三度目までは待てないので 番外冒頭 僅かにエアコンが送風する音だけが響く夜のリビング。
ソロモンがこの部屋に引っ越すことになってから、たった二週間。慌ただしい引っ越し作業がようやく終わり、ソロモンはバラムから空き部屋を借りるという形で今日からここの正式な住人となった。
「はぁ……やっとだいたい片付いたな……」
そして、元々あった植物が減って見違えるように広くなったリビングをソファーから見渡していた。
なんでも、ここを植物の世話という条件付きでバラムに格安で貸してくれている家主が、人間が増えるなら植物が窮屈だろうという理由で部屋にある植物を人に譲り渡すことを許可したのだという。あと、その発言から人間よりも自然が好きなんだろうなと推し量れる家主から、バラムがここの様々な雑用を押し付けられていることを知った。部屋に居たかと思ったらふらっといなくなったりしていたのも、どうやら管理業務の一部を請け負っていたかららしい。その時間の多くは屋上の植物の水やりだったみたいだけれど。
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