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    4g9Qo

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    4g9Qo

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    【全年齢】
    実は初めて書いたォョだったんですが、なかなか進まず……
    とりあえず供養、ということで半分だけ上げてしまおうと思った次第です。
    読み返したら今以上に拙いのですが、備忘録としてほぼそのまま上げることにしました🤗

    ⚠メイン任務26クリア後の謎時空
    ⚠再会捏造
    ⚠お約束展開
    ⚠二番煎じ
    ⚠ウォロ過去若干捏造

    などなど、自己責任でご覧ください。

    光に交われば 本当に偶然。ふと思い立ってギラティナと再会したもどりのどうくつに降り立った。確かに、期待が無かったかと問われれば、即首を縦に振ることは出来ない。

    「ウォロさん……」

     思考よりも先に忘れることが出来ないその名前を呼んでいた。後からしまったと口を塞ぐが、もう遅い。逃げられてしまう、めかくしだまを投げてからか、ひそやかスプレーを使ってからにすれば良かった、等と一番考えてしまうのは職業病か。

     このヒスイの大地に初めて投げ出されてから早五年。自分もすっかり慣れてしまった。元の時代が恋しくない訳では無いが、この時代にも大切な物や人が出来た。

     目の前に一人で暗闇と同化して、そのまま消え入ってしまいそうなその人も。

    「アナタ……何故、ここに居るんです?」

     ジトリ、と白銀の瞳が、睨め付ける様にショウを映す。岩に腰掛けているので視線は低いのだが、その迫力から見下ろされている様な気分だ。明らかな拒絶に怯みそうになるが、この機会を逃す訳にはいかないと自分を奮い立たせる。

    「あたしはたまたまここに来ただけです。調査隊としてまだ解明したいことは山積みですから」

    「まだギンガ団に所属していたのですか。余所者をいつまでも抱え込んでいるなんて、とんだ物好きですね」

     鼻で笑うように言い捨てる。あの一件で勘づいてはいたが、この、全ての人を貶したような擦れた態度こそがウォロ本人だということが分かる。最初の人当たりの良さは何処へやら。あの紳士的な振る舞いに助けられたこともあったので、若干寂しい気がした。

    「貴方こそ、あんな大きな計画があたしに邪魔されたのに、まだあたし達の調査区域にいるなんて。見つかるとか考えなかったんですか?」

     ショウからすれば、たくさん聞きたいことがある中で雲隠れされ、大変な苦労をかけられたのだ。つい、言葉の端々に棘が滲んでしまう。

    「はっ、嫌味のつもりですか。ワタクシにはワタクシの目的があるので。例えこの姿で見つかったところでアナタにしか分からない」

     この言葉通り、ウォロの容姿はコトブキ村の皆が知っているそれとは大きく異なっている。イチョウ商会の厚い衣に身を包んでいた過去とは違い、大荷物なのは相変わらずだが、服装はかなり変化していた。

     髪は纏めていたときとは異なり、左側に寄せて緩く編んである。
    白基調とした着物に股引を合わせた活動的な組み合わせに、上着を羽織っている。今でも各地を回って調査を進めている様だ。

    「……アルセウスとは出会えましたか?」

    「アナタ、今ここで始末されたいんですか?」

     ピキ、と顬に血管が浮き出る。しかし、ショウに悪意がなく、純粋に進捗を問うてきただけだとすぐに悟ったようだ。

    (相変わらず、コイツには毒気を抜かれる……)

    「……出会えていればこんな所には居ませんよ。本当にムカつく小娘ですね」

     それ以降そっぽを向いてしまい、会話をする気はないとその背中が示していた。
    だが、ショウもここで引き下がれない。ウォロが腰掛けている岩の反対側に回り、背中合わせになるように自らも座る。

