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    chinohen

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    chinohen

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    グランツーリスモの映画のやつです。ドバイのレースの夜にジャックとダニーがお話してる、こんな夜があったのならなifなやつで。二人がヤンについて話してるだけで、特に何も起きません。あと、無駄に長くなり終わらせられなかったので最後の方はグダグダしてるのと、ちゃんと読み直してないので適当なところは見逃してください。

    用意された豪華なホテルの一室でジャックはミニバーの中にビールがあるのを見つけると、それとグラスを手に取り窓のそばに据え置かれたテーブルへ並べた。窓からは異世界のように見えるドバイの夜景が見下ろせる。椅子に腰掛けて外を眺めながら冷えたビールのプルタブを引き、ジャックは中身をグラスへと注いだ。いつもなら缶に直接口をつけて飲んでしまうが、今夜はめでたい夜だ。先ほどまでヤンが見事に日産からの要求に応えライセンス獲得を達成できた祝いにと、ホテルのバーでパーティが催されていた。
    レース主催者が手筈を整えていたようで、ヤンやジャックのチームだけでなくどこから現れたのかドバイのカーレース好きの金持ちやその取り巻き達、明らかにこの国の人間ではないインフルエンサー、モデルかなにかだろう露出の多い着飾った女達、その他もろもろの得体の知れない人間達がその場で音楽と酒とヤンが引き寄せる「勝者の空気」を求めて薄暗い部屋の中で蠢いていた。
    これまではパーティなどというものからは縁のないような成績しか残せておらず、ヤンにとってはこれがリアルな世界での初めてのカーレース界での歓迎だった。まだティーンと言ってもおかしくない年齢のヤンには、これから有名になろうとしている若者にダニのようによってたかる魑魅魍魎どもを躱すのは無理だろうと、ジャックとダニーがヤンのそばにいて目を光らせていた。
    中年のジャックやダニーと違い、ヤンはまだまだ若い。パーティの煌びやかな面に気を取られ、そのすぐ後ろにある悪事への誘いにうっかりと足を踏み入れてしまうなんて事が万が一でも起きないとは限らない。ヤンはアスリートによくいる自分をエリートと信じ切っている自信満々な俺様タイプではない。好きな女の子にストレートに愛を告白できないで遠くから見続けているような、決して気が強いとは言えないタイプだ。ジャックは信じているが、それでも良からぬ輩は近づけず安全にヤンがパーティを楽しめるようにするのが役目だと、ジャックもダニーもお互いに酒を口にする事もなくヤンをつかず離れず見守っていた。
    何時間も続くはずだったパーティだったが一時間もしないうちにヤンが「こういうのあんまり得意じゃないかも。部屋に戻りたいんだけど」とダニーに耳打ちし、それが主催者へと伝わりパーティはあっさりとお開きになった。
    「こういったもんで身を崩す奴もいるが、お前は違うみたいだな」
    自分の部屋へと戻るヤンへジャックはそう言うと「俺を信じてよ」とヤンは答えた。そこいらの下手なプロレーサーよりも自覚をしっかり持っているようで、ジャックはこれからのヤンの成長がますます楽しみになった。ヤンの部屋の扉が閉まったのを見送り自分も部屋へ戻ろうと乗ったエレベーターの中でジャックはにんまりと笑みを浮かべていた。

    そうやってジャックの為にと用意されたホテルの一室に戻って来て飲んだビールの一口目は格別の美味さだった。本当であればヤンと共に酒を飲み交わしたいところだが、試合の後のレーサーがどれだけ疲労困憊なのかはジャック自身がよく知っている。それに、ヤンはイギリスにいる彼女と今日あった事を話したいだろう。若者は若者同士でいるのが一番楽しいのだというのもジャックは理解しているので、ヤンの父親の方がずっと近い年齢のジャックはグラスを掲げこの場にいないヤンへと祝杯を掲げるだけだった。
