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    ant_sub_borw

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    mhykの各国の魔法使いたちがFate世界のアライメントを持ったらどうなるだろう、という妄想メモを単にまとめたものです(無駄に長い)
    キャラの解釈を深めるためという意味でも考えたものです
    あくまで独断と偏見、未履修のエピソードもある中での選定です
    異論は認めます。

    賢者の魔法使いたちの属性についての考察(妄想)・アライメントとは?
    一言でそのキャラクターの性格、人格、価値観、信念や信条を表す属性と、そのキャラクターが生前どんな偉業を成したか、どんな人生あるいは物語を歩んだかなどを考慮したうえで振り分けられるパラメーターのうちの一つ。
    細かく説明すると非常に長くなるので割愛。
    『善』とつくからいいひと、『悪』とつくから悪人、のような単純な指針ではないことだけは確かです。

    ・アライメントの組み合わせ
    『秩序』『中立』『混沌』/『善』『中庸』『悪』の組み合わせで9パターンあります。
    今回はさらに『天』『地』『人』『星』も加えました。
    おおまかに『天』は神様、それに連なるもの。『地』は各国に根付いた物語に出てくるような英雄。『人』は生前に人でありながらすばらしい才能や功績を認められた人物。『星』は人類が作り上げた歴史の中でその技術や知識といったものに大きな進歩を与えるような功績を持ったもの。
    上記四つは今回においては彼らが魔法使いか否かに関わらず、生きている間・その後にこちらの価値観で言えばこういう扱いをされそうだなという尺度で決めました。


    ■中央の国

    オズ
    混沌・中庸・天
    まずオズ様は精霊からの愛されっぷりからして間違いなく天だと真っ先に閃きました。
    混沌なのは出自とそれに根差した価値観を考慮し、中庸は現在中央の国の魔法使いとして過ごしている彼の印象から。
    一つ目の属性は『社会に対する立ち位置』二つ目の属性は『自分で自分をどう判断しているか』にも依る、という考察があります。
    オズは間違いなく魔王だった過去があり、現在は賢者の魔法使いとして昼の間は最強の座に君臨し続ける魔法使いです。
    人間が社会を形成して生きている割合が多い現在、オズはそちらに馴染めるかというと自他ともにそれはないだろうと思っている(思われている)。
    それでいてアーサーを大切に思い、中央の魔法使いとして召喚され、年長者として他の魔法使いを諫めたりする立場も求められ、彼なりに応えようとしたりしてます。
    彼は社会に馴染まず、側に誰もいなくとも一人で生きていけるだけの『強さ』があり、けれどアーサーに出逢い、アーサーを通して深くかかわろうと思わなかった世界に興味を向けようとしているなぁと個人的に感じていました。
    『中立』や『中庸』は悪く言えばどっちつかず、どっちのいい面だけを取るみたいな考え方もされまずが、世の中きっぱり善悪で切り分けられることばかりじゃなく、まほやくもどちらかというとそういう曖昧さを切り捨てない文脈だと思ってます。
    そうして見ると、北の恐ろしい魔王という自分、中央の国で先生役の魔法使いをやっている自分、そういう二極性を今のオズは自覚して認めているのかなと少しばかり願望混じりの考察をしました。


    アーサー
    秩序・善・地
    いわゆる『秩序・善』はみんなが一律に思い描く『正義の味方』枠です。
    社会性を重んじ、文字通りの意味の秩序を守り、それは紛れもない善行だと信じ、そういうものに対しての『正しさ』を頑なに貫こうとする人です。
    アーサーはかなり出生も育ちも特殊ですが、彼自身はとてもそんな重い過去はないですよと言いたげなくらいに明るくて、品行方正で立派な人物像です。
    彼にとって『王子』であることは誇りでもあり、その頭の中ではつねに『皆の幸せ』を考え、その皆の中には自然とつまはじきにされがちな魔法使いの存在も入っている。
    異世界からきた賢者にさえ、非常に丁寧で礼儀正しく、それでいて明るく気さくに接してくれて、お手本のような優等生タイプですよね。
    長く付き合いがあるとその限りでもないと見えてはきますが。
    『秩序』を『法』という言葉に置き換えてみると、『法』を守ることは周り回って自分自身の利益になります。
    理論上、世界中の全ての人が『法』を犯さず守るのであれば、悪事はおこらず世界は平和になるからです。
    アーサーはまだその心の綺麗さとけがれのなさで、心底からそういう理屈を信じているし実現可能だと考えているように思えました。
    彼が『善』なのもそんな印象に起因します。
    逆に言うと、『秩序』にカテゴライズされる存在はそれを重んじるばかりに、手段と目的が入れ替わってしまうことがあります。(秩序に反する人を排除しようとしたりなど)
    理想と乖離する現実を見てしまうと、それを簡単には受け入れられないくらい潔癖になってしまうこともあります。
    それがアーサーでいえば、オズの過去を真っ向から信じたくないと思う心だったり、人間の国の王子でありながら魔法使いという立場を少し思い悩んだり、そういう心理の揺らぎやいい意味での未成熟さを表しているかな、と思います。
    『地』なのは、彼が人間の国の王子(王位継承については一端脇に置くものとする)として比較的中央の国の人々から慕われていることから決めました。


