どさっ、と地面に押し倒される。布団はまだ敷いていないし、風呂だってまだだ。鍛錬から帰ってきたばかりでつかれているはずなのに、三郎は興奮している。その顔には余裕がないが、しかし笑っている。獲物を見つけた狩人のような、ぎらぎらとした目つきで。
今日の三郎はずいぶんと性急だった。いつもなら散々焦らしてから、「そろそろ触ってあげようか?」とでも言わんばかりに笑って、ようやく触ってくれるくせに。いきなり褌の中に手を突っ込んで、やわやわと撫でられる。
「う、ぐっ……!」
思わず出た声を抑えようと、咄嗟に手で塞ぐ。なんとも色気のない声だという自覚はあったが、それでも聞かれるのは恥ずかしい。そんなことを知ってか知らずか三郎は笑った。「はは、色っぽい声」。どこが。
1590