    「……アナタ、空気読めないんですか」

    「空気は読むものではなく、吸うものです」

     ウォロの舌打ちと共に、イライラが洞窟内に漂い始める。口を開かせた時点で我慢比べはショウの勝ちである。してやったり顔のショウが続ける。

    「ウォロさん、単刀直入に伺います。あたし達と協力しませんか」

     真っ直ぐなショウの声色に嘘偽りは無い。過去に裏切られた相手にさえも、このお人好し発言とは、いかにもショウらしい。

    「自分で何を言ってるのか、理解してます?パラセクトみたいに茸に乗っ取られてんですか」

    「今感動の和解になる流れだったじゃないですか!……あたしはちゃんと正常ですよ」

     台無しじゃないですか、と苦笑しながら、ゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。

    「ウォロさん。貴方はギラティナが去った後、あたしに貴方の夢を話してくれましたよね。何年、何十年、何百年経ったとしてもアルセウスに出会い、何なら従えてみせると」

     ショウがひと度口を閉じれば、静寂が身を包む。

    「貴方は目的のためなら何をも厭わないし、何でも利用する方だと考えています。現に、アルセウスの創造物であるシンオウさま達を誘導して、あんな騒動を起こしたのですから」

     一瞬ピリッとショウから厳しい空気が立ち上る。勿論、あの時のことを許せはしない。被害者は出なかったものの、一歩間違えれば大惨事にもなりかねない出来事だった。何より利用された誉れだかい三体のことを考えれば今でも胸が傷む。

    「でも」

     凛とした声音は哀しいほど堂々としていた。不思議な圧力を感じて、ウォロの背筋が少し伸びる。このヒスイの大地は、突然召喚された少女を本来の年月より大人びさせた。この五年で少女は、その辺の人間を圧倒する迫力を出せる程に成長していたようだ。
     面白い、と頭で理解するより先に心が動く。相変わらずキテレツで、注目せずには居られない。

    「ウォロさん。あたしの夢も教えてあげます。全ての人とポケモンが協力して、この世界をもっと便利で安全な環境にすることです」

    「……おめでたい思考ですねぇ」

     本当に反吐が出るほどお気楽で、砂糖菓子の様に甘い。ただの理想論に過ぎないショウの主張に悪態をつく。

    「全ての人と、ポケモンが、共存出来る世にしたいんです。その世界には、ウォロさん」

     ショウは自らの重みをウォロに預ける。背中からお互いの温かさと鼓動が伝わった。

    「……貴方も含まれるんです。一緒に協力してください」

     忌々しい。言葉の形は依頼するものだが、そうなると信じて疑わない信念が篭っていた。どうしてこれほどまでに不確定な未来を信じられるのか。何より敵対していた自分に、そんなことを平然と伝えられることが度し難い。
    ふぅ、と一息ついてからショウに語りかける。

    「アナタは、ワタクシが時空の裂け目を起こしたと承知しても尚、ワタクシを引き入れようとするんですか?」

     ウォロはショウの安寧を壊した立場である。そのような相手、自分なら許せない。ましてや協力関係になろうと交渉するなんて到底理解し難い行為だった。

    「……あたし、図鑑を埋めながら一人で調査していたことがあるんです。このヒスイの地と……古代シンオウ人について」

    「っ……」

     こちらが見下ろしている筈なのに、圧倒されそうになる光。真っ直ぐと見つめてくる双眸は硝子玉の様に輝いて見える。

    「推測も大いに含まれますが、遺跡や発掘したポエムなどをこの五年間追い続けてきました」

     そう言って腰のポーチから使い古された帳面を取り出した。所々汚れや傷みがあり、肌身離さず持ち歩いている様子が見て取れた。
    ショウはそのまま、こちらに差し出してきた。

