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    だてまき

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    だてまき

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    夏祭りで東雲ヶ丘の二年組が迷子の少女と出会っておはなしするお話。AIのべりすとさんと遊んでたらなんかそこそこの長さのSSができたのでアップ。ただ山もオチもないです。だけど動くとなんかなんとなくキャラの関係性とか造形が深まった気がしないでもないのでやおいのいはあったのかもしれない。

    その少女は迷子だった。母親と近所のお祭りへ来て、人混みで逸れてしまったのだ。

    「ねぇ、大丈夫?」

    たどり着いた人気の無い隅で啜り泣いていると大人の男の人であろう声をかけられるが少女は顔を上げるやそこにいた三人の姿に声を失う。
    そこにいた男の人の一人は本来二つあるべき目が顔の真ん中に一つしかついておらず、一人は頭が二つついており、目の前の一人は…フードを深く被っていて夏に珍しく長袖を来ていたが普通の人間のようだった。だが、とても人間には見えない三人組に少女は恐怖し悲鳴を上げた。

    「きゃぁあああ!!」
    「あー!あー!ごめんね!叫ばないで!俺ら見た目よりいい人だから安心してほしいな!」

    そう言って一番最初に話しかけてきた唯一普通のようにみえた男の人がしゃがみ込み目線を合わせてくる。
    先ほどは気付かなかったがその人の肌には絆創膏で隠してはいるがまるで蓮の実のように無数のちいさい穴が空いていた。

    「ひっ、」
    「あ……ごめんね…怖がらないで、俺君が泣いてて心配で声かけたんだ。お母さんとはぐれちゃったのかな?一緒に探してあげるよ」

    そう言うとその人は手を差し出してくる。他の二人(三人?)もこちらを見ているようだ。

    「…おっ、お兄さんたちは、おばけさん?」

    恐る恐る尋ねると三人共きょとんとした顔をする。そして次の瞬間に穴が空いている人以外の三人(二人?)が笑いだした。

    「あっはは!違うよぉ!僕はぁ、たんがん星の王子様♡とーってもきゅーとなえいりあーん!」
    「アハハ!せやで~!おばけさんやで~!」
    「せやなー俺らおばけさんやからせっかく声掛けてやったんに急に叫ぶ失礼ながきんちょのドタマかちわって脳みそストローでチューチュー吸うたるわ!」
    「ひっ、い、いやぁあああ!!!!」

    なんだこいつら怖い!! 少女は咄嵯に逃げ出そうとするが穴の空いたの男の人に腕を掴まれる。この人は優しくしてくれたがもしかしたら騙そうとしていたのかもしれない…一度そんな疑念がよぎってしまうともう駄目だった。少女は顔を青ざめさせ手を振り払おうとする

    「離してっ!おばけっ!いやぁっ!!」
    「うっ…ごめ………こらっ!!三人がからかうからこの子怖がっちゃった!!謝りなさい!」

    穴開きの男は半分涙目になりながら残りの三人を叱りつけた。

    「えー!僕は怖がらせてないもぉん!怖がらせたのは、結合くん達!」
    「だってがきんちょビビらせてからかうのおもろいんやもぉん」
    「せやせや!そもそもそいつが俺らみてお化けとか言ったのが悪いし丹岸が…」
    「関係無し!この子怖がらせたのに変わりないんだからあや、まっ、てっ!ほらっ!」
    「…ごめんねぇ?」「堪忍なあ」「許したってぇ」

    穴開きの男の人が怒ると三人は少ししゅんとした様子で謝ってくる。しかし先ほどの恐ろしい話が忘れられない少女はまだ彼らを恐れぷるぷると震えていた。

    「そんな怯えなくても大丈夫だよ。こいつら本当に悪い奴じゃないんだ。ただちょっといたずら好きで悪ふざけが過ぎるだけで」
    「ふええん!ママァ!」
    「あっ泣かないで!?ごめんねぇ!ね?僕たちほんとはいい人なんだよぉ!」
    「お詫びに飴ちゃんやるから機嫌直しぃ?」
    「イチゴさんと、レモンさんと、ブドウさん…どれがええ?」
    「…ぐすん、…ブドウがいい」

