腐れ縁 久方ぶりにクガネに帰省すれば、知らせを聞いたのであろう友人が駆けつける。仕事柄船の積荷を下ろしては仕分けをしているためか、すっかり筋骨隆々といった出立ちだ。
いつもであれば潮風亭で軽く酒を飲みつつ会話に花を咲かせるのだが、どうやら今は休憩中らしく、ウミネコ茶屋にて甘い団子を頬張ることにした。相変わらずここの団子は美味しい。もちもちとした食感と口に広がる甘みを、程よく苦味のある茶が引き立ててくれる。そうして舌鼓を打っていると、勢いよく茶を飲み干した友人が口を開いた。
「そういやお前さ」
「ん?どうしたのそんな神妙な顔して」
「エオルゼアだとほぼ裸のような格好した女がいるんだろ?大丈夫だったか?」
「…っ」
どこから得た情報なのか、確かに熱砂舞い散るウルダハなどでは、布面積の少ない扇状的な姿をした女性はいるが、いきなりその話題を出してくるとは露とも思わず、モカラは咽せそうになる。
「えっと……初めて見た時はびっくりしたけど大丈夫だよ」
「本当に?ぶっ倒れたりしなかったか?」
「そんな昔の話を掘り返さなくても……!僕ももう大人なんだから」
「お前が大人つったらそこら辺のガキのがよっぽど大人だよ」
そう言いながら、周りを駆け回って遊んでいる子供らをチラッと横目で眺め、ニヤニヤとした悪い笑みを浮かべる。この笑みを浮かべるのは、大概モカラの慌てた反応を見たい時だ。
だが、これでも十数年以上の付き合いがあるモカラには慣れっこだ。これがまだ子供の時ならいざ知らず、現在であれば売られた喧嘩は買う気概を持ち合わせている。
「……それ以上何か言ったらお土産あげないからね」
「わー!悪かったって!冗談だから、な!?」
「分かればよろしい」
わざとらしく偉そうに土産物……ワインポートで作られた風味豊かなボトルワインを渡せば、同じように恭しく受け取る友人に、相変わらず調子の良いやつだと、モカラはくすくすと笑みを溢した。