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    taiso_huku

    すけべな鉢雷など

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    taiso_huku

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    酒とキスの組み合わせが好きすぎてゴメン ぺろ

    #鉢雷

    同室の鉢屋三郎と恋仲になったのは少し前のことだ。真剣な顔で僕に想いを告げた三郎にどきりとしつつも、それでもこれまで友達として接してきた男にすぐ応と答えることもできず、優柔不断な性格も相まって大分長いこと答えは待たせてしまったけれど。
    僕が三郎と恋人になると言った時、三郎は最初こそ驚いて、本当にいいのか?なんて慌てていたけれど、今では当たり前のように嬉しそうに僕に擦り寄ってくる。頬の緩んだその顔からはあまりに愛情が滲み出ていて、見るだけで恥ずかしくなってくるほどだ。まあ、嬉しいのは嬉しいんだけども。
    三郎は普段からスキンシップは多い方だ。それこそ友達の時から(もしかしたら、僕が好きだから自然と多くなっていたのかもしれないけど)結構絡んでくる方だった。恋人になった今、前以上にスキンシップを取りたがるのは自然なことかもしれない。
    僕たちはまだ身体の関係までは…いっていないけれど、手を繋いだり、抱きしめられたり、口付けをされたりはもう何度もしている。その度、照れ臭くてくすぐったいような、嬉しいのに逃げ出したくなるような不思議な感覚がして、なかなか慣れなかった。
    口付け以上のことをされないのは僕に気を遣っているのだと知っていたけれど、それ以外のスキンシップですら僕はまだうまく受け取ることができない。でもこれ以上気を遣わせるのもなあと思って、できるだけ三郎の好きにさせているつもりだった、けれど。

    チュ、チュ、と顔中に口付けの雨が降る。街に出て、どこで飲まされたのか明らかに酒に酔った三郎が帰ってきたのはつい先ほど。

    「雷蔵、かわいい、キスしたい、でも俺今酒臭いからなぁ…」

    可愛い可愛いと連呼しながら、頬やらおでこやら鼻やら瞼やら、触っていないところなんかないんじゃないかと思うほどいろんなところに口づけをされていく。ぎゅうっと抱きしめられて身動きも取りづらい。しかしかろうじて働いている理性が口には接吻しないようにと言っているようだ。酒臭いのを気にしているらしい。
    こんなに強引に(と言っても逃げられないわけではなく、僕は…)迫られるのは初めてで、僕はどうすべきか分からなくてされるがままになってしまった。
    これまでされてきたこと、口付けも、スキンシップも、もしかして随分我慢してあの頻度だったのだろうか。これだけ熱烈な口付けをしているのに、三郎はまだ満足いかないと言った顔をしている。僕はドキドキして顔から火が出そうだっていうのに。
    三郎は一旦僕の顔から離れると、胸に顔を擦り合わせてきた。すりすりと甘えて、ぎゅうと強く抱きしめる。少し苦しい。

    「雷蔵、好きだ。本当はもっといろんなことがしたい。舌を絡めて口付けしたいし、雷蔵の身体の、誰も触れたことがないところに触れたい。毎日愛を囁いて、雷蔵が俺のこと以外、考えられなくなってほしい」

    僕に言っているというよりも、ただ誰かに聞いてほしいというような言葉がぽつぽつと漏れる。僕が思っていたよりもずっと三郎が我慢してくれているんだということに、なんだかとても申し訳なくなった。そしてそれ以上に、そんな三郎のことがとても愛しく感じた。この気持ちを、僕も三郎に返してあげたい。
    三郎は僕の胸から顔をあげると、また顔を近づけてきた。そして耳にチュ、と口付ける。もとより敏感な場所な上に、口付けの音が身体に響いて思わず肩をすくめる。わ…っと小さく声を漏らした僕に、三郎はまたかわいいと言った。
    その愛しそうな顔に嬉しくなった僕は、三郎の顔をガシッと掴んで、その唇に口付けをした。

    「!!」

    三郎はどんな顔をしているんだろう。恥ずかしくて目を瞑った僕は三郎の表情がわからない。
    けれど三郎が喜んだことはわかった。三郎が同じように僕の顔をガッと掴んで、舌を絡めてきたから。

    「んん、ん、ふっ………」

    少し触れたら離れるつもりだった僕は、突然の深い口付けに混乱した。口内が熱い、息がうまく吸えない。酒の匂いが鼻をついて、なんだかふわふわする。それでも三郎の情熱的な愛を全て注がれているような口付けに応えようと、僕は必死に口を開けて三郎を受け入れた。
    息継ぎの度に鼻の奥から抜けるような情けない声が漏れて、恥ずかしくてたまらない。でも一瞬だけ目を開けた時に見えた三郎の瞳に興奮と愛情の色が見えて、羞恥よりも愛しさの方が上回った。
    実際の時間はどれくらいだったのか、僕にはとても長く感じられた口付けが終わって三郎が口を離すと、僕らの口の間には涎が糸を引いた。それが今の口付けの深さを物語っているようで、僕は正気に戻って俯いてしまった。

    「気持ちよかった?」

    三郎が俯いた僕の顎をぐいっとあげて、目を合わせて聞く。気持ちよかった、のだろうか。正直少し苦しかったし、酒の匂いに酔ったところもあった。三郎に応えようと必死だったので、自分がどうというのはあまり考えていなかった。

    「わ…わからない」
    「え」
    「でも、三郎の事好きだなあとは、思ったというか。その、嬉しくはあったよ」

    しどろもどろ答えると、三郎は嬉しそうに笑った。

    「雷蔵が好きすぎて、そろそろ我慢の限界になってきたよ」
    「…なんか、色々我慢させちゃってて、悪いね」
    「そろそろ抱かれる覚悟、決めてくれないか」

    …僕がそれになんて答えるのか、三郎はわかっているようだった。それでも僕の言葉をちゃんと待ってくれる。自分の言葉で言うのを。
    僕の答えはもう、決まっている。
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