    カイン
    秩序・善・人
    中央の国はだいたい秩序・善になっちゃうんじゃないかと思いつつ考察して、カインもまさにそうだなと(多分モデルのうちの一人からしてそう)。
    カインの自認はまだ人間よりで、人間社会の一員として秩序を守ることを非常に重んじていると感じています。
    彼の場合、味わった挫折や理想と乖離した現実というものを、アーサーよりも少し長く生きてる分くらいはシビアに捉えているかなとも思っています。
    そのうえでカインならどうするかと考えると、それでもやはりカインは「人としての正しさ」「みんなの幸せ(みんなには魔法使いも含まれる)」を信じ、現実にするために生きていくのだろうと思い属性わけしました。
    あのオーエンからどれほどの悪意を向けられても、最終的にはそんなオーエンとも話し合えば分かり合えると思っている。
    そういう真っすぐさを失わない限り、カインが秩序・善のアライメントからはテコでも動かない、そういう頑固さや粘り強さがあるように思えます。
    原典では同じ名前の英霊でも召喚された年代や霊基などによってはアライメントが変わる場合もあります。
    カインはまだまだ未来のある若い魔法使いなので、仮に数百年後とかの彼を再度考察したら、その間に何を見て何を経験したかによってアライメントが変わることもあり得るなぁと思いつつ。
    個人的には、いつまでも秩序・善で眩しいくらい正しい騎士様で居続けてほしいとは思いますが。
    『人』については、彼のフレンドリーさの印象より。
    彼の負った厄災の傷は無情なものですが、仮にそれを通して今後カインが今までとは少しだけ違う「人との距離感」「付き合い方・接し方」「抉れそうになったときの折り合いの付け方」などを学んでいくための傷なのかも、と個人的に考察しています。
    もちろん、称号相手であるオーエンとどう向き合うか、が彼の中に大きな問題としてあるため、そういう意味で彼が最も目を向けるべきは天でも地でもなく『人』なのかなと。


    リケ
    秩序・善・天
    秩序・善というアライメントは清廉で高潔でありつつ、ふとしたことで崩れやすい危うさも同時にあります。
    先述したように、『秩序』を重んじようとするばかりその考えに取らわれすぎたり、過剰な行動をおこしてしまったり、手段と目的が入れ替わってしまうことがあるからです。
    リケはかなりそういう意味での危うさがあるよなぁと思っていて、彼が人々の幸せを叶えるために行ってきたことや、それを正しいことだったと信じている心はとても綺麗なものですが、例えば理想から乖離した現実を本当の意味で理解してしまったとき、一番危なっかしい精神性だなと思います。
    リケは賢者の魔法使いになってから初めて体験したことがたくさんあり、知らなかった世界を知っている最中です。
    そこは時々、これまで自分がいた世界と比較して醜く見えたり、逆にとても綺麗に見えたり、新しい何かを知る度リケの中の価値観が良くも悪くも刻一刻と変化しているように思います。
    リケの純心さや清廉さはそれだけで尊いことですが、彼はまだ若いので、この先もっと深刻で取り返しのつかない、世界の無情さや残酷さなどを知ってしまうことがあるかもしれません。
    その時はアライメントに変化があるかもしれませんが、宝剣エチュードなどを読み返すと、彼は案外自分の中の価値観とそれ以外の物事とを正しく線引きして、そのうえで自らの正しさを信じていられるのでは、という期待も持っています。
    何より人間、そして魔法使いの正しさ、温かさ、優しさをひたむきに信じようとしているリケなので、そういうものを『社会』と捉え守りたいとごく自然と願うようになっても不思議ではないかなと。
    天については、出生の特殊さゆえそれなりの期間神聖視された影響で、どこか地に足がついていないというか浮世離れした感が強いので、敢えて振り分けるなら……と思いそう決めました。



    ■北の国

    スノウ
    中立・悪・人
    ホワイト
    中立・悪・人
    『秩序』と『混沌』の間にある属性は、よくもわるくもその中間にあるものと捉えていいと思っています。
    双子は社会に属する必要のない北の魔法使いで、今でもその名は恐れられています。
    ですが北の国の魔法使いとしては、かなり理性的で高い社会性を持ち、賢者の魔法使いとしては他の北まほより非常に協力的という印象が強いかと思います。
    彼らがそういう行動をとっているのは、しかし長い長い人生のちょっとした暇つぶしとも想像の余地がある。
    そして彼らも立派な北まほで、自分が悪人だということをしっかり自覚しているタイプの悪人だと思われます。
    世界の行く末にさほど感心はなく、とはいえ人間をたまに相手してやるかくらいのちょっとした責任感とがあり、どっちつかずでいるように見えます。
    彼らの世界はある意味、二人だけで完結しているからです。
    ブラッドリーにまつわる一連の件に関しても、「そうしておけば都合がいい・自分たちの利益になる」からやっただけで、本当の意味での正義感からくる行動でないのは既にさんざん明かされてますよね。
    自己の利益を追及する部分については混沌の属性が強く出て、現代の流儀(人間の数が優位の世界、賢者の魔法使いという役割)に習っておけば総合的に楽だなとしてそう振る舞う部分に秩序属性がわずかに顔を覗かせているイメージです。
    同じアライメントでも、個々によってその数値的パラメーターがどの程度かは差が出るので、色々考えて「今現在魔法舎で北まほたちを取りまとめ、賢者たちに対し友好的かつ好意的な北の魔法使い」としては、このアライメントが一番しっくりくるかなぁと思いました。
    彼らについては世界が閉じている部分が多く理解しきれていないので、今後アライメントが変わることも充分あり得るかと思います。
    というより、千年以上の長生きの魔法使いでアライメントが今後大きく変わりそうなのは双子とフィガロくらいじゃないかなと。
    スノウもホワイトも互いの存在に執着しすぎているしそこで完結しているよなと思って『人』属性とさせてもらいました。