    「おめでとうヤン、そしてようこそ地獄と隣り合わせのプロレーサーの世界へ」
    ジャックはそう独り言を呟くと、いつも飲み慣れているものとは違う異国の味がするビールを喉に流し込む。シュワシュワと喉を通る感覚を味わってから「ふうっ」と一息し泡が残るグラスをテーブルに置く。
    ヤンには才能がある。アカデミーでヤンが自分の車の不具合をいち早く把握していた時から、ジャックはヤンがレーサーとしての経験も積んでいるのだと理解していた。この後も成績を残しヤンはレーサーとしての功績を残していくだろう。だがジャックはヤンを心配もしていた。命の危険がついて回るのは勿論のこと、心が潰されてしまわないかどうか、それを危惧していた。
    シムレーサーとしていくら車をサーキットで走らせるシミュレーションをしたとて、現実では生きた人間と競い合うのだ。ゲームの中ではマシン同士がぶつかろうが、自分がコースを外れクラッシュしようが、人が死んだりしない。だが、ヤンがこれから走り続けるコールの上では絶対に事故が起こる。運良く人命が失われるような事がなくとも、人が血を流し悲鳴をあげて炎に包まれる光景を目にするだろう。その時、ヤンはそれを受け止められるだろうか。心の傷となり、ある日サーキットの上でハンドルを掴む事もアクセルを踏む事も出来なくなってしまわないだろうか。過去の自分と同じように。
    ジャックはあの真っ直ぐで根性も座った青年に心の傷を引き摺り人生を全て駄目にしてしまうような事はさせたくなかった。そしてなにより、走れなくなった後も未練がましくカーレースの世界にしがみつきながら、捻くれた妬みを含んだ羨望の眼差しをレーサーに向け残りの人生を生きて行く負け犬のような自分のようになって欲しくなかった。
    だか、コースを走るヤンにジャックが出来る事は精々インカムからアドバイスを送るだけだ。ヤンをサポートしてやりたいが、ヤンの人生の責任を取ってやる事はジャックには出来ない。本当にこれで良かったのかと、ジャックは今日のレースで喜ぶヤンの姿を思い浮かべた。
    シンとした部屋に呼び出しベルの音が鳴った。ジャックがドアの方へと視線を向けると、ドアの向こう側からドアをノックする音と「ジャック、俺だよ。ダニーだ。まだ寝ていないだろ?開けてくれないか」と声がした。パーティではジャックはダニーと一緒にいたが、ヤンが部屋に戻るとジャックはヤンと同じように自分の部屋に戻りダニーはパーティに残りと別れていたのだった。ダニーがここにいるという事は、あのパーティも主賓のヤンがいなくなってから間も無くさっさと人もはけて行ったのだろう。ジャックと違い、ダニーは広報でヤンを支援している関係パーティを途中で抜けたりは出来ず主催者へ御礼をしたり、また支援の約束をこぎつけたりとわずかな時間にも色々としていたに違いない。ジャックはのっそりと立ち上がり、ドアロックを外してダニーを迎え入れた。
    「どうした?なにかあったか?」
    「やっぱり寝てなかった!良かった!」
    「お前、俺をなんだと思ってる。俺をじいさん扱いする気か?」
    ダニーの言葉にジャックは少しだけムッとして見せる。ダニーは慌ててジャックの言葉を否定した。
    「えっ!?そんな事はないよ!いや、その、これは俺の方の問題というか」
    「いいから、要件はなんだ」
    「ちょっとここじゃ……部屋に入れてくれないか?すぐに終わるから」
    人懐っこそうな笑みをダニーはジャックに向ける。ジャックとしては特別拒否する理由もないが、ダニーがわざわざ他の人間がいない自分とだけの話があるという事に少しだけ警戒心を持ってしまう。ダニーが話というのはきっとヤンの事に違いなく、何か自分にだけ聞かせたい内容なのかもしれない。笑顔を浮かべているのだから深刻な話ではないだろうが、ここで簡単に話を聞いておくかと「手短にな」と言ってジャックはダニーを部屋へと招き入れた。
