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    チャイコ

    リンとリバ。逆リバ、リン関連他カプは一切なし

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    POIPOI 24

    チャイコ

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    書く予定がないけど浮かんだアイデアを書くのにいいですね、ポイピク

    #リンリバ
    limba

    モブ視点リンリバ「このあと婚約することになりました」で登場したリーバル専属メイドナーシ視点の話を考えてました。
    ナーシ…オリキャラ。通行人程度のモブですが名前つけました。ハイリア人なので植物由来の名前(梨をもじっただけ)
    19才、そこそこ優秀なメイド。そばかすあり。リーバルをとても尊敬しており専属メイドになったことを誇りにしている。ハイラル城で働く庭師の夫がいる。
    はじめはリト族のリーバルと行き違いがありギクシャクしていたが、リーバルが「実はナーシは自分のことを尊敬している」と知ってから打ち解け、軽く冗談などを言い合う関係になった。
    時系列としては、リンリバがヘブラの山小屋で初夜を迎えた後ぐらいです。まだ婚約発表する前。

    本文↓

    今日のシニョンはうまくまとまった。
    ナーシはホワイトブリムにシニョンをまとめると、足早に厨房へ向かい、英傑リーバルの朝食をコックより受け取った。
    ここはいつ来ても戦場のようだが、英傑が来城している時は更に忙しい。異民族の貴人を迎えるとあって、コックたちは普段より更に張り切って腕を振るうのだ。
    「今朝のパイは?」とナーシが聞くと、忙しそうなコックは振り返りもせず、しかし自信満々の口調で「いちごと木の実!」と言い放った。良かった、これはリーバルの大好物なのだ。

    ワゴンに乗せた朝食を運び、ナーシは緊張しながらノックをした。中から入室を許可した返事がかえってくる。
    「リーバル様、おはようございます」
    既にリーバルは起きており、窓際で朝の日差しを愉しんでいたらしい。冬とはいえヘブラより暖かいハイラルの太陽は、リトの英傑を驚くほど美しく照らしていた。
    リーバルは振り返り、目尻を下げて笑った。
    「おはよう、ナーシ」

    はじめ、リーバルはナーシのことを少しも気にかけていなかった。そこにメイトがいるのを認識しているが、それが誰であってもどうでもいい、そんな感じだった。リーバルから話しかけることもなかったし、視線をくれたこともなかった。
    ナーシはそれで十分だった。救国の英雄ともあれば、様々な重圧があるだろう、ただのメイドに気を払うことなどない…自分のことは部屋の置物ぐらいに思っていてくれればそれでよかった。
    それが変わったのは、数ヶ月前のことだ。いつも通りに起床したリーバルの世話をしていると、彼がちょっとした冗談――それが何だったのか今では思い出せないが――を言ったのだ。
    英傑様も冗談なんて言うんだ、もしかしたら私達とそう変わらない存在なのかもしれない、不敬にもそう思ったナーシは、更に不敬なことに、彼の前でくすっと笑ってしまったのだ。
    気を害したのではないかと思ったが、リーバルにそんな様子はなかった。それがきっかけとなったのか、それ以来、リーバルはナーシ如きを気にかけ、何かと雑談をしてくれるようになった。
    ハイリア人の間で流行している音楽だとか、美味しい菓子屋とか、そういった些細なことだったが、ナーシにはそれが楽しかったし、どうやらリーバルも楽しんでくれているようだった。

    その日も、リーバルはナーシと軽い雑談をしながら朝食を摂っていた。いちごと木の実のパイで上機嫌になったリーバルは、今日はハイラル軍の訓練に付き合うのだと語ってくれた。

    トントン

    部屋がノックされたのは、そんな時だった。
    ナーシは一礼し、ドアへ向かった。こんな朝早くに誰だろう……リーバルの部屋を訪れるのは、郵便係や小間使いなどを除けば圧倒的にゾーラ族の姫、ミファーであることが多い。しかしミファーがこんな早朝に訪ねてくるとは思えない……もしかして軍の使いだろうか?今日の訓練の伝達事項なら、時間を問わない来訪もありえるだろう……そう思いながらナーシはドアを開けた。
    「早朝にすまない、リーバルはもう起きているか?」