    ミスラ
    混沌・中庸・地
    混沌は「自分ルール」で生きている人を指します。
    北の魔法使いのミスラはオズに唯一匹敵すると自他ともに認める(ミスラは俺のほうが強い、強くなると思っている)魔法使いです。
    彼には一切の社会的な秩序や道徳的な規範の押し付けが通用せず、彼も何があっても唯々諾々と従うことなどあり得ないと思われます。
    そうしなくてもいいくらい強くて、一人で生きていけて、それを良しとできるまさに北の国の魔法使いだからです。
    二個目の属性は少し悩んで中庸にしました。
    彼は明確に自分の意思で『約束』を結んだ魔法使いで、現在はそれを守ることも重要視しながら生きています。
    破るとまずいから、という自己中心的考えからそうしているのだと思いますが、約束をしたときの状況から考えて、ミスラはミスラなりに必死に考えて、正しくはないかもしれないが善いことをしようと思ったうえであの言動をとったのかな、と思っています。
    まるで制御のきかない獣のようでいて、それでも時々北の賢まほの中ではびっくりするほどストレートに『愛とは、共生とは何か』みたいなのの核心をついたりする印象で。
    それはきっとチレッタのおかげなのでしょうが、そんな大事な約束を肝心のときまで忘れていたのは、もしかしたらチレッタが世界からいなくなってしまったこととの折り合いが、ミスラの中ではまだ全然ついてなくて、一旦そのあたりの思考が全部麻痺しているのかなとも考察してます。
    ミスラを名実ともに強大な『北の魔法使い』として育てたのも、幼い兄弟を守る約束が出来るよう育てたのもチレッタだと思います。
    『善』と『悪』は『利他的』か『利己的』かにも言い換えることが出来るというのが個人的な解釈ですが、現状のミスラに関してはその間にいるなぁというのが一番自分のなかでしっくりきています。
    図らずもオズと似たような理由です。
    そして『混沌』とはしていながらも偏りすぎずに大成し、孤高でありながら本能的に人と過ごす心地よさも知っている、恐ろしくて時々優しいミスラという存在に育ててくれたチレッタは本当に偉大な大魔女だなと思いました。
    『地』を振り分けたのは、彼が二千年生きて間違いなく強い魔法使いでありながら、それでもまだ渡し守の仕事をするという意識が一番最初にあり、それを楽とも苦とも思っていない当然の事実でしょうという態度でいることから。
    賢者の魔法使いという肩書を脇に置いた際、北の大地、湖の周辺の村と湖の上の島とを行き来して死体を運び続けることが、あまりにも彼にとって当たり前なんだなぁと思うと少し意外だとは想ったりします。


    オーエン
    混沌・悪・人
    オーエンはむしろ混沌・悪以外に言いようがないのでは、とある意味即決でした。
    混沌は自分ルールで生きる人と先述しましたが、北の国の魔法使いたちには概ねそれが適用されると思います。
    オーエンは非常に自覚的かつ意識的に『悪』であろうとします。
    出生と育ちが大きく影響していることは間違いがないのですが、それでも彼は北の国の魔法使いとしてごく自然な振る舞いが一番板についている気がしますね(あくまで賢まほの中でという意味で)
    混沌・悪は快楽主義者で、己のやりたいことをやりたいように振る舞い、それがあくまで『社会』から見て秩序を乱す存在と見做されて悪と断じられる傾向が多いです。
    人の輪に入れず、入らず、外側で自由気ままにふるまっているイメージです。
    オーエンが人に悪さを成すのが意図的であるならアライメントが異なるのでは、と思う気持ちもありましたが、彼はどんな物事に関しても真っ先に『自分』を大切にする魔法使いだと思います。
    自分のことだけ考えるのは悪いことだとされがちだからこそのアライメントですが、現実の世の中『法』に背いていないだけの自己中心的な人は相応に存在しているので、オーエンのそういう性質や性格を糾弾することは誰にもできないと思います。
    そして自分を大切にすることは、魔法使いにとってはかなり死活問題というか、至上の命題といってもいいことだと思っています。
    心で魔法を使う彼らにとって、それも含めた自分自身を様々な危険(物理的なのも精神的なのも含め)から守ること事態は全くの悪事ではないはずです。
    オーエンを殺すことは現状ほぼ不可能ですが、一種の不死状態なだけであり、オーエンに強い希死念慮があるわけでもなく、厄介で面倒なことからは予め距離を置くこともしています。
    それと同時に、北の国で恐れられる魔法使いとして、矜持に砂をかけられたなと思ったら危険だろうと喧嘩を買ったりもしている。
    そのあたりをまとめると、アライメントとしては『混沌・悪』が一番似合って、それこそ純然な北の魔法使いっぽいなぁなどと思ったりもします。
    それにあくまで演技が含まれていたとしても、彼自身がそれを良しとしているなら、外野にそれ以上言えることはないかなとも。
    『人』としたのは彼のマナエリアの話周りから。
    ある意味でオーエンも自分以外の『人』がいないと生きていくことが難しい性質なのかなと思うと、称号相手や魔法舎で親しくなった人たちとの関係性が良い方向になってくれればいいなと思います。


    ブラッドリー
    混沌・善・人
    自分ルールで生きる混沌属性に善が付与されるとどうなるか。
    ざっくりイメージを述べると『時に暴君時に名君と印象を変える、人の上に君臨する尊大な王』タイプとでもいうのでしょうか。
    大きな盗賊団を率いたブラッドリーがまさにこのイメージだなと思い、これもある意味即決でした。
    『善』は利他的と何度か先述しましたが、己の夢のために盗賊団を結成したと思われるブラッドリーには存外利他的な部分が多く見受けられます。
    大勢の人を統率する立場であり続けるには、時に個々の主張同士の折衝を行い、譲るべきは譲り、全くの別個体を束ねて一つの組織として機能させる必要があります。
    カリスマをもって人を惹き付け、己の目標を高らかに宣言し黙ってそれについてこい、と主張するのも一つの手法ですね。
    少年漫画の主人公にも多いタイプだと思います。
    混沌タイプは自由を愛し、善が付与された場合その自由は『自分だけでなく皆が各々に努力し勝ち取るもの』というように考えるタイプも多いです。
    ブラッドリーが組織した盗賊団は過酷な北の国という環境下において、生きていくのが難しい弱い魔法使いたちの受け皿でもありました。
    人からすれば悪事を成す集団であるのは間違いなく、本人たちもそれをきっちり自覚したうえで、彼らは彼らの自由と生存のために組織を維持していました。
    ブラッドリーの行いを『善』とするなら、そういう部分だと思っています。
    巡り巡って自分の利益になるからとはいえ、ブラッドリーは混沌から生まれる善き行いをすることのできる、北まほの中でもまた少し変わったタイプの魔法使いです。
    人のうえに立つことは大きな責任などが伴い大抵身動きが簡単にとれなくなるものですが、称号相手のおかげで彼も彼なりの自由を謳歌できた瞬間もあったと知り、これ以上ないほどよくあてはまるアライメントかなと。
    『人』であるのはやはり『人』の上に立つからというのと、彼もまた『人』というものの大切さを知っている魔法使いだからそうしました。