    部屋に入りダニーはジャックに言われるがまま窓際の椅子へと腰をかける。チラリと視線をテーブルへ向けると「やっぱり呑んでたんだ、俺ももらっていいかな?」と自分も同じものをとジャックへと頼んだ。
    勝手に人の部屋に来て腰を下ろすなり自分にもビールをくれと言い出してくるなんて、いつもは必要以上に気を遣っている男のくせになんなんだコイツは。ダニーという男がいまいち掴めないジャックは部屋に入れずに廊下でそのまま話を聞けば良かったかと一瞬後悔しかけたが、自分を見上げてビールを素直に待っているダニーへと「お前は缶のまま飲めよ」と言いミニバーからビールの缶を一つ取り出して手渡した。
    「ありがとう」
    少年のような笑顔を浮かべてダニーは受け取ったビールの缶をプシュッと音を立てて開けた。少し溢れ出した泡を慌てて口にすると、そのままグイッと缶を傾ける。
    「おい、そんなに喉が渇いてたのか。さっきまでパーティに残って何してたんだ」
    「君が帰ってからも俺はこのプロジェクトに賛同してくれそうな人を紹介してもらったり、主催関係者の人達にたくさん挨拶をしたり、まあ他にも色々とあって飲み物を口にする時間もないくらいだったよ。時間もあまりなかったしね。だから君がいう通りに俺は喉が渇いていたのは正解」
    「そうかい。でも、お前の仕事はそれだろ?俺はサーキットの上が、お前はお偉いさんや誰や彼やがいる場所が職場だ」
    「それはその通りなんだけどね」
    そう言ってダニーは手にした缶にまた口をつける。仰け反ったダニーの喉仏が上下に動くのを見ながら、ジャックは「んで、用ってのはなんだよ」とせっついた。何かを言いたいのに切り出せない人間特有のソワソワしている気配をダニーからドアを開けた時から感じていたジャックは、言いたい事があるならさっさと言えと腕を組みダニーを見下ろす。
    「ジャック、君って結構短気だったりする?」
    「いや、俺はトロくさい奴が嫌いなだけだ」
    「そう。じゃあ、君もそこに座ってくれるかな」
    ダニーは向かいの椅子にジャックも座るように促す。先ほどまでの笑顔を引っ込め畏まった顔に切り替わったダニーに、ジャックは真剣な雰囲気を感じて言われた通りに椅子を引いてダニーと向かい合った。いつになくダニーのシリアスな雰囲気に、もしやヤンの今後について日産からなにか話が出たのかもしれないとジャックは身構えたが、ダニーから出たのは予想外の言葉だった。
    「俺は、……君に謝りに来たんだ」
    「俺に、謝りにだと?」
    ジャックは目をパチパチとさせながら、思わずダニーの言葉を同じように繰り返してしまう。
    「その、アカデミー候補生の最終選考での事を謝りたいんだ。ヤンが僅差でマティに勝ったと言うのに、俺は実力ではなく『世に見せても恥ずかしくない人物』かどうかを基準にしてマティを選ぶように言ってしまった。あれは完全に間違っていた。魅力的に見えるかどうかは問題じゃない、レーサーは勝てるか勝てないか、それだけが最も重要だったのに。今日、あの子は我々の期待とプレッシャーに応えて立派な成績を残した。あの時、ヤンを選んでいて正しかった。君は正しかったんだ。俺は間違っていた……あの時の言葉を許して欲しい」
    静かに語るダニーの声や視線から、自らの行いを恥じているのがありありと分かる。ジャックにはダニーのあの時の判断に反感は持ってはいたが、それはお互いこのプロジェクトにおける立ち位置が違うからだというのは理解していた。自信に溢れ見栄えのするのは明らかにヤンよりもマティだったのは事実な上、ジャックは勝つ事をダニーは失敗しない事を求められていたのだから、求める人物が違っていたのは仕方がないだろう。
    「気にするな。俺とお前では立場が違うんだ。お前はお前の仕事をしようとしただけだ。許すも何もないだろ」
    「………ありがとう」