    泣きながら答えると穴開きの男の人はホッとして笑みを浮かべた。すると他の三人の表情にも安心したのか笑顔が浮かぶ。
    カロッ…カラコロ…
    ブドウの飴を口のなかで転がすうち少女の気持ちは落ち着いていき、少女は震えながら再び尋ねる

    「…すん…すん…ねえ、お兄さんたちはいいおばけさんなの?それともやっぱり悪いおばけさんなの?」
    「………ねえ、三人がふざけるから俺らおばけさん固定になっちゃったよ?それに…「やっぱり」悪いおばけさんって…はあ…」
    「うぅ、ごめんね健人…落ち込まないで」
    「まあ見た目に関しちゃ事実やししゃーないな」「なー、怖がらせもしたしな」
    「そこは殆ど結合達のせいだから!…あーあーどうしよう…」

    飴をカラコロ転がしながらわざわざ少女の目線に合わせて四人がわやわや話しているのを見て少女の先ほどの恐怖はブドウの飴と一緒に溶けていった。

    「……お兄さんたちはきっとほんとにほんとはいいおばけさんなのね」
    「いや俺達は人だよ…人は人だけど珍しい人っていうか…激レアさんっていうか四つ葉のクローバー的なアレっていうか…」
    「?」
    「……いいおばけなら別にそれでもいいか…細かい事拘るのも面倒臭いし…」
    「??…ねえ、ところでお兄さんたちお名前なんていうの?小春は小春っていうの、あと甘いものが好きなの」

    少女にとっては目の前の大人が人であろうが人外だろうが己にとっていい存在なら別にどうでもいいので自己紹介をし名前を訪ねる。そんな少女になんとも言えない顔をして穴開きの男の人は優しく答えた

    「…小春ちゃんか、可愛い名前だね。俺は修郷 健人…こっちの目が一つの人が累…丹岸 累。俺の幼なじみで、可愛いものとお星さまが好きなんだ」
    「僕が累~!…さっきは悪のりしちゃってごめんねぇ?……やっぱり悪いの結合くん達だけな気がするケド……お星さまのヘアゴムあげるから僕の事は許してねっ」

    そうして一つ目の男の人…丹岸累の渡してきたのは可愛らしい金と青色をした大きな星のなかに小さな星が入っているチャームの付いた可愛いヘアゴムだった

    「わあっ!」
    「あは、気に入った?それねぇー、一目惚れしてつい買っちゃったんだけど僕あんまヘアゴムなんて使わないからさ、小春ちゃんにあげる~」
    「ありがとう!大切に使う!」
    「ふふ……で、こっちの二つ頭のやつが結合で、向かって右の頭が誠治、左の頭が宗治…双子なんだ」
    「せや、よろしくな嬢ちゃん」「せやせや、よろしくなぁ?」
    「……小春の事…ほんとに食べたりしない?のうみそちうちうしない??」
    「「せえへんせぇへーん」」
    「……ほんとうに?」
    「嬢ちゃん自分もしつこいなあ、せえへんつってるやろが」
    「てか未知やすえのネタ知らへんのか?…知らんのやろなぁ…とにかく俺らはんなモンチューチューするよかミックスジュースでもチューチューしてたいねん」
    「「せやから安心せえ」」
    「……ほんとに?」
    「「ほんとにほんと」」
    「……じゃあ信じる」
    「「信じてくれておおきになぁ」」
    「……うん」
    「……なんか結合達が言うと絶対ほんとのはずなのに嘘っぽく聞こえるなあ………」
    「「なんでやねんっ!」」
    「…ふふっ!小春はじめて生のなんでやねん見た!」
    「おーおーお気に召したなら何よりやわー…あっせや、俺らん家粉もん屋さんやからよかったら親連れていつか来てな~、今日は出店も出してんねんで!あ、これショップカード」
    「めざといなぁ~」
    「わかったいつかいくね!」
    「ふう、…気を許してくれたみたいで良かった……そうだこの子の保護者早く探してあげないと…小春ちゃんは誰と来たの?」
    「ママとパパ!でもママとはぐれちゃったの…」
    「やっぱりそっか~…主催者のテント辺りに連れてけば保護もしてもらえるし、アナウンス…はここまで時間経ってて無いってことはできないのか?……運が良ければお母さんが先にいて待ってるかも」
    「じゃあそこに連れていこっか、僕らも先輩と後輩待たせちゃってるし」
    「俺らと手ぇ繋いでいこな」
    「…ゆみあいさんじゃなくて、しゅうごうさんがいい!」
    「ふふ、健人に一番懐いてる。ま、当たり前か、一番ちゃんとしてたもんね健人」
    「小春ちゃん…!…ありがとう。それじゃあテントに行ってお母さん探しにいこっか」
    「うん!」

