終わった話男がひとり、河に飛び込んだらしい。
デラウェア河のほとり、揃えて置かれた男物の靴。水上のざわめく通行人と喧騒を余所に水面は静かにゆらめいていた。
真っ暗な空間を掻いで進む。逸る気持ちを脚に伝え底へ、底へ。河底に眠るようにうずくまる人影。
やっと逢えた──
こんな寂しい場所に居たんだねマジェ──
もう離れない、ずっとそばにいる──
ディスコはマジェントだったモノを強く抱きしめ、瞼を閉じた。
***
風がくるくる巻き毛をなでる。
遊具もない公園の真ん中で、子供がぽつんとしゃがんで足元を見つめている。5歳になったぐらいの黒髪の少し色白で痩せっぽちな男の子。自分の作る小さな影と足元の砂と小石しかない寂しい地面の上で列を作って這う蟻をただ静かに見ていた。
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