スパークリングサマーバカンス 序章オリキャラモブでます
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夏休みって、強制的に与えられるモンじゃないことくらい、まともな職業についていたらわかるよな。
ほら、ご褒美は毎日もらうものじゃ無いっていうように、日々の食事だって好きなものだけじゃだめだろ。
現実を受け入れるには人間、少し時間がかかる。
例えばパソコンにゲームをダウンロードするくらいには。
沸騰しそうな日差しと、知らない土地に生えてるでかい木々。海風が肌をべたりと撫でつけて、俺はとっくに前髪を結んでいる。ついでに玉のような汗をシャツで拭った。
「あっつ…」
肺いっぱいの水を吸ったような湿度は、俺の体力を容赦なく奪っていった。だから俺はダガシヤ?の中で知らないおばあさんと、2人っきり。ときおりコップの中の氷が気温で溶けてパキパキと音がなる。
「お兄さん、ほらこれおでこにつけなさい。」
何を言ってるかわからないけど、彼女のおでこに当てる仕草と冷たい保冷剤で意味を理解する。
「…アリガト、ゴザイマス」
「ゆっくりしてね。…連れの子たちにも用意しなくちゃねぇ…」
店の外では成人の男四人と、ちっちゃい子供五人くらいが混ざって騒いでいた。
言葉が通じなくても、知ってるスポーツがあれば遊べる。だってヴォックスもアイクも、ルカもシュウも英語と日本語があべこべなのに、楽しそう。
ボーッと彼らの楽しげな騒ぎを見守る。
さっき渡された保冷剤と、なんか甘酸っぱい飲み物を飲んでだいぶ体がマシになってきた。店の中の柱にもたれていたから、少しだけ体勢をずらす。
─俺、地球の反対側にいるんだ。
そりゃ何もかも違う。
あー、どこまで話したっけ
そうそう突然幸運が訪れた話だったな。