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    KANOKE_SUKOPPU

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    KANOKE_SUKOPPU

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    2019年04月07日に作成した一次創作の小説

    無名あるスラム街の、それはいつもに比べて闇の密度が濃い夜。死霊たちが好みそうな雰囲気が漂う墓地。
    そんな場所で急ぐように小刻みに足を運ぶ髪の長い顔の幼い紫の瞳の女がいた。
    その場に似つかわしくない白い魔女帽子に、白いフード付きのマントをなびかせ、高貴な金の刺繍が施されている白いカソック、白いレースアップブーツを履き、手に持つは火をつけてしばらくたったのだろう消えかかっている蝋燭。幸いにも強く風が吹くことは無く火の灯りは保たれており、弱々しくも彼女をハッキリと照らしていた。

    「私だけじゃあこの街を救えない。本当はしちゃダメなのだけれど…これはみんなのため…私利私欲ではない…私のためじゃないわ。」

    ある廃墟にようやくたどり着いた彼女は腰を下ろし懐から持参したある本とチョークを取り出し、これからすることに罪悪感を覚える彼女は自身を落ち着かせるように言い聞かせ地面にチョークで魔法陣を描き始めた。
    彼女の手つきからみて慣れているという訳ではないようだが、天才なのか才能なのか、正確にその陣を描いていた。

    「よし…これでいいのだわ…。頭が5つ、足が10本の生贄がある…契約はみんなを助けるためにお薬を作るのを手伝って欲しいのと、お薬で治せないものを治してもらう…大丈夫よ私!私ならできるわ…!」

    彼女はそう決意し、魔法陣に向き直る。
    自身の親指を歯で血が出るくらいまで齧る。この行為に彼女は痛そうに顔を歪ませる。その親指から滴る血を魔法陣に垂らし、こう唱えた。

    「BAZUBI BAZAB LAC LEKH CALLIOUS OSEBED NA CHAK ON AEMO EHOW EHOW EEHOOWWW CHOT TEMA JANA SAPARYOUS……!来たれ…!地獄を抜け出しし者 十字路を支配するものよ
    汝 夜を旅する者 昼の敵 闇の朋友にして同伴者よ!
    犬の遠吠え、流された血を喜ぶ者 影の中墓場をさまよう者よ
    あまたの人間に恐怖を抱かしめる者よ
    ゴルゴ モルモ 千の形を持つ月の庇護のもとに
    我と契約を結ばん…!」

    そう彼女が呪文を言った途端、顔を向けられないほどの風が彼女を襲い、廃墟の壁がピシピシと嫌な音を立てながら何とか形を保っていた。
    ふと突然、恐怖が不安が彼女の心にどっと押し寄せてきた。足がガクガクと震えた。
    怖くあるものか。これはただの風だ…風だから!と、これが悪魔なのかと肌で感じた。
    彼女にとってとても長いように思えたが、それは時にとっては一瞬の出来事で。

    「…。私をこんな所に呼び出したのはお前か…。…ふふふ…はははは!!運が良かったな。私はなんでも叶えられる。さぁ望みを言ってみろ。」

    雲が空け、月の光が廃墟の穴から差し込み、彼彼女らを照らした。
    魔法陣から呼び出された彼は、銀髪で、体型は脚のすらりとした颯爽とした長身。赤のウェストコートに、赤のスラック。靴はビジネスブーツを履いた美青年。
    彼の真紅に染った瞳が彼女を鏡のように瞳に映した途端一瞬嫌そうに顔を歪ませたが、すぐにご機嫌になったようで彼女に問うた。

    一方彼女の方はと言うと、目の前に現れた美青年に心を奪われていた。悪魔は相手の望む姿に化けると言われていると聞いたのだが、ただでさえ面食いだった彼女の好みドンピシャだったのである。彼女は呆気にとられその場にへたりこんだ。

    「…?どうした?…ふふ…悪魔は初めてか?……ふむ。初めてにしてはこの私を呼び出すとは…そこは褒めてやらんことも無いぞ。さあ早く望みを言え。」

    と悪魔は自慢げにくつくつと笑った。それもいけなかった彼女は、にやけそうな口をはにかみながら苦しそうに自身の心臓を抑え、蹲った。(そんな…!素直じゃないなんて…!尊い。尊すぎる)と。彼女はのたうち回りたい気持ちを押さえつけた。その様子はまるで心臓発作が起きて苦しんでいるようにも見える。
    そんな彼女の様子をみて悪魔はぎょっと目を丸くした。せっかく召喚されたというのにいきなり相手に死なれてしまうと思ったのであろう悪魔は、
    「えっ…ちょっ……お前まさか俺を呼んでおきながらいきなり死ぬってことないよな…!?お、おおい…初めはサービスしてやらんでもないから望め…望めって」

    と困惑しながらも彼女の元に駆け寄り肩を軽く揺らす。彼女はもう我慢出来なかった。

    「の、望ん…でもい……いいですか…?」

    彼女は苦しそうにも体を起こし縋った。

    「の、望めよ…?」

    ガッと先程苦しんでいた人のように思えない力で悪魔の肩から腕にかけて手で逃がさないと言うように掴んで『お願い』をした。

    「私の旦那さんになって欲しい…ぐぅ…」
    「わかった!……。…………は???????」
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