    こうして四人と少女ははぐれないよう手を繋ぎながらテントへと向かった。途中屋台であれやこれやに目を奪われ少し遊んだりしなんやかんやありながらもなんとかたどり着くとお母さんらしき人物が落ち着かない様子でそわそわとしているのが見えた

    「あ!小春ちゃん!あれお母さんじゃない?」
    「ママぁ!」

    少女は真っ直ぐ母親へと駆け寄る。母親はすぐにこちらに気付き、娘を抱きしめた。

    「小春!ああもう心配かけて……ご迷惑をおかけしました、娘の面倒見て頂いて有が…ヒュッ……」

    親子の感動の再会シーンだと言うのに少女の母親は固まってしまった。
    それはそうだろう、なんたって娘を連れてそこにいたのは一つ目の男に、頭が二つある男、そして肌に穴の空いた男が揃っているのだ、怖くないわけがない
    その様子を見て四人は四者三様の表情を浮かべる。一人は悲しげながら慈愛に満ちた諦めの顔をし、一人は宇宙を理解できないのは仕方がないというようなどや顔をし、一人(二人)はここでばあっ!って叫んだらおもろいやろなぁとやりたいのを堪えていた。
    一方母親の方はというと、YouTubeや仰天ニュース等々今まで生きて培ってきた知識を無心にフル回転させていた、あーあれね、この子はあれね、んでこっちの子はあれであれがそれで…
    この空間でなにも考えていないある意味冷静なのは少女だけだった。
    互いに固まること約十秒ちょい、この状態が続くのは良くないと修郷は口を開く

    「あ、あのぉ……」
    「はっ!す、すみません、私ったら取り乱してしまって……存在は知っていたけど実際出会ったのは初めてだから……助けていただいたのに失礼な反応してしまって…ほ、本当にごめんなさいね……?」
    「マーマ!怖がらなくても大丈夫よ!このお兄さんたちはいいおばけさんよ」
    「こらっ!このお兄さん達はおばけさんじゃなくてね…!」
    「いえ、大丈夫です。俺達そういう反応慣れてますから。むしろ優しく対応してもらえて嬉しいです」
    「……そう、なのね。…でも貴方達が慣れる必要なんてないわ。……ごめんなさい」
    「いえいえ!頭上げて下さいお母さん!」
    「…とにかく小春ちゃん!ママに会えて良かったねぇ」
    「せやねぇ!俺らがやさしかったからやでぇ?」
    「せやせや、俺らのおかげやで~あ、お母さんこれうちの店のショップカードですー良かったら来たってやあ」 
    「あ、どうも…」
    「お兄さんたちみんなありがとう!おかげでママと会えた!」

    その言葉を聞き四人は安堵する。そしてそのまま解散の流れになり、少女と四人は笑顔で別れた──…また、後輩と先輩を待たせていた事を思い出した四人は屋台で食べ物をいくつか買って急いで二人の元へ向かうのだった…