    ■東の国

    ファウスト
    秩序・中庸・地
    中央の国に革命をもたらし、今は東の国で呪い屋をやっている魔法使いの彼には、いまなお中央節という名の『秩序』が染みついているように思います。
    『秩序』は社会をよくしたい、という願望をごく自然と抱くので、革命というようなものを行うことは珍しくありません。
    『中庸』としたのは今現在、ファウストにとって「よりよくしたい」「大切にしたい」「尊重したい」と思う範囲がぐっと狭まって、同じ東の国の賢者の魔法使いや賢者自身といった存在に固定されているからかなと。
    『秩序・善』は先頭きって革命の旗を高く掲げますが、『秩序・中庸』はよくも悪くも現状維持派で、『社会』というものを自然と受け止め解釈し、その流れに沿って生きることをより強く重んじます。
    処刑された後復讐するでもなく辺境の地に引きこもり、そのあとの『社会』の行く末に何も関与せず生きてきたファウストっぽいなと思いました。
    まさに革命軍の中にいたときは『秩序・善』だったのかもしれませんが、アライメントは様々な要因で移り変わるため、今のファウストを基準と考えると中庸のほうがしっくりくるかなとも。
    ファウストは東の国の先生役として、生徒たちに規律と規範を説き、丁寧で真面目な指導を施し、与えられた役割に一番熱心に取り組んでいるように見えます。
    各国でいわゆる『義務教育過程の先生と生徒』のような構図が一番わかりやすく当てはまりそうなのは、なんやかんや東の国かなと思うので。
    このタイプのアライメントにとっていわゆる社会的善悪の区別はかなり綺麗に区別されていて、そういう意味では善悪のいいとこどりのような立ち振る舞いもします。
    社会秩序を乱していないなら人としてどうかと思う行いも見て見ぬふりをする。
    自分勝手な振る舞いをする人はすべからく悪で自分からは絶対近寄らないなど。
    そして『秩序』部分として、自分やそれに親しい人間、いわゆる身内に関してはその区分けがさらに明瞭化されるようです。
    ファウスト先生はとっくに東の国の生徒たちを身内の枠に入れていると思うので、悪いことはやめなさいと説教するし、害そうとするものが現れたら全力で守ろうとする。
    感じ方に個人差があるかもしれませんが、このタイプが最も共感を得やすいというか、行動理念や理屈をただの他人にも理解されやすいかなと思っています。
    『地』の理由は歴史に名を残した革命家であるから。
    本人もその他の人々も、あくまで『昔こういう英雄がいた』という過去形にしてしまっているがために、『人』ではなく『地』かなと。
    『地』は例えば伝説や伝承上の存在というものも該当するので。


    シノ
    秩序・中庸・人
    各国の特色というべきか、東の国は東の国でほぼ同じアライメントに落ち着きそうだなと、考えははじめた時には予感していました。
    シノは東の国の中では手のかかる生徒、という印象で見られることも多いかもしれませんが、至ってフラットに見るとかなり秩序的な振る舞いができる人だと思っています。
    彼の中で最も比重が大きいのはヒースクリフの存在ですが、シノにとっての『社会』をヒースクリフだと仮定すると、彼は非常に秩序だって行動しているなぁと思うことも。
    主君に誉を捧げたい、主君に恥じない忠臣になりたい、主君が誇れる存在でありたい。
    そういった献身はある意味、社会に属してそれを尊重する『秩序』属性に通ずるものがあるなぁと思い、このアライメントかなと決めました。
    これが傾きすぎると混沌かな、となるところですが。
    シノを『秩序』とする根拠は他にもあって、例えば集団行動ができるとかそういう急に規模の小さな例えになってしまうのですが、シノの利益がヒースクリフに起因するなら、不利益もまたヒースクリフに起因し、それは『社会の秩序を乱さない』こととニアリーイコールになと思います。
    彼が真っ当であること、模範的であることは全て彼の主人の評価にもつながります。
    まだ上手くいくことばかりではないようですが、少なくともシノはシノなりにそうなろうと努力している節が見え、であれば秩序だろうなと。
    そして中庸部分に関しては先述のファウスト同様、彼のイメージする『社会』の外側にはさほど関心がない。
    あったとしても、利益か不利益が絡まなければ一歩引いてみているだけで、特別なことはしようとしない。
    ヒースクリフが絡めば話が変わるのですが、シノの中ではその時点でもう『自分に無関係な事』ではなく『大義』になるので。
    こう書き続けると少し不健全な関係性かと不安になってくるのですが、ヒースクリフも同じような性質のため、双方の相互作用で何か悪いことを社会に成す、みたいなことにはならないと思います。
    もしもこの先シノが成長していくなら、いつか『中庸』が『善』に変化するかなという気もしています。
    彼はそれだけの行動力を備えていると思っているので。
    ファウスト先生も太鼓判押してくれましたからね。
    『人』なのはいわずもがな、彼にとって何が一番重要かを考えてのチョイスです。


