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    yuz_citrus126

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    yuz_citrus126

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    🎃ハッピーハロウィン!🎃

    戦後のリに起こる、不思議な出来事の話。
    カプなしです!でもリヴァハンと同一製造ラインです😊

    一夜の夢を、愛しき喧騒を「たくさんお菓子用意しといてよ!」
    「僕からもお願いします」
     今日はハロウィン。昼前からリヴァイの住む家を訪れた少年少女は、来るなり菓子の用意を催促した。
     お願いというよりはもはや命令のような態度でガビが言い放つ。もともと勝ち気な性格の少女であるから、このような物言いにももう慣れた。
     意外なのは、控えめな性格のファルコまでが、菓子を用意するように言ってきたことだ。
    「何を企んでいるかは知らんが、ろくなことにならなかったら承知しねぇぞ」
    「企むって何!」
    「すみません……でも、リヴァイさんのお菓子、楽しみなんです」
     もうガビの態度は気にしないことにして、ファルコに免じて頷いた。
    「やったー! それじゃあさっそく……」
     二人は喜んだように顔を見合わせて、それから手に持った布のようなものを渡してきた。
    「はいこれ!」
    「何だこれは」
     艶のある黒い布は、人一人覆えそうなほどの大きさで、広げてみれば裏面は鮮やかな赤色をしていた。
    「リヴァイも仮装しなくちゃ」
    「なぜ俺が」
     布を手にしたまま尋ねる。車椅子の上ではつるつると滑る大きな布は扱いにくい。ファルコが気を利かせて、リヴァイから預かってくれた……と思いきや、その布を手に背後に回り、首のあたりにくるくると結びつけてしまった。
    「ハロウィンは、死者が帰ってくるお祭りなの。そういうのに悪戯されたり攻撃されたりしないように、仮想をして『自分はあなたたちの仲間です!』っていう目印にするんだよ!」
     ガビはやれ魔女だの、死神だの、狼男だの、フランケンシュタインだの、様々な仮装があることを楽しそうに語った。
    「まぁ、思い思いに楽しみたいだけ、というのもありますが……」
    「ファルコ! 余計なこと言わない! ……ってわけで、リヴァイにはヴァンパイアのマントを持ってきたんだよ」
     似合うじゃん! ガビは満足そうだ。
     もう反論も抵抗もする気のなくなったリヴァイは巻かれたマントはそのままに、溜息をついた。
    「……で、俺は菓子でも用意しときゃいいのか」
    「そういうこと!」
    「お願いします」

     また来るね! とブンブン手を振って、少年少女はリヴァイの家を後にした。
     急に静かになった家をなんとなく見渡して、リヴァイは独りごちる。
    「クッキーくらいなら、なんとかなるか……」
     マントは外せないし、結局こうして菓子を用意しようとしているのだ。なんだかんだで、あの二人が喜ぶのは悪くないと思っている自分に、リヴァイはふっと笑った

    ***

     何かの気配に目を覚ます。
     目の前には冷ましているクッキー。部屋が荒らされた様子もない。もっとも、物取りならば今頃リヴァイの命はなかったかもしれないが。
     部屋に侵入されるまで自分が気付かないとは何事だと思っていると、先程まで曖昧だった気配が背後に濃く漂う。
     ──二人!
     察知した瞬間、両脇を抱え上げられて強制的に車椅子から立たされた。反撃の一つでもしようと振り返って、リヴァイは彼には珍しい驚きの表情を浮かべた。
    「お前ら……!」
     自分を両側から抱えているのは、なんとエルヴィンとミケだった。
    「何で……」
    「説明は後にしようか」
     呆然とするリヴァイにエルヴィンが穏やかに言うと、いつの間に開いていた窓から、日の沈んだ空へと一気に飛び出した。

