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    さわら

    @sawaragomu
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    さわら

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    いつかの続きのカカイル
    書き途中です

     イルカは忍犬の為に少し遠回りをして、散歩がてら家へと帰った。体調は微熱があるくらいで、これと言って問題はなさそうだった。外の風にあたったからか気分もすっきりして、さっきまで体の内で持て余していた性欲は鳴りを潜めている。媚薬が抜けてきたのだと思い、イルカはほっとしていた。
     家に帰ったら忍犬におやつをあげて、一緒に遊び、夕飯を作ってカカシを待った。早く帰るとは言ってはいたが、カカシのことだから遅くなるかも知れない。
    「何時に帰ってくるかな、カカシさん」
     すると足下に居た忍犬が「夜になったら」と答えた。イルカは笑いながら忍犬を抱き上げてキッチンを離れる。ベランダの窓から見える空はまだ明るかった。
    「じゃあまだ帰って来ないね」
    「ごはん作り終わった? じゃあ遊ぼ!」
     忍犬がイルカの顔を見上げておねだりする。
    「いいよ。おもちゃ持っといで」
     忍犬はイルカの腕を飛び出して行って、部屋の隅に転がっていたボールをくわえて迅速に戻って来た。ぶんぶんと尻尾を振っている。
     イルカはベッドに腰掛けて、忍犬から受け取ったボールを部屋の反対側に向けて放り投げた。忍犬がボールを追いかけて、イルカの元へ持って来てくれる。それを何回か繰り返してイルカの元へ戻って来る時に、忍犬はベッドの前で踏み切って走って来た勢いのままイルカの胸へと突っ込んで来た。
    「わっ!?」
     イルカはベッドにひっくり返って忍犬を抱き留めた。楽しい!!! と言わんばかりの顔をした忍犬がイルカの顔を覗き込んで舐め回してくる。くわえていたボールはどこかへやってしまったようだ。
     とりあえずボール遊びはもう満足したらしく、今はイルカに撫で回されてご満悦の表情をしている。興奮気味だった忍犬が落ち着くと、イルカは枕に頭を乗せて仰向けになった。忍犬はそこが定位置とでも言うようにイルカの胸の上に乗って体を伏せる。多少は重かったが、忍犬の体は大きくないし、カカシに乗られるよりは軽かった。
     カカシの忍犬とは、大体どの子とも同じように過ごしている。流石に大きい子は体の上に乗せられないけど、ベッドで一緒に寝そべったり、部屋で一緒に遊んだり、じゃれあったり、おしゃべりをしたり。彼らはそれぞれ性格が違っていて、でもそれぞれカカシが大好きで、イルカとも仲良くしてくれて、一緒に居て癒されるし面白かった。時々アカデミーの生徒たちみたいだなと思う。可愛くて、時々ませている。まあ、見た目が可愛く見えるだけで忍犬の彼らは十分オトナなのだが。
     彼らには共通して得意なことがあった。
    「ねえ、キミも変化の術でカカシさんになれる?」
    「なれる!」
     イルカの胸の上に伏せていた忍犬は、素早く体を起こすと同時に術を使った。白い煙が弾ける。その煙が霧散すると、仰向けに寝ているイルカの上にはカカシの姿があった。ベッドに両手と両膝を突いてイルカの顔を見下ろしている。
     イルカは素直に感心した。どこからどう見ても六代目火影・はたけカカシだったからだ。
     カカシの忍犬たちはよく訓練されていて、カカシの身代わりになれるくらい変化の術は得意だった。たまにカカシは自分の姿になった忍犬に火影室の留守番をさせたりしている。
     この耳の垂れた忍犬も、変化の術は得意のようだった。イルカが両手で忍犬の頬に触って撫でたりしても変化の術が崩れたりしない。でも撫でられると嬉しそうにしていて、もし犬の姿なら尻尾を振ってるんだろうなと察しがついた。可愛くて思わずたくさん撫でてしまう。
     忍犬は構ってもらえて嬉しいのか、イルカに体を寄せ、顔を近づけ、鼻を擦りつけた。じゃれているうちに時々唇が触れる。
     イルカは本物のカカシとそうしているような気になって、温かいカカシの体を抱きしめ、目元に口づけた。唇を押し当ててゆっくり離すと、熱を帯びたような黒い瞳がイルカを捉える。
     イルカはドキドキしなから、カカシの頬に手を添えた。頬を覆うマスクをそっと引き下げて、露わになった唇にやさしくキスをする。忍犬は、いつもそうしているように、イルカの口をペロペロ舐めた。
    「ふふっ……ふは……くすぐったいよ」
     ベッドの上で体をくっつけて楽しくじゃれ合っていると、二人分の体重を支えていたベッドのマットレスが、急に片側に向かって沈んだ。
    「なにしてるの?」
     イルカが吃驚して目を向けると、イルカに覆いかぶさっているカカシの頭の向こうに、もう一人のカカシが居てじっとこちらを見ていた。本物のカカシだった。
    「わっ、カカシさん!?」
     おかえりなさいとイルカが言うと、カカシは忍犬をやんわりとイルカから引き離した。忍犬は帰って来たカカシに抱きついて顔をすり寄せてた。目の前に同じ顔が二つ並んでいて、しかも仲良く顔を寄せ合っていて、イルカは不思議な気分だった。