    ヒースクリフ
    秩序・中庸・地
    彼もやはり狭い『社会』を尊重し、それ以外との関りには興味が薄い東の国の魔法使いかなと。
    ヒースクリフは繊細さと気丈さを併せ持つキャラクターだと思っているのですが、仮に東の国の魔法使いたちという名の『社会』に明確な害悪を向けられたら、一番激しく長く怒りを燃やすのがヒースクリフじゃないかと思っています。
    その次点はファウストです。
    ヒースクリフは比較的倫理観が潔癖よりの性格だなぁと捉えていますが、機械いじりなどのエピソードから執着というか粘り強さや頑なさみたいなのも少し感じられ、それが彼の理想とする『社会』維持に常にいかんなく発揮されているように思っています。
    彼の『社会』も狭いと一言でいってしまえばそれまでですが、そのいずれもヒースクリフにとっては『秩序』をもって正しく健全に運用されるべきものなのかなと思います。
    魔法舎で出来た仲のいい友人、幼馴染で大切なシノ、尊敬できる先生役のファウストと安心して信じてもいいと思える大人のネロ。
    仮にこれらが欠けたり傷つけられたり取り返しのつかないお別れをするみたいなことになったら、一番激しく感情を燃やすのがヒースクリフだと個人的に思います。
    彼から感じるちょっとした潔癖さというか、人見知りが反転して信頼できるようになった際の揺り戻しというか、彼の『社会』に当たり前に組み込まれたものに、彼の願わない形のイレギュラーが発生すると、少しだけ理性的じゃなくなったり取り乱したりするのが、今のヒースクリフかなと。
    魔法使いに生まれてしまった自分を上手く愛せなかったり、シノと喧嘩して子供みたいになってしまったり、それをうまいこと東の大人組や仲のいい友達たちや賢者に取りなしてもらったり、そういうのも結局は彼の『社会』がとても安心できるもので、その中で彼らしく振る舞っているに過ぎないのだろうかと思ったり思わなかったり。
    そういう『社会』の下地を至極まっとうに綺麗に作ってくれた彼の両親は本当に偉大だと思います。
    『地』なのは未来のブランシェット領主がほぼ確定しているからです。
    例え東の国の一地方だけでも、『かつて魔法使いの領主』がいたことを、自分も領民も誇りに思える日が来るといいなと思いますし、そうなる確立はかなり高いんじゃないかと期待しています。


    ネロ
    中立・中庸・星
    原典においての中立・中庸は最も理解しがたく最もやばそうなどと言われるアライメントです。
    秩序と混沌、善と悪、そのどれからも距離を置いていると書けば随分中途半端に思えて、その実ど真ん中に素知らぬ顔して立ってるようなタイプだと個人的に思っています。
    東の国においての『秩序・中庸』を『狭い社会』と何度も先述してきましたが、同じ狭さでも『中立・中庸』はさらにぐっと狭まるイメージです。
    ネロの例で言うと、彼は東の国のため、賢者のため、可愛がってる子供たちのためなら『善』も『悪』も同じ温度感でさらっとやってのけると思います。
    そして自分が興味がない、あまり親しくない、利益にならない、そういうカテゴリーに属するものに対する態度はどこまでいっても無関心。
    道端で知らない男同士が殴り合いの喧嘩してても素知らぬ顔で通り過ぎるけれど、どちらかが顔なじみの食材屋本人かその関係者なら億劫そうにしながらも仲裁するみたいなイメージでしょうか。
    墓から埋葬品を盗むときの価値観の話もそうですが、彼はその他大多数の人と比較してあまりにも『いいこと』『わるいこと』の区別を意識的にしていないのかなと。
    あくまでも個人の感覚ですが、それが知らない死人の知らない遺品だとしても、普通はちょっと考えれば『誰かの思い入れのあるもの』という考えに至って、大多数の善良な人はそれを盗むことに躊躇いが生じます。
    しかしネロは躊躇いません。
    ただ、その埋葬品が自分に何らかの関りがある人物のものなら、彼でも躊躇いはするかもしれません。
    恐らく、『いいこと』『わるいこと』という区分けでなく、『自分に関係ある』『自分に関係ない』で区分けている感じなのかもしれません。
    自分ルールは『混沌』だが、ルールの維持や遵守を尊重することは『秩序』であり、そのために必要なのが『善』なら善、『悪』なら悪を成し、それに徹底している。
    彼の良くも悪くもすごい所は、大盗賊団のナンバーツーだったことも、人の中に交じるため偽装した料理屋も地続きで、まるで自在にアライメントのパラメーターいじくっているような所ですね。
    傍から見ればとんでもない自由人のようでいて、大多数の普通の人のようでいて、この人いい人だなぁと思う相手がいれば、こいつ結構悪いやっちゃなと思う誰かもいる。
    そのごちゃまぜのど真ん中にいるのがネロというイメージです。
    彼は流されるままに生きてきたように見えて、肝心のところでは己の主張を曲げてこなかった人です。
    中立・中庸は究極のエゴイストとする考察もあるようですが、なんだか称号相手と関係性が決裂したあたりのびっくりするぐらいの頑なさに通じるものがありそうだなとも思えました。
    『星』は歴史を変えるような偉業を成したものの属性、と軽く説明しましたが、原典においては例えば地球外生命体なども該当する、かなり特殊なアライメントです。
    ネロは紛れもなくある一人の魔法使いの人生や価値観やそういう全てをひっくるめた何かを変えていて、『自分は何者でもない』という発言から、このアライメントしかなくないか、と思いました。



    ■西の国

    シャイロック
    中立・中庸・人
    西の国は北の国とはまた違った意味で、混沌として独特な価値観のある国だと思います。
    そこに属する魔法使いも必然そうなるのかと考え、シャイロックのアライメントを決めました。
    「いい加減で嘘つきな魔法使い」という彼の発言は皮肉や当てつけなのでしょうが、彼自身そう切り捨てられることに猛烈に怒っているかというと、個人的にはちょっと楽しんでいてそれでこそ西の国っぽいなと漠然と解釈しています。
    シャイロックは何ごとも「あるがまま」を受け入れて愛し、移り変わるものにはほんの少しだけ郷愁を抱く魔法使いです。
    彼のその姿勢は例えば社会や善悪にも当てはまり、彼の美学の琴線に触れるものであれば、それがなんであれ受け入れてしまう。
    百年前は許されていたことが現代で許されないと知れれば「残念ですね」と言いつつそこまで残念がっていなくて、しれっと自分一人続けつつ表向きはその流れの変化に迎合している。
    そういう究極的に中立主義というか、どちらも等しく愛し、等しく突き放すかのような曖昧な立ち位置に拘っているような所が、中立・中庸かなと思いました。
    真ムルのような人を畏れはしても愛する人は少ないだろうなぁと誰もが思う中、シャイロックはそんな状態のムルを一番恋しがっている。
    比較して理性的であり常識的でもありながら、恐ろしいことや危険なことが身近にあってもどこか余裕は崩さずそんな状況を愉しんでいる。
    秩序と混沌、善と悪からおよそ等間隔で距離を置いた場所にすました顔で立っているエゴイストというのが、シャイロックを表す明快なアライメントでありともすれば彼への賛辞なのかもしれないなとわずかに思っています。
    『人』なのは、彼の経営する酒場は人と人が思いがけず繋がる場所、という印象を持っているため。
    地とどちらがあうか悩みました。


