孤独への餞 はーあ。というため息が向かい側の席から聞こえてきたが、硝子は片手に持っていたスマホから顔を上げることなくもくもくと読みかけの記事を読み、そしてパスタを巻いたフォークを口に運ぶばかりだった。
とはいえその硝子の目の前に座る悟は、そんな様子にも構わず勝手にしゃべり始めるだろう。
「順番まずったかなー」
ずずっと悟は、大学の売店で一番甘いミルクココアを紙パックからストローで飲みながら、やっぱり硝子の反応も待たずに口を開いた。
「俺好きなやつと寝てんだけどさ」
「それ聞いて私になんか得があるなら聞くぞ」
やっぱり硝子は悟に一瞥もくれずに答えたが、ええー?と悟は気にした様子もなく続けた。
「友達の悩みくらい聞けってば」
9459