千年先の揺籠でカナリアは愛を唄うガウン、と響く銃声と夜闇に立ち昇る硝煙の香り。風に翻る赤いマントを靡かせて、銀色の銃を構えた男は、その冷たい青の双眸で目の前の吸血鬼を見下ろした。
顔の横すれすれを撃ち抜かれ、その後ろの壁には銃弾が突き刺さっている。
普段であれば人懐っこい態度で飄々と笑う男であると言うのに、今はまるで見る影もない。
温度の無い冷え切ったその青の瞳は、ただただ絶対零度の視線を恐怖にへたり込んだ吸血鬼へと注いでいた。
「……おみゃあ、“紡ぎ車の魔女”を知っとるか?」
低く、感情を押し殺した様な声で、その赤の退治人は問いかける。恐怖に絡め取られた吸血鬼は、その問いかけに直ぐに応えられるだけの度胸は持ち合わせていなかった。
あ、とか、うぅとか呻くだけのその吸血鬼の様子に、レッドバレットは冷えた瞳を更に細め、その銃口を容赦なく吸血鬼の眉間に突き付けた。
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