夢から覚めても「……くん、智衣くん。おはよう、起きた?」
「ん……」
「今日、予定あるって言ってたから……ごめんね?まだ眠かった?」
ああそうだ、と柔らかな声を聞きながらぬくもりから起き上がる。
と、
「っ、」
「……なんすか、変な声だして」
「え、いやあ……腕、しびれちゃって……」
横を見れば、ベッドから起き上がりかけたまま秀一が固まっていた。
枕の上に置かれた左手が力無く伸ばされている。
その光景に、ついさっきまで自分がその腕の中で寝ていたことを理解させられてしまった。
「馬鹿なんですか!?そんなになる前に退かせばいーじゃねぇですか!」
「うーん、でも智衣くん、気持ちよさそうにぐっすり寝てたから……」
それにね、と秀一が言葉を続ける。
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