    ムル
    中立・中庸・星
    彼を理解するのは最も困難ではないかという思いが強すぎて、個人的に「常人に理解しがたいもの」をこのアライメントに振り分けてしまっている節も少しだけあります。
    中立・中庸は究極のエゴイストであり、それと同時に関心という矢印が己を中心にあらゆる方面に向いているような印象もあります。
    彼は哲学者なので、例えば秩序・混沌とは何かのような問答など既にやり尽くして、彼なりの解釈をとっくに持ち得ているものと思われます。
    魂が砕けた今のムルと、真ムルでその解釈は大きくことなるかもしれませんが、その場合自分はどこに位置するか、というような核心のようなものは変わらないのかもしれない、というのが個人の解釈です。
    あるいは真ムルならアライメントが混沌寄りになるのかもしれませんが、彼の中にあるのは恐らく純然たる「知的好奇心」だと思います。
    それは「知的好奇心が非常に強い」という以上以下の意味はなく、それで社会をよくしよう、逆にめちゃくちゃにしてやろう、という、その先に続く願望や野望はないのでしょう。
    ムルが発明したもの、発見した知識はあの世界にたくさん存在していますが、それを使って『社会』に干渉しているのはムル自身でないことが99.9%くらいです。
    その結果が良い方向または悪い方向にむかって、原因を辿るとムルが出てくるというケースは非常に多いですが、彼自身にその思惑がない、良くも悪くも悪気がないのは、開示されている情報から考察する限りはそうなのかなと。
    シャイロックが情操教育を施しているムルと真ムルとの乖離が現在のテーマにあげられていますが、仮に全てが元通りになった時に存外真ムルはけろりとして「私はいついかなる時でも私である」と言いのけてみせそうな予感があります。
    ある意味柔軟で、ある意味最も頑固なアライメントかもしれません。
    どこにも属さず、どこにも属することのできるポテンシャルはある。
    それが個人的解釈上の、中立・中庸というど真ん中に毅然と立つ、あるいは楽しそうにその場でくるくると踊っていそうなムルのイメージです。
    『星』なのはいわずもがな、あの世界における特に科学技術においてのブレイクスルーの第一人者であるからです。
    そして月に最も近い場所で煌めくそれになりたいと、いずれかの側面のムルが憧れと嫉妬とを抱いたかもな……という超個人的な想像です。


    クロエ
    中立・中庸・人
    彼をこのアライメントかなと思ったのは、彼も間違いなく西の国の魔法使いだからです。
    シノの例に近いのですが、クロエは特にラスティカのこととなると途端に幼く、我慢がきかず、制御不能状態のまま突き付けられる悲しい現実に傷ついて涙を流します。
    そうでない時のクロエはとても友好的で明るく、仲間を想い、友人を大切にし、賢者の魔法使いという役割も非常に前向きに受け止めて努力もしてくれる、一言でいえば『すごく良い子』です。
    そんなクロエを外の世界に連れ出してくれたラスティカという存在に、クロエは比重を置きすぎていると指摘されている部分もあります。
    意識的か無意識的かに関わらず、己の願望や幸福といったものを他人に期待しすぎるのは、時に危うくて健全でない関係性でもありますよね。
    それでもクロエはおよそ常識的な意味の善悪を弁えていて、自分も虐げられた過去がありながら、だからこそ誰も虐げたくないという信念を持っています。
    『善』『悪』の中間にあるな、と感じたのはそのためです。
    様々な価値観の魔法使いが集う場所で比較的良い立ち位置を獲得できている社会性の高さがありながら、クロエにもクロエなりの美学や流儀、自分なりのルールがあり、時と場合によってそれを上手く切り替えているようにも見えます。
    多様な社会で生きるのであれば、協調と自己のバランスを保てるその柔軟性はとても貴重な才能であり、間違いなくクロエの長所であると思います。
    もしもラスティカとの関係性になんらかの変化がおこる時は、そんなアライメントに変化が訪れるだろうことも予期しつつ、現状はこれが一番彼らしいかなと思って選びました。
    『人』である理由もシノと似た例ですが、人が着る服を作ることが何より大好きだし胸を張って誇れることというクロエには、人の側にずっと立っていてほしいという気持ちもあります。


    ラスティカ
    混沌・善・人
    混沌・善は暴君と名君の両側面併せ持つようなタイプが多いと先述しましたが、アライメントとして考えたとき、彼らの根底にある価値観は『自由を愛し、それは全ての人がそうあるべき状態で、そのために皆で努力しましょう』という啓蒙めいたものが根付いていたりもします。
    ラスティカの行動は西の国らしい予想のつかなさがあり、彼なりのル―ルに適応するものがあれば、「もしかしたら私の花嫁かもしれない」と思って問答無用で鳥籠に閉じ込めてしまうことを平気で繰り返します。
    それは社会で生きるならば間違いなく欠点なのですが、ラスティカには相手が欲しがるものを快く差し出す、相手の主張を真っ向から否定せず受け止め良いと感じるところを褒める、そういう長所も確実に存在しています。
    『混沌』とは進んで秩序を乱したいわけではなく、誰かの決めたルールに従わない、従えない、自分が納得する行動理念を優先して考えるだけのケースでも分類されることがあります。
    極端な話ですが、食事に右手しか使っていけないルールの国があったとしたら、左利きの人は非常に不便を感じ、人によっては食事すら困難になります。
    ラスティカの『混沌』は、そういう類のものかなというのが個人の解釈です。
    そしてラスティカには、美しいものや素晴らしいものを愛でて、それを自分の親しい人たちに共有したいという善性もあります。
    クロエに魔法を教える時のラスティカは本当に凛としていて格好良くて、同時に今自分の感じている喜びといったものを君にも触れてほしいと願うような、真摯で温かな優しさのようなものも感じられます。
    ラスティカはどこまでいってもラスティカの流儀で行動し、そんな中でも彼はこの世界を美しいと捉えていて、その世界に生きること、守ることを良しとしているなぁと思い、このアライメントだと決めました。
    『人』であるのは、彼と花嫁のことや、やはり彼には人に寄り添ってもらいたいし、彼に寄り添う人がいてくれたらいいと願う気持ちからです。



