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    keo_2434_oldguy

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    keo_2434_oldguy

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    文豪様へ捧げます

    気持ち
    🧡💙❤️💛→💜要素があるかもしれません。
    カプありではない…はず
    色々展開とかアレだけど楽しんでもろて!

    貴方の痛みの時間は幸せな時間になりますようにシュウは女の子。
    俺たち4人は、男の子。

    けれど、お互いかけがえのない親友だ。
    そんな女の子が、目の前で苦しんでたら助けないなんて有り得ないよね?



    どろり。
    内臓が捩れるような感覚と共に、股の嫌な生暖かさを感じる。僕は経血量が多いらしくて、タンポンを使ってても垂れるくらい出てくる。なので、パッドも併用して対応していた。けれど、このシェアハウスで女の子は僕1人。友達のペトラにはよく心配されるけど、彼らと僕は親友。
    信じてもらえるかわからないけど。

    本当は自分の部屋で湯たんぽ(前にミスタとルカがUFOキャッチャーで取ってきてくれたポムポ⚪︎プリリンのぬいぐるみ型湯たんぽ。ちなみにぽむちゃんは何回かお外で干してるんだけど、無意識にハグをしてしまってちょっぴりぺしゃんこになってる。
    )をぎゅむと抱きしめながら、1人で眠るはずだった。でも、苦しくて痛くて、寂しくて、誰かに慰めて欲しくなってしまった。でもこんな僕を見て欲しくなくて、リビング(みんなの共用部。ご飯もここで食べる)の奥にある1人になりたい用にみんなで買ったソファで、アイクにもらったブランケットとヴォックスに貸してもらったアロマをつけて、横になる。これでぽむちゃんがいれば、みんなに間接的に抱きしめてもらってる様で寂しさも和らぐ様な気がしたから。

    ─みんなに会いたいな

    ミスタは意外にも僕のわがままに付き合ってくれる。僕があれ食べたい!これ食べたい!って言えば買ってきてくれる(間違っても彼に料理を頼むときは保護者が必要。)。そのあとお互い分けっこして、最後に僕がありがとうって撫でると頬を緩めて受け入れてくれる。かわいいよね。

    ルカはどっちかっていうと僕に甘える方かな。でもよくバックハグしてくれる。…僕の身長が小さいから、収まりがいいんだってさ。よく頭頂部に生暖かい息をブフーってやるからそこは嫌い。やめてっていうと、捨て犬みたいに悲しそうな顔するから、僕が悪者になる。こういうところはいじわる。

    ヴォックスは、デロデロに甘やかす。でもみんなが思ってるより全然紳士だ。僕がご飯作ったりすると、真っ先に手伝ってくれて、あれやこれや面白おかしく雑談をしてくれる。実を言うと彼と話しながらやるお皿洗いの時間が好き。彼は僕が笑うと、本当に幸せそうな顔で笑うから、僕も照れてしまうんだけどね。

    アイクは、本当に趣味が合う。彼の好きな音楽も、ミームも全部日本のオタク文化が由来のものが多くて、ついつい肩を寄せ合って長い時間過ごしちゃうのだ。なんだったら前に僕とアイクでおんなじことを外でしてたら、浮奇に何?付き合ってんの?僕の視界内に入らないところでやってよってキレられた。僕とアイクが揃って「…付き合ってないよ…?」っていうと「wtf…」って絶望的な顔をしてた。そのあと、フーちゃんに連行されてたけど。

    まあ、僕らの日常はこんなかんじ。
    彼らがくれたものは僕の世界を構築するもの。このソファもみんなより体が小さい僕のために、買ってきてくれたもの。

    …いつももらってばっかり。

    つい、生理痛の苦しみから嫌な気持ちがぐるぐる湧いてくる。

    やめて、そんなこと考えたって、でも、苦しい。寂しい。慰めて。…やめて、女々しいでしょ。闇ノシュウ。

    生理中は気持ちが不安定になりがちで、軽い鬱の様になってしまう。だから、涙がほろほろ流れてきて、ぽむちゃんが濡れてしまう。

    「…ごめん、ぽむちゃん…」

    ごめん、ごめん。かわいくて暖かい子。
    寝よう。きっと寝たら落ち着く。起きた時に、みんなの顔を見れたらいいな。…ううん、見たいな。



    「ただいま〜」

    今日は運悪く、シュウ以外は仕事だった。…たぶん、前のアレからちょうど1ヶ月だし、今朝からシュウは顔色が真っ青。つまり、あの時期がきてる。

    ─…名探偵なんて言ってるけど、ちょっとキモいかも。

    いやでも、友達が苦しんでるのに、それを理解できないって辛いと思う。ましてやシュウは生理痛がかなりひどい様で、一回目の前で意識を失ったことがある。あの時俺含め4人は相当焦った。
    結局ニナとミカ、ペトラを呼んでシュウの看病をしてもらった。女兄弟がいるのがシュウしかいないし、生理っていう女の子の苦しみを教えてくれる人がいなかった。だからその時俺たちは彼女らにみっちりと教育を受けた。

    ・生理中はお腹が空くから、ご飯を作ってあげること。
    ・お腹が冷えちゃうから、温めてあげること
    ・心が不安定になることがあるから、甘やかしたりイライラしても許してあげること
    ・生理のゴミは色がついた袋で生ゴミに捨てること

