ヒアアナ 俺は今、かなり焦っている。今日中に提出しなければならない課題のことをすっかり忘れて、友人たちと遊び呆けてしまっていたからだ。幸い、課題自体は終わらせていてあとは提出するだけだからよかったものの、授業時間はとうに過ぎた樹庭に足を運ぶのは少々勇気がいった。
何故って朝から晩まで研究に没頭しているような学者たちが、時には笑いながら、時には怖い顔をしながら神悟の樹庭を練り歩いていたり、隅で一人ぶつぶつと何かの詠唱をしていたり、とにかく学者ってやつは何をするか分からなくて恐ろしい。
そしてその代表でもあるのが、俺の所属している「知種学派」の創始者であり七賢人の一人でもあるアナイーーアナクサゴラス教授だ。講義中に突然笑い出し授業を放棄したことも数知れず、変人と言っていいのか、とにかく授業内容からは考えられないほど教授自身のことは未だにあまり理解できていない。
4072