    ■南の国

    フィガロ
    中立・善・天
    中立は散々両者の間のいいとこどりと先述してきましたが、そのうえで行動指針が『善』に傾くとどうなるのか。
    『秩序』ある状態も好ましく思い、『混沌』とされるルールの運用も辞さない、そのうえで善いことをしようとしてたどり着くのは、『秩序・善』とはまた違った方面からの「みんなを幸せにしたい」という願いとのこと。
    ただの『混沌』属性よりも、独善的独裁者などが多く当てはまるタイプかなと思われます。
    フィガロが南の国で親切なお医者さんをやっているのは、そういう役回りをしていると沢山の人に感謝されて、慕われて愛されて気持ちがいいからです。
    注意して考察したいのは、フィガロにとって「人の助けになる」ことはかなり複雑にフィガロ自身の幸福感と結びついているという点でしょうか。
    北出身の魔法使いらしい部分を、必要とあらば惜しげもなく披露するフィガロですが、仮に北出身の魔法使いの中で一番『社会』というものに強く関心を持っているのが誰かと言われれば、それも間違いなくフィガロだと思われます。
    彼が生きてきた長い年月の間には、彼の優しい心をくじく出来事が何度も何度もありました。
    表面的にそれを隠すのが上手いので理解されにくいのですが、オズのやるせなさに付き合って世界を征服したのも、ファウストに頼られたい、ミチルの良い先生でありたいと思うフィガロも地続きの人格だと捉えています。
    共通しているのは、フィガロの自覚の有無にかかわらず、それらの出来事に関わった人のことをフィガロ自身が彼なりにとても大切にしているという部分かなと。
    『善』を成そうという目的が先行して、その手段を時と場合によって考慮しないが故の『中立』、というのが現在の彼への印象です。
    『善』はもちろん、個々それぞれの解釈が存在しており、それが自分と他人とで微妙に異なるからといって、単純な誤りとできない難しい概念です(悪も然り)。
    他人から見たフィガロの口から出る『善』がまさにそういう概念かなと思い、しかし彼が願う彼の大切な人たちの幸福と、それによってもたらされる自分の幸福には、混じりけのない純粋さや真摯さがあるように思います。
    今は彼の大切にする関係性がまだ少しだけ危うい均衡、もしくは小康状態にあるように思えますが、フィガロもその命が尽きるまでの間に、アライメントが変化する可能性は充分あると思っています。
    ただ、『善』の部分だけは変わりそうにない、変わらないでいてほしいな、という一個人の願いも込めてアライメントを決めました。
    『天』はかつて神様として崇められていたことから。
    最もアライメントが変化するなら、もしかしたらここの部分かもしれません。


    ルチル
    秩序・善・人
    南の国という、人間と魔法使いが自然と共生している環境で育ったルチルにとって、それこそがごく自然で当たり前の『秩序』なのだと思います。
    彼もまた全ての人間と魔法使いが憎しみ合うことなく、手を取り合って生きていける未来を心から願う一人ですが、そのアプローチというか捉え方も他の『秩序・善』とは異なっているなと思いました。
    彼はいい意味で人間と魔法使いに大きな区別をつけていないのかなと思っています。
    彼の両親は人間と魔女で、それまでの経緯はどうあれ善良で温かで幸せな家庭を築き、その実例が間近にあるからこそ、「人間と魔法使いは共生ができる」と信じて疑っていないのかなと。
    そして恐らく恋をして愛しあう父親と母親の記憶もあり、それに至る話なども(とても話せないような部分は誤魔化されていると思われるものの)実態のある言葉と物語として聞いてきたであろうルチルはロマンチスト傾向もあります。
    彼がどんな相手にも柔和で優しいのは、人と人とを繋ぐのはそういう優しさ、愛情だと考えているのかなと個人的に解釈しています。
    ルチルにとって世界は大きな意味で一つになれるもの、そしてそのために彼は彼の思う正しさや優しさで、色々な現実に立ち向かっていくのかと思い、このアライメントにしました。
    『人』については、彼にとっての調和や共生に欠かせない要素が何かとしたら『人』かなと思ったので。