    そう言ったダニーは、それまでの緊張が解けたのか気配が柔らかくなったのをジャックは感じた。
    「んで、そんな事を言う為にわざわざ俺の部屋まで訪ねて来たってわけか?ヤンがライセンス獲得したっていうめでたい夜に?」
    「だからだよ。これを君に言わないと、これからプロレーサーとして走るヤンを君と言う人間と一緒に応援できないんじゃないかって。だって、俺はヤンが相応しくないと君に言ったんだ。これから厳しい戦いがたくさんあるだろうけど、その時にあの事が俺と君の間で棘になって残ったりしたくなかったんだ」
    「そうか。真面目な奴だ」
    「ヤンのためだよ。今日の走りを見てヤンを選んで良かったと思えたんだ。このプロジェクトがどうなろうとも、あの才能を無駄にしちゃいけない。だから俺は全力でヤンをサポートするよ」
    まるで夢を語る少年のように、キラキラと目を輝かせるダニーをジャックは眩しそうに見つめる。ダニーにとってはこれからが輝かしい日々の始まりなのだろう。だが、ジャックにとっては輝かしさと同じ位に、ヤンの身を案じ続けなければならない苦しさが常に付き纏う日々の始まりだった。それはきっとレーサーをフェンスや画面の向こうから見続けて来たダニーと自分とでは大きく違っているからだろう。
    「……お前はヤンを選んで良かったと思えたのか」
    それまでの笑顔がふっと消え、ダニーが戸惑うような表情を浮かべ訝しげに首を傾ける。
    「君は違うとでも言うのかい?」
    「俺は、……俺は後悔しているのかもしれない」
    「後悔だって?」
    「……ああ、そうだ」
    ジャックは少しだけ言い淀んでから、これからレーサーとしてやっていくヤンの未来への危惧をダニーへとぽつりぽつりと吐き出した。危険も増す、酷い事故を目の当たりにした時に残る心の傷、自分の半分も生きていない若者の未来に自分も責任を負っているという重圧。ダニーはそれに口を挟む事なく真剣に聞いていた。
    「あいつには、俺と同じようになって欲しくないんだ」
    その一言は口にしたジャックさえも思いもよらないほど深く重たく部屋に響いた。二人の間に沈黙が流れる。自分の心のうちを思わずダニーへ伝えてしまった事がなんだか恥ずかしくなり、泡もすでに消えてしまったビールの入ったグラスへ手を伸ばすとジャックはグッとそれを飲み干した。グラスを掴んだ手には結露した水滴が触れて、それが集まり手のひらから滴り落ちる。不快にじっとりと濡れるジャックの手の上に、温かく柔らかなダニーの手が重なった。
    「大丈夫だよジャック。あの子は君と同じにはならないよ」
    優しく、だがはっきりと断言するようにダニーは言った。
    「君と言う人がいるんだ。君がいればヤンが道を見失う事なんてない」
    「……なぜそんな事が言える?」
    「そうだね、明確な根拠なんてない。だけど俺たちはジャック・ソルターという素晴らしい才能を失う経験をしているんだ。もう二度と同じような事はしない、そうだろ?」
    触れ合う手の温もりの奥に熱く燃えるような情熱をジャックは感じ取りダニーの目を見つめると、ジャックの目を見返す瞳には強い輝きが浮かんでいた。
    「なんだか、お前が言うとその通りになりそうだ」
    「そうだろ?俺は人を信じさせるのが上手いんだ」
    「そうだったな。これがお前の才能なんだった」
    ジャックがくすりと笑いかけると、同じようにダニーも顔を綻ばせた。何も解決していないし、良い解決策が出たわけでもないが、ダニーの言葉はジャックの心の中に溜まった不安を軽くさせてくれた。ジャックが歩めなかった道をヤンが歩めないとは限らない。何かが起きても、ジャックにはヤンの気持ちが手に取るように分かるだろう。ジャックがレーサーの道から遠のいた時、もしも誰かが側にいて道を照らしてくれていたら今とは違う未来があったのかもしれない。あの時、自分のそばにいてくれなかった誰かに自分がなればいい。ヤンに何かあった時にはそばにいて支えよう。ダニーの言葉には、そう思わせてくれる何かがあった。
