うつろの花嫁 思ったより早く目が覚めたので、どうせだからとシャワーを浴びる。
昨晩のあれこれを身に纏ったまま脱ぎ散らかした法衣や袈裟を着込んでも良かったが、温かい湯にすっかり流して排水溝へと見送ってしまう。
別にそんなしおらしい気持ちになる必要は無いのだ。
いちいちそんなことを考えても不毛だし、きりがない。
慣れた振りをしていればいつかちゃんと諦めきれると考え続けてもう何年経ったかわからないけれども、傑はそう慌てずに緩やかな手つきで着物の紐を結びながらカーテンの隙間から外を覗いた。
さっきまで日の出前だったが、そろそろ朝日が頭を出して街を明るみにしようとしている。
ちょうど良い時間だった。
今日の予定は何があったかなとぼんやりと考えながら、法衣の上に袈裟を纏おうとすると、ぼすんっと背中に重たい何かがのし掛かったのである。
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