紙一重の劇-雨に傘を、舞台へ花束を-"Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot."
ーチャールズ・チャップリン
「物語を形に残すのはどうだい?例えば本を書くとか」
「その意味は?」
「少なくとも、文字が読めるなら誰でも、いつでもその物語を知ることができる」
「判決を記した公文書でさえ、僅かの脚色や誇張表現を逃れることはできない。事象は、その記録を試みた瞬間から、観測するものの主観という枠組みから逸脱できなくなってしまう。言葉は、事実を伝えるのには不向きだ」
「正しいな。法廷を歌劇場に、審判をドラマにしてきた俺たちが、それを皮肉るのは都合がよすぎると思うがね。だが、歴史をフィクションにするのもメリットはある」
17213