    「じゃあ乾杯しないか?俺たちのヤンの健やかな未来のために」
    ニコッと笑顔を浮かべると、ダニーは立ち上がりミニバーから缶ビールを二つ取り出し開けると二人の前に並べた。
    「俺はいいとは言わなかったぞ」
    「まあいいだろ?じゃあ、乾杯だ。これからのヤンの明るい未来のために!」
    「……これからのヤンの未来のために」
    ジャックとダニーは手にしたビールの缶を掲げた。アルミの缶が二つ軽く合わせてると、二人は開け口に泡がこぼれ始めたそれをサッと喉へと流し込んだ。ジャックが一人の時に同じようにヤンへとビールを掲げたが、今とは全く違う言葉だった。ジャックの言葉を変えさせたのは間違いなくダニーなのだが、それを相手に伝えるにはまだ二人の関係は成熟していると思えずジャックは心の中に留めておく事にした。
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    chinohen

    DOODLES2の5話でロキの本心をシルヴィが引き出した、あのシーンがもし続いていたらな捏造。ロキメビのつもりです。メビウスを愛おしいと思うロキと、話を聞くシルヴィ。短いのとちゃんと読み返してないのですみません。
    ロキ→メビウス流れてくる昔のロックミュージック、ビリヤードの球が弾ける音、昔のゲーム機から恐ろしそうな声が聞こえてくる。アンティークと呼ぶにはまだ若い、一昔前のものに囲まれているバーの中で、シルヴィはバーボンをワンショット一気に飲み干してからバーテンダーに「もう一杯もらえる?」と言った。
    「それで、詳しく聞かせてよ」
    隣のスツールに腰掛けて項垂れているロキに好奇心一杯に目を輝かせながらシルヴィは言った。TVAを救わねば、とシルヴィの前に現れたロキに何度もやり直しをさせて何度目かにようやく「友達を取り戻したい。独りは嫌だ」と本心を引き出したシルヴィは、さらに深い本心を聞き出したくてうずうずしていた。シルヴィにとってはロキの言う崩壊しかけているTVAの行く末などどうでも良く、ただ別な世界の自分がここまで言い切った相手について知りたくて仕方がなかった。チラリとロキはシルヴィへ視線を向けたが「今はそれどころじゃない」と言って突っぱね、立ちあがろうとした。だがシルヴィはそれを許さずにロキの腕を掴んで「今だから、だって」と、そのままスツールに引きとどめる。
    2023

    chinohen

    DOODLEグランツーリスモの映画のやつです。ドバイのレースの夜にジャックとダニーがお話してる、こんな夜があったのならなifなやつで。二人がヤンについて話してるだけで、特に何も起きません。あと、無駄に長くなり終わらせられなかったので最後の方はグダグダしてるのと、ちゃんと読み直してないので適当なところは見逃してください。
    用意された豪華なホテルの一室でジャックはミニバーの中にビールがあるのを見つけると、それとグラスを手に取り窓のそばに据え置かれたテーブルへ並べた。窓からは異世界のように見えるドバイの夜景が見下ろせる。椅子に腰掛けて外を眺めながら冷えたビールのプルタブを引き、ジャックは中身をグラスへと注いだ。いつもなら缶に直接口をつけて飲んでしまうが、今夜はめでたい夜だ。先ほどまでヤンが見事に日産からの要求に応えライセンス獲得を達成できた祝いにと、ホテルのバーでパーティが催されていた。
    レース主催者が手筈を整えていたようで、ヤンやジャックのチームだけでなくどこから現れたのかドバイのカーレース好きの金持ちやその取り巻き達、明らかにこの国の人間ではないインフルエンサー、モデルかなにかだろう露出の多い着飾った女達、その他もろもろの得体の知れない人間達がその場で音楽と酒とヤンが引き寄せる「勝者の空気」を求めて薄暗い部屋の中で蠢いていた。
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