    「遅い!遅い遅い遅い遅ーいっ!!食べ物買ってくるだけでどんだけ時間かかってるの!先輩と後輩に花火の場所取りさせといてお前らは屋台巡りなんてまァいいご身分だ事!」
    「芋虫先輩もジブンも心配してたんですよ?一体何があったんです?」
    「ぼっ、僕は別に心配なんてしてないんだからねっ!」

    短い肢体をばたつかせ叱る先輩の芋虫ころんは手足がなく、後輩の獅子王海里はムキムキの腕が他より1対多い少年だ。

    「あはは、まあ色々ありまして…迷子を届けてたら遅くなってしまって……」
    「芋虫センパァイそんなカッカしないで~ほらチョコバナナあげるから♡」
    「むぐ!……美味しい」
    「あー!なんかチョコバナナ食べさせるのって卑猥や!卑猥!」
    「だまれ。…丹岸もうひとくちちょうだい」
    「はぁい、あーん」
    「あー……む。うん、おいひい」
    「センパイ可愛いぃ……もっと食べるぅ?」
    「ん」
    「あ、先輩俺らのフランクフルトもあげよか?はいどーぞ。あぁんしてな?」
    「あぁん……はふっ……あちゅい……けどおいひい…………」
    「先輩狙っとるやろ!」
    「それは狙い過ぎやで!」
    「ハァ?お前らがこういうの欲しがるから狙ってやったんだが?感謝してほしいんだが?」
    「「有り難く突っ込ませて頂きました!」」
    「うむよろしい。もうひとくち寄越せ」

    このやりとりを見ていた海里くんはは若干引いていた。

    「…とにかく先輩達が無事で何よりです!そういえばその子無事親に会えたんですか?」
    「うん!会わせられたよ!…でも最初はその子俺ら見て怯えちゃってさぁ…それに丹岸も結合もからかうもんだからさらに怯えちゃって…でもなんとかなって良かった…」
    「いやぁ……あれはなかなか面白かったで?『おにいさんたちはおばけさん?』なーんて聞かれたから、「脳みそチューチューしちゃうぞ」って思いっきり脅かしたったわ!がっはっは!」
    「結合アウトー!お前ら子供相手になにしてんの?!ほんと最低!馬鹿!アホ!間抜け!」
    「酷い言われようやな……」
    「じゃあ先輩はなんて答えるん?」
    「えっ、……そうだなぁ…僕だったら…「その言葉忘れるなよ法廷で戦ったら勝つのは僕だぞ」…かな」
    「「別ベクトルで大人げない!!」」
    「あ?」
    「……あ、先輩達!花火始まりますよ!」
    「おっ、本当だ。……わー綺麗……」
    「花火は夏にしか見れんからなぁ……めっちゃ感動するわ」
    「……あの子も見てるのかな?」
    「きっと見とるよ」
    「……なら、良いな」
    「あーっ!お兄さん達ー!」
    「「「「」」」」

    突然背後から聞こえた声に振り向くとそこには先程出会った少女がいた。

    「おぉー!さっきの子やん!なんでこんなとこおるん?」
    「だって小春の花火席あそこだもん」

    少女が指差す方向に目を向けると確かに少し遠くではあるが少女と同じ浴衣を着た夫婦が座っていた。
    夫婦はこちらへぺこりと頭を下げる。
    それを見た先輩と後輩も慌てて礼をした。

    「…あ、もう直ぐ花火始まっちゃうから小春パパとママの所帰るねー!お兄さんたちほんとにありがとー!」

    少女は満面の笑みを浮かべながら走り去っていった

    「…身勝手で元気なちびっこだった…」
    「先輩達…お疲れ様でしたね」
    「…まあね」
    「せやけど楽しかったわ!」
    「だね!結合くん家のお店に来てくれればまた会えるしぃ…あっ、花火」

    ドーンッと大きな音が響く。
    夜空に大輪の花が咲いていく。
    それを眺めている人々の表情はみなとても穏やかで幸せそうなもので、夏の思い出もでき、自然と満たされていったのだった…
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