興味本位で惚れ薬を作ったドナテロと、それを頭から被ってしまったラファエロの話 スプリンターことヨシ・ハマトの私物には、古い書物がいくつもあった。
そのほとんどが武術や忍術にまつわるものだ。体術や心構えについて書かれたものや、武器や道具が記されたもの。古い時代に使われていた薬についても記されていた。傷を癒す薬草、幻覚を見せる薬──心を惑わせる薬。
科学者とは大抵にして好奇心に満ちているものだ。
少なくともドナテロは、思いついたことは試さずにはいられない質だった。
「これで完成……のはず」
ビーカーの中身を掻き混ぜながら一人呟く。師の書物にあった秘薬の再現を、ドナテロは試みている最中だった。
必要にかられたわけではない。ただ出来そうだったから、作ってみたかったから行っている、要は趣味である。
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