    そこにいたのは、退魔の騎士だった。

    「もし起きていたら取次を願いたいのだが」
    えっ?どうして?退魔の騎士がここにいるのだ?
    退魔の騎士。言うまでもない救国の大英雄である。元は近衛兵の家柄の生まれだというが、近衛兵といっても平民とそう変わらない身分である。退魔の剣に選ばれる前、この青年――確か、リンクという名前だったか――は圧倒的な実力を持っていたというが、それだけでしかなかった。
    それが退魔の剣に選ばれ、ガノンを討伐し、今や国内で知らない者はいないとまで言われるようになった。これからの出世は約束されており、その見目の良さも相まってメイド仲間の間でも大変な人気があり「退魔の騎士様の恋人になれたら死んでもいい」なんて言う同僚も少なくない。
    ナーシは退魔の騎士をもちろん尊敬しているが、それ以上の感情はなかった、というか持ちようがない。雲の上の人であるし、今この瞬間に至るまでこれだけの至近距離で顔を見たこともない。役者のように整った顔というのは本当のようだ。一体この男、なんの用事でこの時間にこの部屋まで来たのだ。見れば近衛兵の服を着ているが(礼儀として脱帽はしている)任務上がりなのだろうか、それなら余計に、なぜ。
    まさか。
    退魔の騎士とリトの英傑リーバルが犬猿の仲だというのは有名な話である。2人は同じ空気は決して吸わないだとか、互いの命を狙っているだとか、そんな噂まである。
    まさかこの男、リーバル様に決闘でも申込みにきたのではないだろうか……いや決闘でなくても何かリーバルに良くないことをしようとか……
    いやいや、自分は救国の英雄に何を考えているのだ、あまりに失礼だ。単に公務についての話かもしれないではないか。
    「リーバル様はご朝食中です。公用でしたら後ほどわたくしが御用聞きに参ります」
    「公用ではないのだ」
    なお悪い!!この男が私用でリーバルになんの用事だというのだ。
    「おそれながら、リーバル様はご朝食中のため……」
    「ナーシ」
    ナーシの言葉を遮ったのは「ご朝食中」であるリーバル本人の声だった。
    「彼はいいんだ……その、通してあげて」
    「リーバル様、しかし」
    と、ナーシが部屋を振り返った瞬間、ドアにわずかの隙間ができた。
    「失礼」
    その隙間をサッと退魔の騎士が通り過ぎたのだ。
    「あっあの、お待ちくださいませ」
    「リーバル!」
    しかし次の瞬間、ナーシは信じられないものを目にした。
    「リーバル!」と言いながら部屋に押し入った(こう表現しても差し支えあるまい)退魔の騎士は、テーブルで朝食を摂るリーバルに抱きつくと「会いたかった!」と言いながらその嘴にチュッチュッとキスをしたのだ。

    は?

    「俺もう任務中ずっと君のことばかり考えてたよ、外国には一日千秋なんて言葉があるらしいけれど、まさにそれさ、俺もう君に逢いたくて気が狂いそうだった」
    「リ、リンク……」
    リーバルは一応退魔の騎士を止めようとしているようだったが、その声はいちごにジャムシロップをかけたように甘く弱々しい。
    こんなリーバルの声、はじめて聞いた。というかこの世の誰も聞いたことはあるまい。
    「元気だったかい?ああもうこの嘴にキスしたくて仕方なかった、徹夜で帰ってきたんだ、仮眠を取る前に君のとこに来たよ、埃っぽくてごめん、着替えるのも惜しくて」
    「リ、リンク、ナーシがいるから、その」
    「ああ」
    リンクはようやっとリーバルから離れると、部屋の隅で気配を消して視線を逸らし佇んでいたナーシの方を見て――これは絶対に気の所為ではないと断言できるが――ニヤッと笑ってみせたのだ。
    「気が付かなかった、君しか目に入ってなくて」
    なんだと?いや、気配を消していたのだから気が付かなったというのは褒め言葉ともとれるが、どうもその言葉に棘がある。
    「ナーシ、その」
    リーバルが上ずった声を出した。
    「新しい紅茶を、彼の分を用意して欲しいんだ、それとサンドイッチとか、食べるものを」
    「俺のことを考えてくれてるのかい、嬉しいよリーバル」
    「かしこまりましたリーバル様」
    部屋を出たナーシは暫く通常の速度で歩いていたが、そのうち耐えられなくなり、早足になり、ついに駆け足になった。

    なんだあれは?
    なんだ?なんだ?
    一体あの2人の間に、なにがあったのだ??!!!!?


    スマホで打つと大変ですね。あといつもリンクのスペックもりがちなんですが、推しカプの攻めはいくら盛ってもいいって聞いたので(真顔)
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    Replies from the creator

    チャイコ

    MEMO前にリーバルが人の感情が見えるようになったという話を書いたのですが、色々あってリンクが人の心が見えたバージョンも少しだけ書いてました。
    久しぶりに思い出したのでリーバルも出てきてないですし数百字ですけどせっかくなんで供養としてアップしておきます。書いてて「これはアカン」と思ってやめました。
    でもマジでアップするほどのものでもないですね…。
    無題 朝起きると、人の感情が見えるようになっていた。

     
     その日、宮廷服に着替え自室を出た俺を待っていたのは、頭にハートを浮かばせた人々の群れだった。武官も文官も女官も小間使いも、老いも若きも性別も関係なく、頭の上にハートを浮かばせている。
     あまりの光景にそこらの小間使いを捕まえ「君は何を頭の上に浮かばせているんだ」と訊こうとしたが、すぐに思いとどまった。もしこの現象が俺だけにしか起こっていなかった場合、そんなことを訊けば「退魔の騎士発狂せし」の噂が瞬く間に広がりかねない。それなら、今日まで築いた俺の地位はすぐに崩れてしまうだろう。
     それだけは避けねばならなかった。
     異常事態が発生し内面の感情が昂ぶるほどに反して無表情になるのが俺という男らしい。自室の扉の前で数秒立ち止まっていた俺は、すぐさま執務室に向かった。恐らく、俺の内面の動揺など誰にも気取られていないだろう。
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