なんかでお預け食らわなきゃならないの、とわずかに焦って苛立ちながら。

    「……じゃ、いまから自分で確かめてみたら? 俺がいつも、どうやってお前のことその気にさせてるか。ちょうどシようってとこだったんだしさ」
    「?」
    「ほら、シワになるからそのシャツ脱いで」
    「ん、……コウキ、」

    我ながら、名案だと思ったんだよね。
    このままうやむやにして雪崩れ込んでしまえば、並行作業が苦手な揚羽のことだし妙なことに頭回す余裕なくなるだろうって。
    やることやって寝て起きたら、この突然降って湧いたらしい興味や使命感も遠くに吹っ飛んでしまうだろう、って。


    ――名案だった、はずなんだけど。

    「……まさか、やってる最中ずっと難しい顔で上の空になるだなんて流石に予測もできないっていうか」
    「南條くん何かおっしゃったです?」
    「ああいや、なんでもないよ。続けて続けて」

    俺が噛んでも舐めても何しても、難しい顔して誘い方の分析に勤しんだままになってしまった揚羽に俺の方が先に弱っちゃって、
    あとで一緒に考えるから今はこっち集中して、とうっかり言質取らせてしまってから早二日。
    「作戦会議するから来て」と、
    そろって綾薙系列の劇団員になってからもずっと続けられていたらしい師弟のお茶会に初めて招待をうけてしまった。

    高校出て二年経った今ほとんど俺と同居状態の揚羽と、相変わらず漣家に身を寄せている楪先輩がこういう相談事に場を提供できるわけもないから、場所は蜂矢の借りてるワンルーム。
    角がないから選ばれたんだろうなあとひと目で分かるそら豆型のローテーブルを四人で挟んで、楪先輩と蜂矢の涙ぐましい奮闘記を茶請けに熱い紅茶をすすり続けてしばらく経った。

    漣先輩と楪先輩は年明けた頃にはじまったんだとか。
    普段の日本男児感が嘘のように中々熱烈に告白されたというのに、一向に夜だけは進まないとか。
    偶然装って風呂場突撃したら走り込みに出ると叫んでそこからひと晩帰って来なかったとか。
    蜂矢と廉は冬のはじめぐらいに付き合いだしたんだとか。
    次の日くらいに盛り上がってヤろうとしたはいいけど準備不足で失敗してやむなく中断したとか。
    以来2ヶ月ちょっとの間、きわどい前戯しかされてないとか。

    猥談の類いから1番遠そうな顔ぶれの口からぽんぽん飛び出す赤裸々なあれこれに野次馬根性丸出しで一頻り相づちをうち終えたころ、楪先輩がべちゃりと机に突っ伏した。

    「もう、いい加減限界デース……。
    ボクだってオトシゴロのオトコノコ!! お行儀のいいベーゼだけで生きられるほどサトリ? 出来てないのデース! エレファンのお注射はどこ行ったら買えマースか!!!?!」
    「とりあえず、近県の動物園からあたってみるのが一番早いんじゃないですか? 合法的に手に入るのかは知りませんけど。あのひとに効く保証もないってところがなんとも」
    「コウキ!」

    ああはいはい。
    真面目に考えろ、とまた揚羽に脇腹をつつかれた。
    考えろって言われてもなぁ……とあたりをくるり見回すと、そろそろこういう話題に対するキャパが尽きてきたのか顔を赤くしてあわあわ言ってる蜂矢と目が合った。
    くにゃにゃ、と困ったようにひしゃげる蜂蜜色からそのまま連想してしまうのは、よーく見知った男の横顔。

    ──あの廉が。
    あの、遠慮って言葉とは無縁のところで生きてる廉が。ハッキリ嫌だと言われない限りは大抵のことやりたいようにやる廉が。
    特に嫌がられてるわけでもないのに、
    2ヶ月ちかく、……据え膳を我慢? ちょこちょこ触っては寸止めで引いてく?

    ……まったく想像つかないんだけど。
    蜂矢か廉が、なんか盛大に勘違いでもしてるとか?


    「漣先輩のことは、……正直な話こういう方面で何考えてどう動くのかが透けて見えるような付き合いしてきてないのでさっぱり分からないんですけど」
    「ノーンッ!」
    「コウキ」
    「いやホント。家訓で婚前交渉NGなのかな~とか、そんなくらいしか思いあたらないし。そもそも好きなタイプも嗜好も何も知らないし。どう攻めればいいのやら」

    っていうか、俺からすると揚羽と楪先輩たちがどうかしてると思うんだけど。なんでこんな、師弟同士で相談会めいたことやっちゃってるのかなあ。……俺たちの今までもいったいどこまで筒抜けてたのかちょっとゾッとしないんだけど。

    「ム、ムッシュ南條~! 見捨てないで!!」
    「だから、漣先輩の攻略は一旦後回しにして、確実に何とかなりそうな方からまず片付けてしまいませんか。
    ……蜂矢、お前たちのことなんだけど」
    「は、はいっ!」