    「おいおいおいおいこれはどういうことなんだ、説明しろ」
     自分の家を遥か眼下に見下ろし、リヴァイは問う。
     二人が目の前にいることも、自分たちが浮いていることも、何もかもがおかしい。それに、その格好だ。
     エルヴィンは黒いフードのついたマントを羽織り、手にはいつの間にか大きな鎌を持っている。ミケの頭にボルトが刺さっていて──もちろん本当には刺さっていない──顔には傷が施されている。ガビに聞いた、死神とか、フランケンシュタインとかいうやつだった。
     かく言う自分も、部屋を出るときにはシャツに適当なパンツ、それからマント一枚羽織っただけだったのに、気付けば質のよいことがわかる黒のスラックスとベスト、真っ白なシャツに、いつかを思い出すようなシルクのスカーフを身につけていた。
    「後でとは言ったものの、あまり説明できることも、する時間もないな。見た方が早いだろう」
     つい何十秒か前の言葉をころっとひっくり返して笑う美丈夫に、何と文句をつけようか考えていると、不自然な風がすぐ側を通り抜けた。
    「来たね!」
     風はその姿をはっきりと現す前に、あまりにも聞き覚えのあるアルトとなって正体を明かした。
    「ハンジ……!」
    「やぁリヴァイ! よく似合ってるね」
     満月を背にしたハンジは、予想していたことだが、やはり仮装をしていた。闇夜に溶け込むようなワンピースに、大きな帽子。何より跨っている箒が、魔女であることの目印だった。
    「お前……!」
     言いたいことはたくさんあった。ありすぎて、何一つ口から出てこなかった。
    「何も言わなくていいよ」
     ハンジはそんなリヴァイを見て笑うと、切り替えるように「さぁ!」と大きな声を出した。
    「エルヴィンも言ったけど、あまり時間がないんだ。短い時間だけど、楽しんでいってほしいな!」
     ハンジもエルヴィンも笑うだけ、ミケに至っては鼻をすんと鳴らすだけだったので、大人しく従うしかなかった。だいたい、リヴァイがエルヴィンやハンジに口で勝てたことなどほとんどないのだ。

    ***

     リヴァイの体は、まるで最初から方法を知っていたかのように、軽々と空を飛んだ。家は随分と遠ざかってしまったようだった。
     すると、ぼんやりと橙色の光が見えてくる。一つ、二つだったのが、右、左と増えていき、一つの小さな街が浮かび上がった。こんなところに、そんなものはないはずなのに。
     通りには木の長机と椅子が至るところに並べられ、そのどこでも人が笑い、食べ、酒を飲み交わす。
    「リヴァイ、行こう!」
     ハンジの声を合図に四人は高度を落とし、街のすぐ上を撫でるように飛び始めた。

     なぜか十字路のど真ん中から、不思議な色の煙が上がっている。よく見れば、かつて死なせてしまったハンジの部下と、ハンジを守って光に飲み込まれたという副官が、揃いも揃ってあちこちが怪しげな色で汚れた白衣を着て、大鍋をかき混ぜている。
    「ハンジさん!」
    「こちらはいい感じです!」
     大きく手を振りながら、リヴァイからすればどう見ても「まずい感じ」の実験の進捗を、それはそれは楽しそうに報告する。
    「いいね、そのまま頼むよ!」
     あとで様子見に行くからね! とハンジは叫ぶと、留まることもなく進み続ける。

     長机の一つを丸ごと占領して、周囲の人間が歓声を上げるスピードで飲み食いしている女が見えた。あんな人間を、リヴァイは今まで一人しか見たことがなかった。
    「カボチャのスープ、カボチャのパイ、カボチャのケーキ……ううん、おいひいでふ!」
     頭には髪と同じ色の狼の耳のようなものが付いていて、おそらくそれが彼女の仮装なのだろうが、手袋らしきものは邪魔なのかその辺に投げ捨てられ、無惨にもパイの欠片やクリームで汚れている。
    「もちろんカボチャ料理も絶品だろうが」
     エルヴィンが指を鳴らす。
    「せっかくの日に、それだけなんて寂しいだろう?」
     空になっていく皿に、今度はたくさんの肉料理が並ぶ。
    「肉ぅぅ!ありがとうございます!」
    「誰も取ったりはしない、ゆっくり食べるといい……聞いていないな」
     エルヴィンが苦笑いを浮かべてしまうほどの勢い。そういえば、深刻な場の雰囲気を変えることのできる人間だったなと、リヴァイは思い返した。
     四人は止まることなく、街をゆく。

