3月のメランコリック「や…やったぞアンジェロ!」
「やったねえリンリン!これで無事に、オレたち卒業だね☆」
「庵條先輩、さすがに高校生活5年目は回避しましたか。ともあれ、お二人ともおめでとうございます」
「待ってジョージ、それはひどくない!?オレだってやりたくて4年も高校生やってたわけじゃないんだから!」
「ま、当然ぼくたちも全員進級課題はクリアしたし。これであとは卒業式だけだね」
「……単位、足りた……良かった」
「あー…墨ノ宮先輩、単位ギリギリなんでしたっけ。よかったっすね。
じゃあ、先輩たちの卒業祝いにパーティーとかやりましょうよ!ぱーっと!」
「ぱー、てぃー…楽しみだ」
「…ん?小花、どした?」
「へっ、い、いえ!何でもないんです!パーティー、わたしも楽しみです!
たっくさんお花飾りますね!」
「ああ、頼んだぞ愛ヶ咲。それなら、早速打ち合わせに入るか」
「…あれ、どったのリンリン」
「…いや、何でもない。行こうぜアンジェロ、置いてかれるぞ」
「いやもう置いていかれてるよ、リンリン。…心配事は、愛しのリトルフラワー、かな?」
「…アンジェロ、伊達におれより長く生きてねーんだな。
いや、さ。おれは卒業するけど、あいつはあと1年ここにいる訳じゃん。
その1年の間にも、きっとあいつはどんどん成長して。下手したらおれより遥かにすごい奴になるのかもしれない。
当たり前なんだけど、おれはその成長の過程を一番近くで見られないんだな、って」
「…リンリン、そんな子だったの」
「ちょっと待て、どういう意味だアンジェロ」
「んー、なんていうかさ、リンリンってわりとそういうとこ割り切ってる、っていうか。
離れるなら離れるでしょうがない、みたいに思ってるのかと思ってたから。
…あの子を残していくの、心配?」
「…まあ、心配じゃない、って言ったら嘘になるな。なんせ、あいつ大分ぽやっとしてるとこあるじゃん。
悪い虫が引っ付くんじゃないかって、今もめちゃくちゃ不安なんだ。
むしろそっちのが心配なのかもしれない」
「あーーー…、確かに。男としてはそっちの方が不安かもね。
リトルフラワー、あんなに可愛いし「おい」いや、さすがに人の彼女取る趣味はないよ。
でもさ、リンリン。自信持ちな?」
「今、あんなにも綺麗になったリトルフラワーは、リンリンが育てたんだよ?」
「…なんか、育てたっつうと変な意味に取られかねないんだけど」
「あながち間違ってはないと思うけど。アルティスタとしても、一人の女性としても彼女を育てたのは誰でもないリンリンじゃない。
それに、女の子は恋をすると綺麗になる、って言うでしょ?」
「……おう。サンキュ、アンジェロ。……はっ、なあ、それはそれとして、虫除けとか用意しとくべきか……!?」
「……えーと(あ、これもうほっといた方がいいやつだ)」