    すっかり油断しきっていたのか、名前を呼ぶなり蜂矢の背筋がビンと伸びた。
    ぐんっと突然伸びたことに、俺も揚羽もすこし驚いて目を瞠る。まだ何か叫ぼうとしていた楪先輩も、思わずといったようにパクンと口を閉じて瞬きをした。
    ……蜂矢って意外と、滅多なことじゃ背中丸めないやつだから。
    正直ちょっと、気の毒に思った。
    場の空気に呑まれてろくに発言してなかったけど、こいつも相当参っちゃってるんだなあ、って。

    「……廉の考えてることは、俺もまあ3年ちょっとチームメイトとかやってた仲だしそれなりに分かる気でいるんだけど。いまいち、今のお前らの状況とあいつが結びつかないんだよね」
    「はい……」
    「で、その違和感を軸にして考えると、……あ~もう、答えたくなかったら全然黙秘してくれて良いんだけどさあ、」
    「は、はい?」
    「コウキ、勿体つけないで。はやく。ハッキリ訊いてくれないと答えづらい、ソウが」

    ……揚羽って、もうちょっと言葉のクッションとかオブラートの意義と用法きちんと学んだ方が良いと思うな。せっかく蜂矢がやんわり口に出しやすいような空気作ろうと思ったのに、今の余計な一撃で全部ダメになったんだけど。

    「……。初回の失敗、具体的に何でつまづいたのかサラッとだけでも教えてくれない? あの強メンタルがこんなに二の足踏むなんて、最初に何かよっぽどマズイことやらかして意識して慎重になろうとしてる、くらいしか考えられないと思うんだよね」

    陸のバカ、と舌を打ちながら避けようのない誘導にのせられて紋切り型で切り出すと、予想どおりに蜂矢がぼんっと真っ赤になって。
    声もなく沸騰した蜂矢の様子に狼狽えた揚羽がオロオロと口元に手をやって、なんとかして、と俺に視線を投げてきた。
    ……知るかよもう、お前のせいだろ。

    「あ、の、……ソウ、?」
    「エーット、無理はしないのがイイ、デースよ?」
    「いっ、いえ大丈夫ですお気遣いなくっ! 最初の時のはなしですよね!」
    「『どの段階でつまづいたか』だけでいいからね、詳細な流れとかはなるべく割愛してね頼むから」

    はぃぃ……と綿あめみたいにどんどん小さくしぼんでパカリと口を開いた蜂矢の背中を、
    両側から励ますようにそろそろ擦ってトントンたたく、楪先輩と揚羽の手。
    ……それが、蜂矢が話しはじめて数分もしないうちに、──ぴたっと止まって床に落ちた。

    そのあとで、
    ワァオ、と、楪先輩が宙を仰いだ。
    ぅああ、と、揚羽が低く唸ったあとでごしごしと頬の高いとこを擦った。
    ふたりぶんの、喉の奥から振り絞って出されたような返しのついたうめき声が、夢中になって廉との夜を回想する蜂矢の周りにポロポロボロボロ降り積もる。
    いたたまれなさで真っ赤になって呻く二人から助けて助けろとびしびし投げ掛けられる視線を、
    こうなったら諦めて聞くしかないでしょうと首を横に振ってつっぱねてると。

    せいぜいが薄ピンクとかその程度だった部屋の空気を一気にこってりした桃色に塗り替えた張本人が、
    大して自覚も無さそうに、はあっと蜂蜜色の吐息をこぼして。
    ふつりと語りやんだ後、ぱしぱしといじらしく瞬きをした。

    「ど、どうでしょうか……? なにか分かったですか? 南條くん、」
    「あー……うん。それさあ、
    ……揚羽。どうぞ」
    「ッボク?! 言って、コウキが!」
    「いやいやお前リーダーだろ? 揚羽に言われた方が信じられるって蜂矢も。俺がなんかヘンな助言して廉の邪魔するのはいちばんマズイしさ、ホラ俺サブリーダーだからあいつの不利には動けないっていうかね」
    「都合の良いときだけ役職の話持ち出さないで! 思ったこともないくせに、そんなこと」
    「あっあの、二人ともどうしたです急に」

    ホラ頑張れってチームリーダー、とぐいぐい肩を押しやると、
    揚羽の方も、本人の居ないところで散々廉のこと疑ったり詰った申し訳なさが勝ったのか、もうそれ以上は抵抗してこなくって。
    似合わない、勿体ぶった咳払いを何度か繰り返してからようよう息を吸いこんだ。

    「ソウ、よくきいて」
    「あ、揚羽……」
    「……あと3回、うぅん……2回? かも。
    そのくらいで解決するから。ソウの悩みは。
    何も気にしなくていい、と、おもう……」
    「えっ! ええ?!」

    眉をハの字に困らせた蜂矢がそのままぐりんっとこっちを見たから、俺もうんうん頷いておいた。
    ……揚羽の見立て、ばっちりだと思うよ。寸止め前戯が寸止めじゃなくなるまで、あとちょうど2回分くらいなんじゃないかなあ。あんまり深く考えたくないけど。

