人でなしと人でなしの恋②の途中 ドラルクはあまり夢を見ない。
それが彼の本質である享楽主義によって記憶の整理を必要としていない故の事なのか、永い時を生きる吸血鬼という生物的なものなのかは分からない。
幼い頃、両親や祖父、血族の皆や糞ハブラシヒゲ師匠なぞにその疑問をぶつけてみたりもしたが結果は半々で、二世紀を超える年齢となった今も結論は出ていない。
無論、全く見ないと言う訳でも無い。強烈な体験やストレスといった良くも悪くも精神的に強い衝撃を受けた時などは、それらが夢となって表出する。
一番記憶に残っている夢は、最愛の使い魔を故郷へ残してきてしまった、あの苦しくも愚かな日々に見たものだったか。ジョンと再会するまでの間、毎日の様に愛おしき○の姿を夢で見て、目覚める度に湿った枕に鬱々としたものだった。
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