pupと、shizunと、ぽっきーげーむ‪『11/11はポッキー&プリッツの日！』‬
‪付けっぱなしのテレビから流れるCMに、pupの耳がピクリと震えました。
ぽっきー。かしこいpupは、その名前と見た目に覚えがありました。‬
‪確か、この辺に。pupはごそごそとベッドの下を漁って、shizunの秘蔵の『うすいほん』を見つけます。
涎で汚してしまわないように気を付けながら器用に口と前足を使ってぺらりぺらりと頁を捲り、そうして、pupは確信を得ました。‬
‪漫画というらしい絵物語の中で、ぽっきーを両端から食べる登場人物二人のお口とお口がこっつんこ。つまり、接吻です。‬
‪きゃー。pupはぷにぷにの肉球で真っ赤なお顔を隠しました。
えぇ、勿論。pupはpupとshizunで妄そ……いえいえ、想像してしまったのです。‬
‪そんな中、遠く、玄関の方でカチャリと鍵の音がします。pupは慌てて『うすいほん』を元に戻すと、何食わぬ顔でてちてちちゃっちゃっと玄関に向かいます。‬
‪「ただいま〜。お出迎えありがとうな、冰河。いい子にしていたか〜？」‬
‪＼shizun、shizun♡♡♡／‬
‪大好きなshizunにたくさんなでなでして貰って、pupの尻尾はぶんぶんとはち切れそうです。‬
‪外気温でほんの少し冷たくなっていたshizunの手がふわふわのpupをなでなでしてほかほかと暖かくなった頃。
立ち上がったshizunの横をとてとてちゃっちゃっと歩くpupは、鼻先に揺れるコンビニの袋の中に、見覚えのある真っ赤な箱があるのに気付きました。それは、ぽっきーの箱！‬
‪やはりshizunとpupは運命の相手なのです。生き別れの兄である悪い魔法使いに魔法をかけられたpupは、真実の愛を交わした相手にキスをして貰うと、漸く人の姿に戻れます。多分、きっと、そう。そして、それは今この時なのです！‬
‪＼shizun、shizun、このでしと、ぽっきーげーむをしましょう！／‬
‪shizunがコートを脱ごうと机の上に置いた袋を、pupは咥えて床の上に降ろし、赤い箱を取り出します。
と、上から伸びて来た手が、箱を攫って行ったではありませんか！‬
‪もしかして、shizunから咥えて「んっ」ってしてくださるのでしょうか。きゃっ、shizunってば、大胆！‬
‪「こら。犬にチョコレートは駄目だからな〜」‬
‪あ、そんなぁ。pupのお耳と尻尾はしょぼぼーんと垂れます。shizunと接吻出来ないなんて！‬
‪「ほら、お前にはこっちだよ」‬
‪しかし、その後手ずから与えてくれたわんちゅ〜るとなでなで付きの抱っこに夢中になっている間に、すっかりそんなことなど忘れてしまったpupなのでした。‬