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    海遊記沿いエピローグ
    あと何シーンか増やしてもいいな

    海遊記沿いエピローグ「此方とヨンジは瓦礫の撤去。レイジュは科学等の薬品処理。イチジとニジは自室待機……総帥殿から研究の要請があるかもしれないので備えるように。今日の予定は以上。質問、異議等あれば此方に」

     手元のボードを見ながらフェムは言う。今は朝食の時間、円卓に座した彼女以外のヴィンスモーク家の面々は、食事をしながら彼女の指示を聞いていた。

     ジェルマ王国は現在、復興の最中である。艦はいくつか減ったし、居住区以外では瓦礫が残っている場所も多い。だから彼らもその力を貸している。本来ならばそんなもの兵士どもにさせておけば良いと放っておくところなのだが、国王である彼らの父親から命じたので従うほかあるまい。そのジャッジは現在、シーザー・クラウンと意気投合しNEO MADSなるものを結成し研究に勤しんでいるのだった。

    「つまりいつもと同じ……薬品ってジャンキーなのよね。そろそろヨロイオコゼでも獲れないかしら」

    「待機ってのも退屈だよなァ」

    「父上も最初からおれたちを呼んでくれれば良いのに」

    「瓦礫相手より楽しいだろ」

     口々に文句に近いものを言う彼らを一瞥し、フェムは席に着く。文句はあれど異議はなしと判断したらしい。湯気の上るココアを一口飲んで、彼女はやっとカトラリーを手に取った。

    「そういやフェム。言わなくていいのか」

    「あァそうだ。皆様方にご報告がありまして」

     隣のヨンジから指摘され、フェムはわざとらしくそう切り出した。

    「此方——ベータ・フェムはヴィンスモーク・ヨンジ殿下と婚姻関係を結ぶことになりました。今後ともどうぞよろしくお願いします」

    「む」

    「あら」

    「はァ⁉︎」

     三者三様の反応を見て、ヨンジはけらけらと笑っている。フェムもいつもより数ミリ口角を吊り上げていた。

    「どこの馬の骨ともわからねェ孤児あがりの一指揮官だろテメェ!」

    「あア、本日付で参謀になりました」

    「参謀閣下なら……この国の王子の結婚相手として不足はないでしょうね」

    「……ハハ。これが『報告』か、フェム」

    「ええ。予定通りのご報告でしたでしょう?」

     得意げに笑うフェムと、微笑みを絶やさないレイジュ。何故だか上機嫌なイチジに対し、不愉快を露わにするのはニジだ。彼の言葉通りフェムが孤児の出だからではない。自分だけが置いてけぼりなのが気に食わない。いや二人の関係性を一番茶化していたのは彼だったのだが。

    「良いのかよイチジ」

    「父上の決定には従うさ。いやしかし……っくく、あのフェムが王子妃とは」

    「ええ、ええ。よろしくお願いしますね、お義兄様[#「お義兄様」に傍点]」

     語尾にハートマークの付くような甘ったるい声色のフェムに、ニジはおえ、と擬音付きで舌を出した。

    「“義妹として来ても良い”なんて言ったのは君だったじゃない、ニジ」

    「声帯模写をやめろ気色悪ィ!」

     やっとオムレツに手を付けたフェムは、ふふ、と笑みを漏らす。随分心地の良い朝だなァ——そう、ざわつく円卓を見ながら思うのだ。隣で同じように笑っているヨンジと視線をぶつけながら。
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