傷落ちの雄花~②~翌日から浩介は、時間さえあれば青木の家に来るようになった。
「あんな惨状を見て、放っておけるわけが無いでしょう。それと、包帯探してた時に見付けたこれ、俺が預かっておきますからね。本当に油断も隙も無い」
それはほんの少し前に、闇市で買った劇薬入りの瓶だった。
「念入りな奴め…」
青木は鬱陶しそうな素振りを見せるが、内心は別の事で頭がいっぱいだった。
とりあえずこの燻る感情を浩介に真っ直ぐ伝えなければ、執筆にも集中出来ないと思い、心苦しいながらも切り出した。
「すまない、浩介…」
「原稿、出来上がってないんですか?まぁ今回は病み上がりですので多少の遅れは上も加味して下さるとは思いますが…」
「その事ではない」
青木はこの前浩介が忘れていった、青木の肖像画を差し出す。
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