花を贈る 2月14日。毎年あまり意識していなかったその日は、今年から特別な意味を持つ日になった。
ラファエロの腕の中には大きな花束がある。わざわざ衣服で肌と甲羅を隠して街まで買いに行ったものだ。下水道には似つかわしくない華やかな香りが鼻腔をくすぐった。
2月14日。特別な相手に贈り物をする日。ラファエロにとって、ドナテロは特別な相手になった。何を贈ればいいのかあれこれと頭を悩ませて、結局花束に行きついた。これで正解なのかはわからない。バクバクと鳴る心臓とともにドナテロの部屋に辿り着く。ノックをすれば返事があり、一つ大きく深呼吸をしてドアをくぐった。
「やあラ、ファ……」
ラファエロを迎えたドナテロの瞳が丸くなる。両手で抱える大きさの花束は、どうしたって真っ先に目に入る。
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