    「まあ、そのあと2回分がどうしても待てないって言うならさ。蜂矢の方でゴムでも買って、今日はこれ使いたいです~とかって軽く頬でもはたいてみれば一発で解決すると思うし」
    「……たしかに」
    「なっ!? 」
    「?? スエゼン、ゴムで何とかなるのデースか? 髪を結べばいいの?」
    「あーっと、この文脈だとコンドームです。避妊具の方。protection? rubber……はスラングだったっけ、蜂矢」
    「……、はいです。メートル・リオにもcondomで充分通じるのではないかと」
    「オーウ、なるほど。日本語ムズカシーイ……」

    ミミちゃんのうさちゃんゴム以外にもそんな意味があるなんて~、と両手を頬にあててもごもご言ってる楪先輩を、ああこの人コンドームは知ってるんだなあと興味深く眺めていると。
    あの、と蜂矢が声を上げた。

    「出来ればその、一発解決、の方向が良いので……。あの、」
    「ソウ?」
    「あ、蜂矢もしかしてゴム用意したいの? だったら揚羽に教えて貰いなよ。しばらく前に遊びで色々試したからさあ、通販とかコンビニで手に入るやつならだいたいレビュー聞けるはず。サイズだけ、目測自信なかったらいくつか用意しときなね」
    「ッコウキ!! ちょっと!」
    「あ、あげはっ! 是非におねがいしますですっ!!」

    俺に食ってかかろうとする揚羽を押し留めるように、蜂矢がぎゅっと腕にだきついた。
    がくんと一瞬反った揚羽が、ソウが言うなら……と反対向いて。
    そのままふたり、モソモソと小声で話しはじめる。
    隙間に笑顔が挟まったり、くすっと吐息がまざったり。独特の空気感でしゃらしゃらと進む会話が何年経っても物珍しくて頬杖ついて見守っていると、斜め向かいの楪先輩と目が合って。
    ボクのディシプル可愛いでしょう? とでも言いたげな華やかな笑顔を向けられて、ほんの少しだけ身じろいだ。

    ふだん、あれだけ賑やかに右往左往しまくってるくせに。……時々思い出したようにふわりと、俺より大人の顔をする。
    こういう人は少し苦手だ。場面場面でこっちに見せる顔変えられると、払う敬意もいちいち切り替えなきゃいけないような気にさせられるから。
    漣先輩みたいに分かりやすく上下関係の線を引いて師匠の顔をしてくれてる方が、師事する側としては気が楽だなあ、と埒もなくそんなことを思う。


    「……それにしてもちょっと意外でした。楪先輩、ああいうモノ知ってるんですね。男同士でも使うだとかまで」
    「ボクの通っていたコレージュでは一通り授業がありマーシタ! 付け方なんかもバッチリデースよ~」
    「ああ、……なるほど」
    「でも、対応する日本語はゼンゼン分からなかったから、学生時代に柊に頼んでそのあたり訳してもらったんデース。いざというとき用意できないと良くないから」

    だからゴム=コンドームは初耳デース! 当時の柊が知らなかったからデースね~、と。
    きゃらきゃら笑って思い出話に手をたたく楪先輩にあいまいな相槌を打ちながら、やっぱりこの人変わり者だなあ、と何度めかのため息を吐く。
    嫌がらせって意図もなく首席に保体の教科書訳頼めるなんて、……なんというか、いろんな意味で揚羽の師匠なんだよなと妙な納得が胸に落ちた。


    「ほんとうに、何をノコノコ亀さんしてるんでショーね、まったく……」

    染まった顔を寄せあってこそこそと相談事に興じる教え子たちを眩しそうに見つめながら囁かれた言葉尻に、ほとんど聞き取れないほど微かな筆記体の独り言が交ざって、ホロホロと空気へ溶けていく。
    かろうじて耳に引っ掛かったモンシェリ、という単語と俺の知ってる生真面目な真顔が結びつかなくて思わず少し肩を揺らすと、
    その拍子に、よく似た音の商品名が頭にこつんと降ってきた。
    ……何日か前に通販サイトの買い物カートに突っ込んだ、『おたのしみ用』のとあるお菓子。



    「あの、楪先輩。……あとは蜂矢も。
    今さっき、ひとつ思いついたことがあるんですけど。
    ……ふたりとも、相手に据え膳食わせるためにどこまでなら身体張れます?」

    言った瞬間、ぱっと持ち上がった二対の視線。
    期待に輝く黄色とみどりを受け止めて、安心を売り込むようににっこり口角を持ち上げてみせると。
    ……たったひとりだけ場違いに眉をひそめた揚羽が、うさんくさい、と唇だけで囁いた。




    ***
    『食べると身体がポカポカしてカッカしてどきどきするチョコをうっかり食べちゃった助けて~!』って据え膳を迫るそれぞれのバレンタインすけべ編に続きたいやつ
    バレンタイン間に合いたい間に合わないウウウ
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