手遅れ 呪いを学び、呪いの祓い方を学ぶという特異性故に生徒数が圧倒的に少ない呪術高専という学び舎で。
在籍する生徒数なんて全学年合わせても二十人も居ないような専門学校ではあるが、無駄にだだっ広い高専の敷地内。座学を教わる学舎から、午後の体術訓練が行われる修練場までの道のりをショートカットするべく通りかかった道ともいえぬ木々の生い茂る獣道をひた走ること数分。ようやく正規ルートであるコンクリートで塗装された階段まで辿り着こうかという時に、木々の隙間から漏れ聞こえる声を耳が拾った。
「ー……さい、五条くん」
「そういうの良いから、用件だけさっさと言ってくんない?」
知らない女の人の声に続いた耳馴染みの良い聞き慣れた声。
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