昇仙×転生よく晴れた日だった。雲深不知処の冬は寒くて寒くて。金丹も持たぬ身では凍えてしまいそうで毎年のように風邪をひいたものだ。その度に藍湛はつきっきりで看病をしてくれて、藍の二の若君だというのに仕事を放ってずっと一緒に居てくれた。戻れと言えども是として答えず俺が目を覚ます度にずっとその顔がいるのだ。
毎度のことなのに、俺も懲りずに毎度毎度、仕事に戻れ、俺は大丈夫だから。ちょっと寝たらすぐに治るから。そう言い続けた。その度に藍湛は「嫌だ」の一点張り。最早そのやり取りが恒例となっていた。
けれど、それも今年で終わりだろうと悟る。俺自身が俺の体のことを一番わかっているのだ。ごほ、ごほ、と咳をする度に息がつまり聞き苦しい音を立てる。その度に藍湛は俺の背中を擦り白湯をの入った杯を口元に持ってきてゆっくりと飲ませていく。
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