    などなど多くのことを教えてもらった。
    女の子はこんなに大変なことを毎月経験してて、しかもこの期間は一週間ほど続く。その間、頭痛やら腹痛やらに耐えながら日々を過ごさないといけない。
    男の俺たちは絶句してしまった。
    あんな細くて、かわいい女の子がそんなに辛い目に遭わないといけないなんて。

    そのあと4人で話し合って、出来るだけシュウが生理になったときはバレないように彼女を甘やかすことにした。たぶん、シュウはバレたら恥ずかしがるだろうと言う結論があったから。
    あるときはそこはかとなく、彼女が好きなキャラクターのぬいぐるみ型湯たんぽをあげて(本当はUFOキャッチャーじゃなくてAma⚪︎onで買った)、ヴォックスはいつもシュウに優しいけど、シュウが寒そうにしたり苦しそうな顔してるとき、無言でそばにいて体を引き寄せて、抱きしめる。
    ルカは嘘が下手だから、掃除とか家事をいつも以上に手伝ってくれる。シュウが汚しちゃった洗濯とかは除いて(シュウが触らせたりするのをとても嫌がるので)、ほとんどやってくれる。
    アイクは、なぜかシュウが寂しそうにしてたり、暖かい飲み物を欲しがっている時を察知してすぐに渡してくれる。頭に目がついてるの?ってくらい正確だから、前にアイクに聞いた。なんでわかるの?って。そしたら、「好きな子のことなんてわかって当然だよ」って言われた。…俺だってシュウが好きだってば!

    俺は3人より不器用だし、こう、空気が読めないから、彼女の話し相手をして望むままに願いを叶えてあげる男になる。俺はシュウに笑顔でいてほしかったし、笑った彼女は本当かわいい。
    世界で一番守りたい俺の、兄弟。

    荷物を部屋に置いてきて、コートもかけて。
    シュウの部屋をノックしたけど、何も返事がない。アレ?と部屋をそろりと開けると

    「…!」

    暗い部屋のベッドには誰もいなかった。
    どこかで倒れてる!?
    ドアを大きく開けて中に入る。
    親友であり、女の子の部屋を物色するなんて本当に良くないことなんだけど、彼女の無事を確認するには仕方なかった。

    「…いない…」

    ほんの少し彼女が好んでつけてる香水の匂いと、柔軟剤の香りが混ざった部屋は、なんでか心が落ち着かない。もう用事は終わった。早く部屋を出なくては。ドアに向けて足をすすめる際にベッドサイドにあったぬいぐるみが視界に入る。むくむくと良くない発想が湧いてきて、キョロキョロと誰もいないのに確認する。

    ─ほんのちょっとだけ…

    部屋にあったぬいぐるみの匂いを嗅ぐ。
    想像通り彼女の甘い匂いがした。




    罪悪感と満足感を抱えながら、共用部のリビングに戻る。そこにはなぜか一箇所で固まるアイク、ヴォックス、ルカがいた。

    「?あれ、3人とも帰ってたの?」

    3人の元へ向かいながら疑問をぶつける。すると

    「…ミスタ、静かに。」

    ヴォックスが口元に手をシッと当てる。彼らがいたのは、シュウの小柄な体型にフィットするサイズのソファー。ということは。

    「…良く寝てるね。」
    「うん。ルカ、あんまり撫ですぎちゃダメだよ。せっかく眠ったのに起こしちゃう。」

    ヴォックスの背中でひそひそとルカとアイクは話していた。多分ソファの背もたれの先にいる彼女の寝顔を見つめているのだろう。
    俺もヴォックスも興味をシュウに向ける。そこには

    顔色が悪く、苦しいせいか時折眉毛が顰める。だが長いまつ毛がしっかりと閉じられ、少しだけ開いた口と、その周りのぷくりとした薄桃色の唇と整った鼻筋の黒髪の眠り姫がいた。

    「…我らが姫君は今回も酷い痛みの様だ。」

    ヴォックスはシュウの体にかかっていたブランケットの上に、自分が着ていた着物()を追加でかける。花の模様のせいか、より一層姫の様に見えた。

    「せめて、眠ってる時くらいは痛みを感じないといいね。前に調べたんだけど、生理の時って体が熱くなることがあるから眠りが浅いんだって。ほら、シュウこの時期すごい良く眠るでしょ。」

    「Saddge…女の子って大変なんだね…でもよかった。前にシュウにあげた湯たんぽぬいぐるみ役に立ってるみたい。」
    ぎゅうと抱きしめられたぬいぐるみは、人肌より少し高いようで、シュウの柔らかそうな胸の間で抱きしめられていた。…ちょっと、ちょっとだけ羨ましい。

    女の子はお砂糖とミルクでできてるなんて、馬鹿みたいな比喩があるけど、女の子は男の子よりすぐ大人になって、俺らの先を歩く生き物だ。シュウの優しさに俺は何回救われたことだろう。
    誰よりも聡明で、相手を尊重してくれて、俺がどんなに変なこと言っても、理解しようとしてくれて、
    可愛いくて、柔らかくて、いい匂いで、愛おしい女の子。

    俺たちの親友。
    眠りから覚めたら、とびきり君に話したいことやしたいことがたくさんあるんだ。だから、神様。
    彼女の痛みが和らぎます様に。

    ヴォックスは頬に。
    ルカは頭に。
    アイクは額に。
    俺は瞳近くの眉間に。

    4人の男たちが1人の女の子に、祈りを込めたキスを送る。その瞬間、シュウの顔がほんのり幸せそうになった。とびきりの寝顔だった。
    だがキスをした瞬間に彼女のため、その場を離れたた男たちは知る由もないこと。


    終わり

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