     どうやっても忘れることのできない、少年と少女。
     二人は、見たこともないような珍しくてカラフルな菓子を嬉しそうにつついている。隣の皿の料理はもうすぐなくなりそうだ。
     せめてここでは、好きなものを腹いっぱいに食べてほしい。リヴァイはそう祈った。だが今、きっと自分にできることはない。
    「おや、料理がなくなりそうだ」
     するとまるでリヴァイの想いを汲み取ったかのように、ハンジが手に持った杖を一振りした。皿には温かそうな料理やスープが、二人で分け合っても十分な程に満たされた。
    「たくさん食べてよ。あのとき、叶わなかった分まで」
     二人を見るハンジの目は、いつになく優しい。律儀なやつだ、とリヴァイは思った。
     ランタンとランタンの間を飛ぶ。スピードは、そのまま。

     包帯を巻き付けた髪の長い青年の目は、何を映しているのかわからない。しかしカボチャのランタンの中で蝋燭の明かりがゆらゆらと揺れ動く度に、その目には、かつての光や勢いが見える気がした。
     その側に、メガネをかけた髭面の男がいる。特に見る必要もないだろう。
     ボルサリーノを被った男が、女の肩に手を回し、酒を飲みながら何か言う。ここでどうしているのか気になりはしたが、ハンジが気付かなければよいとも思った。
     道を挟んだ建物の窓からも、たくさんの人が賑わいを覗き込んでいる。自分によく似た黒い髪を持つ女が、窓に寄りかかりながら、何か口ずさんでいるのが見えた。
     マーレの元帥とかつての調査兵団の団長が、顔色の悪い人間の仮装で肩を組み、ジョッキをぶつけ合った。ここで知り合ったのだろうか。
     他にも、そばかすの女、背の高い少年、かつて見送った兵士たち、部下。

     そして、直属の部下も。
     四人は思い思いの格好で、街を歩いていた。繊細さと強さを兼ね備えた女は、ハンジのように魔女の格好をしていたが、装飾はもう少し洒落っ気がありそうだ。
    「全っ然似合ってないんだから!」
     リヴァイの真似をしていたという男は、なぜかここでも偶然リヴァイと同じくヴァンパイアの格好をしていて、複雑な心境に、眉間の皺が増えた。
     四人は空を飛ぶ集団に気付くと、大きく手を振った。エルヴィンも、ハンジも、ミケも、そしてリヴァイも、手を振り返した。
     止まることない風のように、街を駆ける。

    「おーい!」
     真下から掛かった声に、ついにハンジがスピードを落とした。
    「こっちで一緒に飲もうよ!」
     それは、かつて苦楽を共にし、ときに酒を飲み交わした仲間たち。
     金髪のショートヘアがよく似合う女は最低限さらりと白衣を纏って、余裕のある酒の飲み方をしている。その隣の女は……猫だろうか。腕も脚も出ているが、寒くはないのかもしれない。二人に潰されたのか、皿に顔を突っ込んだ男。なぜか小さめの黒い羽が片方、頭から飛び出していた。
    「ごめんね! 後で行くよ! ちょっと時間がないんだ!」
    「それじゃ、俺はここで降りるか」
     ミケは、まるで空間に階段や坂でもあるかのように、まっすぐ仲間の方へと歩いていく。そうして振り返ると、言った。
    「エルヴィン、ハンジ。あとは任せたぞ」
     二人は頷いた。
    「もちろんさ」
    「後で行くから、美味しいお酒はとっておいてね」
     今度こそ背を向け、ひらひらと手を振ると、ミケは街の喧騒の中へと降りていった。
    「それじゃ、行こうか」
     予感していた旅の終わりは、始まりとは対称的に、とても静かに告げられた。

