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    ui_asP

    @ui_asP

    たぶん男性向け以外はこちらに。予定は未定。

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    上一風味/書きたいとこだけ
    何を言っても勝手に地獄に堕ちようとするのを打ち返してくれるラスボス守護天使一、の概念だと思って雰囲気で読んでください

    落ちる。落ちる。
    上条当麻は自由落下の真っ最中にあった。
    高さは上空100キロメートル。大気圏すれすれから落下する旅路はまさに地獄までの片道切符であったが、道中にいる上条の顔はやけに晴々としていた。まるで、やれることは全てやった、自分が数分後にどうなるかはわからないが守りたいものを守りきることができた、だから十分だと、そう言いたげな顔。
    この旅路に至るまでの物語は、特段語るまでもない。たまたま出会った誰かが困っているから、手を貸した。異能の類に出会い、命からがら相手を倒し、助けたいと思った人が再び笑ってくれた。ただ、それだけの話。短編集の一編にも満たない、ありふれた話。
    そう、よくある話だった。だからーー

    「だから簡単に予測されちまうンだよなァ」

    仁王立ちの白い影が上空を睨む。地上から肉眼で確認できる距離に上条はまだ到達していない。にもかかわらず、一方通行は確かに上条当麻をまっすぐに見つめ、睨みつけていた。

    「ったくよォ、なンでバカってのは死ンでも直ンねェのかね、おかげでこっちもゆっくり死んでいられねェンですけどォ」

    見開いた赤い瞳の奥で無数の演算が処理されていく。上条当麻が持つ幻想殺しは、上条の意思に関わらず全ての超自然現象を砕いてしまう。一方通行の能力も例外ではない。だから、超自然現象を無効化する能力があることを前提に演算を組み直す必要がある。
    平気な顔をして悪態を吐く一方通行だが、仁王立ちのまま一歩も動かないのは、一歩も動けないほどの演算行使を強いられているのと同義だった。

    「毎度毎度死に急いでンじゃねェよ、人の気も知らないで……感動の再会にはまだ早いっつゥの」

    ここで上条当麻を失うわけにはいかない。
    世界の命運も、ひとつの街の治安も、この瞬間どうなったって構わないと思った。
    自分がこの場所で自分の足で立っているのは、ただ上条当麻の最期を看取るためではなく、何としてでも上条の命を繋ぐためだ。
    誰よりも先に地獄に堕ちたことすら意味があったのだと、今だけは、思い上がってもいいだろうか。
    上条当麻には絶対に届かないと知っていて、一方通行は声の限り叫ぶ。

    「愛してるぜダーリン、……二度と来ンな!」

    叫び声と同時に発現した能力は、緩やかに上条当麻が落下するスピードを削る。並大抵の能力では上条の落下そのものを止められないのだから、落下速度を削っているだけでも奇跡のようなものだが、このペースでは上条が勢いよく地面に叩きつけられるのを止められない。
    止められない、はずだった。
    自由落下の最中、奇妙な感覚に上条が思い切り目を閉じる。意外と早い地面との衝突に備えるつもりだったのに、上条の体にはいつまで経っても痛みが訪れない。
    恐る恐る上条が目を開けると、上条は激突の衝撃どころか、着地の感覚さえ何もなかったかのように、地面に座っていたのだった。
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