まずい。これは非常にまずい。
ベッドに横になって早1時間、明日も早い時間から準備をして出かけなければいけない予定があるのに、全くもって眠たくないのだ。時刻は夜中の2時過ぎをさし、秋に近づいた夜の冷たい空気と時計の針の音だけが、暗い部屋のほとんどを埋め始めていた。
今から少し体を動かして疲れさせるって言っても、部屋の中で何かするには遅すぎるし、きっと寝ているであろう他の人に迷惑をかけてしまう、でもわざわざ着替えて外に出るのも面倒くさい。
はぁ~、と深く息を吸い込み、体勢をごろんと横に向け、隣で寝かせていたライオンのぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。
寒くなってきたせいもあってか、なんだか人肌が恋しい。ここまで来たらもう誰か起きていそうな人に声をかけて抱きしめてもらいにでも行こうかな。いやいやいや、さすがに恥ずかしすぎる。20を超えた大の大人(しかも肩書的には意地悪で邪悪なマフィアのボスである)が?『寝れないから抱きしめてくれない?』とでも言うのか??
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