    ***

     三人は街の外れに降り立った。リヴァイは反射的に自分の脚を見たが、問題なく立っていた。
    「勝手に連れてきて悪かったな、楽しめたか?」
    「まぁ、悪くない」
     自分にしては素直な言葉が、躊躇いなく口から出てくる。
    「ならよかった!」
     他人からはわかりにくいと言われる口癖ではあるが、そこはハンジが読み取った。
    「さて、リヴァイ」
     エルヴィンがフードを取り、姿勢を正した。
    「この道をまっすぐ行けば、お前の家に辿り着く」

     わかっていた。自分は、ここにいるべき存在ではないのだと。
     初めは、ついに死にでもしたかと思った。直前まで体調に問題はなかったが、無理をした体だ。いつ何が起きても驚かない。
     この街で見かけたのは、死んだ者たちばかりだ。その証拠に、青年の横にいるはずの黒髪の女も、今では頼れる男になった幼なじみの金髪も、食い意地の張った女の横に陣取って同じように馬鹿騒ぎする男も、それを嗜める男も、ここにはいなかった。
     だからこそ、自分が死んだのではないとすぐにわかった。
     この街で、ハンジやエルヴィンに声をかける者はいた。リヴァイには、誰も声をかけなかった。皆が見上げる目線は、リヴァイとはズレがある。この街で、リヴァイは誰とも目を合わせることができなかった。
     何より、これは自惚れではなく。かつての仲間が、そして直属の部下たちが、自分を見つけて呼ばないはずがないのだ。

     エルヴィンの言葉は、この夢の終わりを意味している。
    「なぁ」
     リヴァイは考えがまとまらないまま、思わず口を開いていた。
    「この仮想は、ハロウィンで街にやってくる死者に、仲間だと示すためのものなんだろう」
    「そうだな」
    「そうだよ! 興味なさそうなのによく知ってるね」
     付け焼き刃の知識を口にすると、褒めているのか貶しているのかわからない言葉が返ってくる。しかしリヴァイには、それを気にしている余裕がない。

    「なら、お前たちは」
     自分は。
    「仮装した人間を、死者と間違えて」
     こんなことを聞いて 。
    「連れて行ったりはしないのか」
     何と答えてほしかったのだろうか。

     エルヴィンとハンジは顔を見合わせて、それからリヴァイに向き直る。優しく寂しい表情だったと、思いたかった。
    「しないな」
    「しないよ」
     二人の言葉に迷いはなかった。
    「どんなに上手く化けても、どんな格好をしていても、リヴァイのことは絶対にわかるよ」
     今日のはだいぶ、わかりやすいけどね。飛んでいるうちに捲れたマントの肩のあたりを摘んでハンジが言う。
    「だから、連れて行ったりはしない」
    「君には生きていてほしいんだよ、それが、私たちのエゴでも」
    「……そうか」
     エゴなどではない。自分とて、生を手放そうと思って聞いたわけではなかった。きっと一夜の夢が、ほんの少しだけリヴァイを誑かしたのだろう。
    「なぁに、リヴァイ、寂しくなっちゃったの!」
     一拍の空白の後で、ハンジがわざとらしく明るい声を出し、リヴァイの背中をバシバシと叩いた。エルヴィンはそれを見て笑いながら言った。
    「安心するといい」
     ハンジも叩くのを止めて、いつの間にかエルヴィンの隣に並んでいる。
    「寂しがってる暇なんてないよ」
    「今夜はきっと、賑やかになるだろう」

