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    yu___n1227

    @yu___n1227

    すけべしかないです多分。

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    yu___n1227

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    雇われパイ

    タートルネック「どうした…?」

     胡座の上に座ったオクタビオは、俺の胸元に目線をやったまま動かなくなった。義足を外してやり、彼を抱いて、二人きりで寛ぐ時間は好きだ。身体を完全に預けてくれる彼を猫可愛がりし、ひたすらに甘やかす。少しクセのあるような柔らかい髪を指先で撫でつけ、手が触れた部分の肌を緩く撫でる。手首、腕、太腿、背中、脇腹、腹の上、どこを撫でても触り心地がよく、同じ男の身体とは思えないほどしなやかで手に馴染みがいい。ずっと触っていたいような、服を着せて隠しておきたいような、むずむずとした気持ちになる。
     オクタビオ自身が薄着を好むので、大概素肌か、アンダーを履いているくらい。たまに胸元までの短いタンクトップを着ていることもあるが、それすら珍しい。そんな無防備な格好で俺の膝を占有する。触らないという選択肢は無く、つい手がそわそわと肌を這っている始末だ。
     しかし今日はオクタビオが落ち着こうとしない。正面から膝に乗り上げたかと思うと、俺が着ているタートルネックの黒いセーターの布地を押したり引いたりしてくる。いつもであればぐるんと背中を向けて座り、心地のいい場所に落ち着くと、そのまま昼寝をしたりゲームをしたりして寛ぐ。俺はそれを好きにさせ、代わりにオクタビオを好きなだけ堪能する。
     確かに今着ているこのセーターは今日初めておろした物だが、それが気に入らないのだろうか。

    「好みじゃないか?」
    「うん?いや、違う…」

     一瞬俺に視線をくれるがすぐにまた胸元に戻る。そして何を思ったのか、いきなり両手で俺の胸筋を持ち上げ、ぐっと寄せたり容赦なく揉み始める。あまりに突飛なことで目的も分からず瞠目するしかない。

    「、どうした」
    「…………やわけぇ」
    「……は?」

     感触を確かめるように何度も揉みしだき…、それこそ女性のそれを触るような勢いだ。ゆっくり大きく揉んでいたかと思うと、全体を上に持ち上げて落とすようにもする。何がしたいのか到底俺には理解ができない。

    「なにを、」
    「おっぱいじゃん」

     漸く見上げてきたかと思えば、子どものようにその目をきらきらさせて宣う。その言葉に反射的に手が出て、オクタビオの頭をゴツンと小突く。

    「いでッ」
    「不本意だ」
    「待てまてまてっ」
    「着替える」

     膝にオクタビオが乗っていることも構わず立ち上がろうとした。このセーターが悪いのなら着替えてくればいい。

    「ダメダメダメっ、着てろよ!」
    「おかしなことをする方が悪い」
    「違うって!羨ましいンだよ!」

     小猿のようにしがみついてくる義足の外れた身軽い彼を抱える。

    「オレはならないから、鍛えても。だから触りたいの!」

     目の色は未だきらきらとしているが、表情は至って真剣だ。

    「オレもアンタが触るの好きにさせてるだろ? 撫でられるのだって結構擽ったいの、我慢してるんだからな。オレだって触りたい。アンタはオレの、オレはアンタの、だろ?」

     それはそうだが、と返す言葉が無くなる。

    「な? いいだろ?」

     オレとオクタビオはあくまでも主従関係。言い返せる言葉もない以上、雇用主にこうも言い寄られては断れない。仕方なくもう一度オクタビオを抱え直して座った。

    「セーターになってもこんなにくっきりしてるのほんとすごいな…」

     座り直したことを了承と受け取った彼が、また容赦なく触り始める。布地を胸筋にぴたりと添わせて形を確かめ、その下になった部分を不可解な手つきで撫でる。何も感じはしないが、男として何かを失いそうだ。その間も楽しげに摩ったり揉んだりしていたが、またも突然、今度はセーターをぐいっと捲りあげる。ぎょっとして思わず体を反らせたが、それがちょうど良かったのか、オクタビオががばりと抱き着き、胸筋の間に頭を埋める。

    「…………なんだこれ……すげぇ」

     そんなところで話されるとさすがにくすぐったい。そんなことに構いもせず、彼はぐりぐりと頬を擦り付けたり、少し顔を上げてはくっつけたりして楽しんでいる。俺は眉を下げて呆れるしかなく、しかし段々と、主に対してお代を貰おうかなと思えるほど、オクタビオは遠慮が無かった。
     それから暫く、よほどタートルネックのセーターが気に入ったのか、彼からプレゼントされた物も含めてそればかり着させられた。最近では傍に来る彼に対して、はいどうぞと言わんばかりに胡座でセーターを捲り上げて迎えることも当たり前になった。そうするとオクタビオは上機嫌で膝に飛び乗り、いつもより長く時間を過ごすことが出来るのだ。
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    yu___n1227

    MOURNING
    スタンドプレイ「オクタン! 深追いはするな、周囲に多数他部隊がいる! 」
     緑の閃光は止まることなく、瞬く間に銃声のする方へ駆けていく。俺の言葉など耳にも届いていないだろう。目の前に転がったデスボックスを漁る暇も無く、急いで彼の後を追いかける。アドレナリンでブーストする彼は、味方と言えど見失ったら手間がかかる。
    「、っ……」
     銃弾もシールドも回復すら追い付いていない。無意識に舌打ちをして、坂道になっている山肌を滑り降りながらバッテリーを巻いた。近付く銃声にオクタンの姿を探し切ることは出来ず、加勢が間に合わないと思いとりあえずハックを宙へ飛ばす。マークされる敵影は四人、そこへジャンプパッドの派手な音が響いたので、すぐに端末をしまい駆け出す。立ち止まらないと支援出来ない俺のスタイルは、今のオクタンとは相性が悪いように思う。最近の彼は、何か振り切れたかのように無茶な戦い方ばかりしていた。味方を省みず自分の足だけで稼ぎ、回復も疎かに激戦区へ向かう……他のレジェンドからも呆れたような声を聞く。以前はこんなこと無かったのに、と擁護する声が無くはない。だが連携の取れなさは扱いにくさに直結し、部隊の存続を簡単に左右する。多くのレジェンドが今の彼を敬遠しているのは明らかだった。
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