桐生チャンはサンタクロース「お、サンタさんや」
12月25日、クリスマス。
チラチラと細雪が降る中、コンビニの前でガタイのいいサンタクロースを見つけて立ち止まる。
「くそッ…」
赤い帽子に赤い服、白い髭こそないものの、クリスマスケーキ販売中というプレートを抱えたサンタクロースは、真島が足を止めるなり面倒くさそうに舌を打った。
「なんやぁ桐生チャン、ここのコンビニでバイトでも始めたんか?」
話しかけてくれるなとばかりにプレートで顔を隠してしまったサンタさんに近付き、その顔を覗き込んでみると、案の定、迷惑そうに尖った瞳と視線が交わる。
今にもため息が零れ落ちそうな男の表情に、堪らず笑みが溢れてしまったのは言うまでもなく。そんな真島を見て、サンタさんこと桐生はとうとう形のいい唇から深いため息を零したのだった。
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