ある日の朝いつもの手が、眼差しが、どこか違った。
ひさしぶりに恋人同士の時間を過ごした昨夜、直治さんはいつもより言葉少なに俺を抱き寄せた。
何かあったのかそれとも疲れているのかと心配になったが、別に何でもないと目を逸らす直治さんを問い詰めることが出来なかった。
それでも時折俺の名前を呼ぶ声は熱を帯びていて、直治さんからの愛情は疑いようもなく、心配を頭の片隅に追いやってぬくもりに身を任せた。
目を覚まして朝の淡い光の中で隣を見ると、眉間に皺を寄せた寝顔には隈が出来ていた
やっぱり仕事で何かあったのかもしれない。
起こさないようにそっとベッドを抜け出してキッチンへと向かう。
このまま起こさずに先に自分だけ朝食を済ませてしまおうか、そう思い冷蔵庫の扉に手を掛けた時、
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