    レノックス
    秩序・中庸・人
    レノックスの解釈について、個人的には上手く消化しきれていなく、一番アライメントに悩みました。
    彼はある意味二面性が強く、はっきりと分かれて浮き出ているかなと個人的に思っています。
    それは「南の国の羊飼い」と「革命軍時代のファウストに従う従者」ですが、仮にフィガロやファウストが革命軍時代の出来事の一切を「過去のこと」と整理しても、レノックスだけはいつまでも整理できないんじゃないかという漠然とした思いがあります。
    辛抱強く、粘り強く、悪く言えば執念深いというような評価もされる彼ですが、それを『自分が好きな居場所』を正しく健全に機能させたいという願望と置き換えると、秩序っぽいのかなと。
    レノックスは羊飼いとしての生き方も、ファウストにずっとつき従う生き方も、どちらも公正に等しく『自分の社会』だと捉えているような気がします。
    ファウストを救えなかったことが彼の心残りになっていて、明らかに魔道具などにも影響が出ていますが、現実にファウストは東の国で存命であり、中央の国も一応国政はそこそこしっかりしていて、レノックスだけが『昔のこと』と整理できていないようにも思えますが、偏見が強すぎるかもしれません。
    過去はともかく、羊飼いとしての彼の生き方は多くの人間の手本としてもいいくらい模範的で理想的な形で、それを通じて南の国という『社会』に貢献しているとも考えられるので、『秩序』であるのはほぼ間違いないかと思われます。
    『中庸』としたのは、恐らく生真面目で愚直とも言えるレノックスの性格上、地続きの過去から現在に至るすべての行いを整理したり清算するのが苦手そうだなと。
    恐らくそういう性質は自分にだけ向いていて、内省的と言えるのかもしれません。
    羊飼いの彼は牧歌的な生活を粛々と営む素朴な青年かもしれませんが、革命軍に参加していた彼は間違いなくファウストの側で大勢の人間を傷つけてきたと思われます。
    己の行いに対する倫理観においてだけほんのわずかに潔癖というか、特に明確に自分を善人だとか悪人だとか言いそうになさそうだなというのが今のところの印象です。
    本当の善人/悪人は自らそう口にして名乗らない、とも言いますが。
    結局どっちつかずというのはそれほど拘りが強いという性質の反映でもあるので、特定の物事に関しては頑なになるレノックスも間の性質、中庸がしっくりくるのだろうかという思いです。
    『人』である理由は、彼が救うのも救われるのも人だろうなという曖昧なイメージです。
    あとは魔法よりも武術のほうが得意というあたりに、なんとなくサーヴァントじみたユニークさを感じるというか。


    ミチル
    秩序・善・地
    ミチルも少し考えさせられたというか。
    彼は間違いなく秩序を重んじ、協調といったものを大切にするタイプの性格なのですが、少しずつ変わってきているとはいえ、南の国で培った自分の価値観と正反対のもの、相容れないもの、相性がわるいものに関して時に揺らぎやすいというか、駄目だと頭で思っても心が追いつかないような、どこかはっきりしない態度を取ったりするなぁという印象でした。
    それはリケの例のように、まだ知らない世界があるから判断材料が不足しているだけともとれますが、ミチルの場合はもう少し複雑で、ジレンマめいたもののようにも感じています。
    拾った空の薬莢を大事にとっておく、といえばかっこいいものに憧れる男の子そのもので一見微笑ましいですが、その弾丸を撃ちだしたのは当初蛇蝎のごとく嫌っていた北の魔法使いによるものと、考えて気付かないわけはないと思います。
    フィガロを魔法の師として、彼から教わることを真面目に受け止める傍ら、もっと強い魔法や難しい魔法、派手な魔法を覚えて使ってみたいと夢を見て、至って理性的であろうとする部分とその部分とが葛藤し合っている様子も想像できるといいますか。
    ただ、ミチルが友達のリケや肉親のルチル、その他魔法舎で比較的良好な関係を築けている相手に対し誠実で優しくて、彼なりに大切にしたいと思っている感情も本当のことだとは思うので、彼の性質はやはり『善』だろうと思います。
    秩序属性はその意識に囚われやすいもので、同じアライメントでも置かれた世界、立場、時代背景によっては、そこにある『秩序』と己の考える『善』との間で悩んだりすることもある、ちょっと難儀な性格の人物も多いです。
    それは生真面目さとう名の価値観によるものなのでしょうが、『南の国の魔法使い』である自分、大魔女チレッタの息子、南の国の魔法使いとしてたくさんの人の助けになりたい、そういう綺麗な願いと同時に、理想と現実の乖離による苦悩や頭では「よくない」と断じているものへのかすかな憧れ(ブラッドリーとの関係など)との間でたくさん悩んで、悩んだ分成長していく魔法使いなのだと捉えています。
    彼もまだまだ若いので、アライメントが変遷する可能性は充分にあり得ます。
    変遷したのち、最終的にやはり『秩序・善(己の原点)』に帰ってきてはいけない、というルールもないので、ミチルにもたくさんの善いことと悪いことを受け止めて、そういう世界の中で自分は何をしたい、とだけ純粋に考えられたらなと願います。
    予言の存在が非常に不穏ですが。
    『地』にしたのは、彼が己の出自や故郷での思い出を非常に大切にしていることから。
    他の面子が劣るという意味ではないのですが、なんとなく南の国の魔法使い四人の中で一番自分の国に愛国心じみたものを持っているのは、とパラメーター化した際に、僅差でトップに出るのがミチルかな、という個人的なイメージです。



    ここまで長々と読んでくださってありがとうございます。
    独断と偏見でしかない選定であるのと、これを通じてキャラ理解を深めたいがためのメモ書きの側面もあるので、あくまで一個人の妄想として処理していただけたら幸いです。
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    Replies from the creator

    ant_sub_borw

    DOODLEmhykの各国の魔法使いたちがFate世界のアライメントを持ったらどうなるだろう、という妄想メモを単にまとめたものです(無駄に長い)
    キャラの解釈を深めるためという意味でも考えたものです
    あくまで独断と偏見、未履修のエピソードもある中での選定です
    異論は認めます。
    賢者の魔法使いたちの属性についての考察(妄想)・アライメントとは?
    一言でそのキャラクターの性格、人格、価値観、信念や信条を表す属性と、そのキャラクターが生前どんな偉業を成したか、どんな人生あるいは物語を歩んだかなどを考慮したうえで振り分けられるパラメーターのうちの一つ。
    細かく説明すると非常に長くなるので割愛。
    『善』とつくからいいひと、『悪』とつくから悪人、のような単純な指針ではないことだけは確かです。

    ・アライメントの組み合わせ
    『秩序』『中立』『混沌』/『善』『中庸』『悪』の組み合わせで9パターンあります。
    今回はさらに『天』『地』『人』『星』も加えました。
    おおまかに『天』は神様、それに連なるもの。『地』は各国に根付いた物語に出てくるような英雄。『人』は生前に人でありながらすばらしい才能や功績を認められた人物。『星』は人類が作り上げた歴史の中でその技術や知識といったものに大きな進歩を与えるような功績を持ったもの。
    19391

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