Something Old「なんだよ、これ」
「何ってわけじゃないけどさ。ま、気軽に受け取ってよ。真希にあげるから」
学生時代の担任教師が差し出したのは古い小刀だった。
ただの刀ではなく呪具。色や模様は分からない。昼日中のカフェであからさまな武器を人目に晒すわけにはいかないからだ。悟が差し出したのはあくまで年季の入った巾着袋で、真希はそれが帯びた呪力の形からその中身を察した。
「高けぇヤツなんじゃねぇの?」
そう考えたのは、袋からビンビンに発せられている呪力の強さからだった。長い付き合い、今さら悟相手に恐縮するようなことはないのだが、安易に受け取る前に念のためその価値のほどを尋ねておく。
「知らなーい。五条の家の使ってない蔵から出てきたらしいんだよね。ちょうどいいから真希にあげる」
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