    「貴方に読んで欲しかったんです。見て貰えますか?」

     ウォロは訝しむ素振りを見せるが、興味が勝ったのかすぐに受け取り、静かに頁に目を落とした。資料等で文字を追い慣れている様で、サラサラと流れるように読み進める。

     ショウの角度からは顔が見えないが、時折、唸りが聞こえたり、感嘆が聞こえることから、つまらない物ではなかったのだろうと内心ホッと胸を撫で下ろす。

     最後まで目を通した帳面を閉じる。読み終えたウォロの表情は複雑なものだった。焦り、驚き、戸惑い。混ざりあった物を感じ、掛ける言葉に迷った。

    「……アナタは、何故古代シンオウ人について調べたのです?世の中にはもっと面白いものがあるというのに」

     先に口を開いたのはウォロだった。確かに、アルセウスや、世界の再構築を興味の対象にしていた人からすれば、論題は少し小さい規模になるかもしれない。

    「最初は無意識でした。色んな所に行って、いつの間にか古代シンオウ人について考えていたんです。……途中で気付きました。ウォロさんに辿り着けるかもしれないから、あたしは興味を持ったんだって」

     ショウは、先程の真っ直ぐした態度とは打って変わって、決まりが悪そうにもじもじと言葉を発する。年相応の乙女らしい反応は、普段と対極で唆られる。

    「アナタ、ワタクシのこと相当好きでしょう」

    「なっ……もっと遠回しに言えないんですか!?情緒のかけらもない!」

     あまりにも色気のない問い方に不満を漏らす。やっとの思いで会えたこの人に甘い展開を期待したのが馬鹿だったか。
    不服そうなショウだが、一度光を見失った銀の瞳が和らいでいることにはまだ気が付かない。

    「ハッ、アナタは態度に出過ぎなんです。隠し事が出来ないとこんな世界じゃ早死しますよ」

     鼻で笑うウォロから同情の念が漂ってくる。

    「余計なお世話です!もう、離して貰えますか!?ベースキャンプに帰ります!」

     気恥ずかしさからこの場から逃げ出したくなったのか、立ち上がろうとする。しかしそれを逃がす筈もなく、ウォロはショウの肩を掴み、自分の方へ引き倒した。

    「ひゃ……!」

     突然のことに抵抗も出来ず、小さく悲鳴を上げながら、先程まで背中合わせだった相手の膝枕に後頭部を支えられた。その端正な容貌をショウの火照った顔に近づけると、金糸の髪が重力に負けて垂れる。いつもは隠されている左目も、鋭い視線を注いできて、まるで捕らわれた様に釘付けになった。

     意図せず見つめ合ったまま永遠にも思える時が経つ。

    「アナタが調べた内容、推測部分に私情が多い気もしますが……大変興味深いです。ここまで調べあげるなんで、余っ程ワタクシの事を気に入っているんですね」

     ただでさえ赤い頬が熟れたキノミの様に染まった。あまりのバツの悪さにふい、と他所を向いた。

    「ワタクシの目を見なさい」

     ショウに甘く囁くと、ヒクリ、と肩を揺らして濡れた瞳を遠慮がちに向ける。あまりの初々しい仕草に支配欲を掻き立てられた。

    「知っての通り、ワタクシは自分自身の好奇心に忠実に生きている。ここまでアナタがワタクシに執着していることは想定外でしたが」

     思い返せば、この少女は今までもそうだった。
    絶望を感じざるを得ない状況でも、尚光り輝く姿はまるで太陽のようで。不可能を実現してきた行いは創造神を思わせる。

    (アルセウス……だからアナタは彼女を選んだのだと言うのですか……)

     同じ器を持つ同胞として、彼女を認め、分身を託したのか。もしそうであれば嫌に納得してしまう。そして、そんな存在に好奇心を持たずには居られない。

    「……ほんっっとうに気に食わないですが。この五年間、アナタとのバトル以上にワタクシを昂らせるものは無かった」

     二人の距離が縮まっていく。比例してショウの身体が緊張して、自然と鼓動が早まり、息が上がる。ウォロが自分にとってと特別な存在なのだと、魂が訴えかけてきている様だった。

    「こんな厄介な人間を好きになったこと、後悔するかもしれませんね?」

     悪戯に笑みを浮かべて呟いた後、グイ、と抱き起こして唇を奪った。


    end


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