    「ただいま。楽しそうだね」
    「えっと……や、やましいことはしてないですよ」
     イルカはつい言い訳がましく言った。カカシは分かってるよと言って笑っている。それから忍犬を横に押し退けて自分がイルカに覆い被さり、唇を重ねて深く口づけた。
     イルカはハッキリと興奮を覚えながらカカシ舌を受け入れた。ベッドの上で抱き合ってキスを繰り返しているうちに、それだけじゃ物足りなくなる。
    「んう……はあ……」
     イルカは夢中になっていたが、ふと視線に気づいてカカシの肩越しに目を向けた。カカシの姿をしたままの忍犬が居て、体を寄せ合ってイチャつく二人を興味津々にじっと見ている。
     イルカは急に恥ずかしくなったが、カカシは構わず続けた。唇を重ねながら、体に触れる手が服の下へと潜り込む。カカシの指に素肌を掴まれ、イルカは思わず体を捩った。
    「んっ、カカシさん……」
     イルカはカカシからのキスを何度も受けながら、なんともいじましい視線を感じ続けていた。カカシの姿をした忍犬が、自分も構って欲しいだろうに、イチャつく二人の前でじっと待っている。
     イルカは忍犬の方へ手を伸ばしたが、あと少し届かない上に、カカシにその手を絡め取られてしまった。
     カカシはその手をベッドに押さえつけて、よそ見してばかりのイルカに口づけた。カカシとキスしているのに忍犬の視線が気になる。目を向けるとカカシが視ている……そっちばかり見ていると、イルカをベッドに押さえつけているカカシが視界を遮った。
     イルカはカカシの愛撫を受けながら、いつもよりどきどきしていた。
     もし、もし、今二人から見つめられているように、二人のカカシから愛撫を受けたら、この体はどうなってしまうのだろう。湧き上がる快感も、溢れる多幸感も、彼らへのこの想いも、何もかも倍になるのだろうか。
    「あの、カカシさん。今日なら、その……三人で……」
     イルカはすっかりのぼせた頭で目の前のカカシを見つめながら、そんなことを口走った。以前カカシが忍犬の変化の術を見せてくれた時に言っていたのだ。「三人でしてみる?」と。イルカはその時「しない」と答えているが、今はしてもいいと思っていた。カカシとなら経験してみたい。
     イルカはそう思っていたのに、肝心のカカシは一度体を起こすとイルカの顔を見下ろして呆れたように溜め息をついた。
    「イルカ先生……まだ媚薬残ってる?」
     カカシの手がイルカの頬を撫でる。カカシの指先が軽く触れるだけでイルカはどきどきした。顔が熱くなっている。
     カカシはイルカの顔をじっと観察して口を開いた。
    「俺はいいけど……あとで後悔するのイルカ先生だよ?」
     カカシは忍犬を側に呼んだ。ベッドの隅に居た忍犬は喜んでカカシの隣に来て、急に変化の術を解いた。目眩ましの煙が勢いよく広がり、側に居たイルカまで巻き込まれる。
     煙はすぐに引いた。
     てっきり術を解いたのだと思ったが、カカシの隣に居た忍犬は、今度は幼い子どもの姿になっていた。銀髪で、子供らしい丸い頬と口元をマスクで隠している。カカシはその子どもの両脇に手を入れて持ち上げ、仰向けになっているイルカの腹に乗せた。幼い子どもの小さな手がイルカの胸に置かれた。
    「する? 三人で」
     大人のカカシが、幼いカカシの後ろから覗き込んで問う。イルカは真っ青になっていた。流石にこの状況になっては、イルカの逆上せていた頭も一気に冷めた。
    「いえ、その……すみませんでした……」
    「……」
     カカシは、ほら見たことかと言わんばかりの顔をしている。
     ところが、忍犬は子どもの姿のままイルカの首に抱きついた。
    「ヤダヤダ! イルカともっとあそぶ!」
     体温が高くて、手も腕も頬もやわらかい。可愛くていつもなら構いたくなるが、今は手が出せなかった。すっかり熱くなっている自分の体が憎い。
    「また明日な」
     カカシが忍犬にやさしく諭している。忍犬はカカシに頭と首を撫でて貰っていて、イルカは大人げもなく羨ましくなってしまった。その手で早く自分も撫でてもらいたい。可愛がってもらいたい。カカシの前にこの胸の内をさらけ出して、二人で思う存分戯れたい。
     イルカはそう思いながら、幼いカカシの姿をした忍犬に手を伸ばし、小さな頬を撫でた。こんな気持ちのまま無垢な子に触れ、強烈な後ろめたさを覚える。
    「またあした遊ぼう」
     イルカにもそう言われて、忍犬は渋々頷いた。イルカは幼いカカシの柔らかい髪を撫でた。
    「約束ね」
     幼いカカシはそう言って、イルカの頬にキスをしてから、白い煙と共に姿を消した。体の上に忍犬が乗っていた重みが消え去る。イルカは少しほっとした。それも束の間のことで、すぐにカカシがイルカに覆い被さった。
     カカシがベッドに手を突き、マットレスが沈む。
    「カカシさん」
     イルカは徐ろにカカシに向かって腕を広げた。その腕の中に身を委ねたカカシを抱き寄せて、静かに、熱く口づける。誰も見ていないから遠慮はしなかった。
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