「イルカ先生……今日だけでいい、お願い」
カカシがそう言って迫った。マスクを外し、素顔を晒して、切なそうな表情で懇願する。
上官命令と言えばいいのに、カカシは言わなかった。イルカの手を掴みはしても、強引に押さえつけたりはしなかった。祈るようにイルカの手を握っている。
イルカは、カカシの言葉に素直に頷くことは出来なかった。拒否することも出来なかった。
熱っぽいカカシの目を見つめて、何も言わずに目を伏せる。カカシはそれを『答え』と受け取って、顔を寄せて唇を重ねた。
イルカは息を潜めて、カカシの背中に腕を回した。キスをしている間は、やさしく抱きしめていた。