【ここあ×かくざとう×まかろんよりあまく(出勝)】「ダイナマー!」
「あン!?大·爆·殺·神ダイナマイトだ!略すんじゃねぇ!」
「それよりさー!」
「敬語!」
それはいつもの様にパトロールをしていた勝己に女子高生数人が声をかけた。
飛んでいたのだが、声をかけられては仕方がなく地上に降りたのだが、いつもの様に略された話し方をされたので思わずツッコミを入れる
「さっきアップされたデクのCMのヴォイスきいたー?」
「…は?」
先程も言った通りパトロール中。当然携帯など見てる暇もなく
「これこれ!」
親切か不親切か、高校生は流し始める
それをワナワナと震えながらきいている勝己
「あ、やばー。よしよし、とか。これ聞いていいやつ?大丈夫?」
そして周りにいた人もわらわらと集まってきた
「デクの声甘すぎー!」
「包んでほしぃー!」
「耳元で囁かれたい」
「抱かれてー」
「ココア買って帰ろう」
「こんな彼氏ほしー!」
と、多種多様に呟かれる
我慢出来ず
「っせ!」
そして
「わっ!」
ブンっと爆風
「あぶなっ」
「散れっ!」
決して危害は無い。たぶん。
そして
「ンな話しきいてねぇぞクソデク」
不敵な笑みを浮かべて、歩き出す
「えぇ、ダイナマこわぁ」
「そりゃ世間では付き合ってるって公認だし」
「これは確かに…」
「「やきもちやくよねー!」」
「ダイナマもよしよし?」
世間では勝己が抱いてると想像されているが実際は逆だ。
「チッ。ンなつくりもンのこんな声、こんな…クソッ!!!」
そして、今日1日どこいってもその話題だ
「あー!うるせぇ!!!」
イライラしながら事務所にも寄らず帰路に着く。
ジーニストには連絡済だ。
「おかえり、かっちゃん。珍しいねヒロスのまま帰宅…こ、これは!うちに大爆殺神ダイナマイトが、キタ…!」
「…」
いつもなら『俺は俺だろ』とか『ふざけんな』とか怒号が飛んでくるはずなのに、黙りだ。
「かっちゃん?大丈夫?どっか怪我した?」
心配そうな声。本気で心配しているのがわかる。
そう。これだ。
あんなつくりもんの甘ったるい声じゃなく
「抱け」
「…ぅえっ!?ちょっと!?かっちゃん個性事故っ!?本当に君大丈夫!?」
玄関先で押し倒される。
「…別に、おまえが…」
「…?」
「お前の声なんて」
「…あぁ!今日解禁のやつ?もしかして…妬いた?」
「っ」
ブワッと耳が真っ赤になる
抱きついて蹲っているので勝己の顔は見えないが熱くなっているのは出久に伝わった。
「なぁんだ、だって僕が本気で囁くのなんてかっちゃんだけに決まってるじゃん。それに包み込む、のもね」
そういってそっと抱きしめる
そして、こくんと頷いたのがわかった
「…ふふ。かっちゃんのご要望なら、うんと甘やかしてあげるね」
急に雰囲気が雄になった。
それを瞬時に察した勝己
「…ま、まて着替える」
これは間違いなく朝までコース
目が据わっている。
見なくてもわかる。
声が、ちがう。
「だってかっちゃん…ううん。大爆殺神ダイナマイトは今日もお仕事がんばったもんね。いつも以上に甘やかさないと」
にこっと笑った出久。
いつも、いつも甘やかされている自覚があるのにこれ以上とか、耐えられるわけが無い
声はいつもの声より熱が入っている、つまり致している時の声。
それこそ勝己しか聞いた事のない声で勝己を呼ぶ。
「かっちゃん」
ダメだった。
抗えない、と。
慣れないことはするんもんじないと、心に誓った勝己だった。