    ***

     気付くと自分はまた車椅子に座っていて、目の前には焼き終わり、冷ましていたクッキー。
    「帰ってきた、のか」
     リヴァイは夢か幻か、といった出来事にしばらく呆然としていたが、家の外に人の気配を感じて、背を伸ばして気を張った。潜めてはいるが、十人から十五人くらいの大人数だということがわかる。それらは家の前で止まり、そしてドアがノックされた。
    「……誰だ」
     物取りや暴漢の可能性もあるので──一度そういうことがあったが、あまりに慣れていない感丸出しだったので、視線だけでお引取りいただいた──返事はいつになく慎重になった。
    「私だよ!」
     声は聞き慣れた少女のものだった。確かに来るとは言っていたので、おかしなことはない。ただ、ガビが何者かに脅されている可能性もある。リヴァイは一通りの想定をしてから、一気にドアを開けた。

    「「「ハッピーハロウィン!」」」
     そこにいたのはガビ、ファルコ、そして街から来たであろう子どもたちだった。皆めいめいにせいいっぱいの仮装をし、かごを持って、お決まりの言葉で菓子をねだる。
    「「「トリック・オア・トリート!」」」
     ガビがたくさん用意するように言ったのはこういうことかと、リヴァイはやっと合点がいった。そして器用に車椅子を回転させると、引き出しから包み用の紙を取り出した。
    「そこのテーブルの上にあるやつ、持っていけ」
     クッキーを何枚かずつ紙に包んで置いていけば、それらはたちまち子どもたちのかごの中に収まった。
     溜息をつくと、部屋の隅からくつくつと笑う声がする。しれっと最後に家に入ってきていた、オニャンコポンだ。
    「お前もグルか」
    「グルといいますか、引率といいますか」
     楽しそうだったといいますか、と最後に余計な一言を付け加える。ユーモアのわかる男だった。
    「これすごい美味しそう!」
    「ありがとう!」
    「……ああ」
     子どもたちからストレートな賛辞と礼を浴び、リヴァイは戸惑った。戸惑ったが、決して悪い気分ではないのだった。
     気が済んだのか、ガビが子どもたちをまとめ上げ、引き上げるように指示をする。皆を家から出すと、最後に振り返って机の上を指さした。
    「あっ、残った分はあとで食べに来るんだからね!」
    「すみません」
     ガビはもうわかっていることとして、この口ぶりだと、謝ってはいるがファルコも来るはずだ。パタリとドアが閉まり、急に静かになった家で、リヴァイはとてもとても長い息を吐いた。
    「ったく、菓子だけでいいわけねぇだろうが」
    「えっ?」
     残っていたオニャンコポンが、どういう意味だろうという目でリヴァイを見る。
    「おい、食材でも食事でもいい。まだ開いている店はあるか」
     彼は少し固まった後、リヴァイの考えに気付いたらしい。胸に手を当て、白い歯を覗かせ、大きな声で最高の返事をした。
    「任せてください!」

    ***

    「頼んだよ、オニャンコポン」
     リヴァイの家から、車椅子とそれを押す男が出ていくのを、ハンジは箒に跨って見ていた。背後には、半円にわずかに満たない月。
    「ご招待はは二人に任せたからね、お見送りは私だ」
     リヴァイがこちらに戻ってきてから、ハンジはずっと、様子を見守っていた。少し離れたこの場所にもたくさんの子どもたちがやってきて、街の騒がしさを運んできた。
    「ね、寂しくないって言ったろ」
     この後きっと不思議な四人組が、机いっぱいの温かな食事を囲むのだろう。
     ハンジはおそらく、その光景を見届けることはできない。だから想像して、胸に焼き付けておく。少しの寂しさに目をつぶって、ハンジは杖を振った。
    「またね、リヴァイ」
     姿が消えたのが先が、アルトが風に乗ったのが先か。それは、沈みゆく月だけが知っている。

    「ハッピーハロウィン!」
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