誰かに追われて、撒ける場所を探していると
大通りの端の方に一見、人っ子一人居ない古本屋があり
そこに駆け込むと店内はあまり広くなくて
隠れる場所がなく引き返そうとすると
平凡そうな緑のパーカーの青年とぶつかってしまい、尻もちをついてしまう
青年が心配して、手を差し伸べると
店の入口にバットやバールを持った、数十人の追っ手が行く手を塞いでいた
追い詰められ、ジリジリと距離を詰める追っ手に腰を抜かしていると
緑パーカーの青年は慣れているような様子で溜息をつく

『おいトード！起きろよ！』

青年は奥の小部屋に向けて声をかけると
小部屋から目つきの悪い赤いパーカーの青年がのっそり現れた

『んだよ…人が気持ちよく寝てたっつーのに…』

『トードの出番だ、結構な人数が居るから試し撃ちに丁度いいんじゃないか？』

緑パーカーの青年は、不機嫌そうな赤いパーカーのトードという青年に臆することなく追っ手の説明する

『へえ、この間手に入れた銃を試してみたかったんだよな』

挑発するように目を細めてニヤリと笑いながら、追っ手との距離を詰めていくトード

『トード！喧嘩してもいいけど外でやれよ！後片付け面倒だから！』

緑パーカーの青年は自分を隠すように立ち、トードという青年の心配より建物の心配をしている
追っ手たちは大人数でトードを囲み、中心にいた男が金属バットで殴り掛かる
彼は、振り下ろされた金属バットをよけて
目の前にいた男を殴り、金属バットを奪い取り投げ捨てる
驚いた男の仲間達が一斉に、武器を振り上げ襲いかかるが
トードは次々と攻撃をかわし、銃で返り討ちにしてゆく
殴られて倒れていた男が、落ちていた金属バットを拾い後ろから殴ろうとすると
トードは銃を向け、そのまま急所を撃ち抜く
目の前で力無く倒れる男を蹴り飛ばし
次々と追っ手たちを薙ぎ倒してゆく
流れるようなトードの動きを、釘付けになって見ていると

『今のうちに家に隠れようぜ、立てるか？』

そう言って、緑パーカーの青年が再度手を差し伸べた
彼の手を借りて立ち上がると、手を引かれて一軒家に案内される
扉を閉め、あんな大人数相手に彼は大丈夫なのかと青年に問うと
緑パーカーの彼は軽く笑って説明する

『ああ、トードなら強いし大丈夫だよ、よくあることだし』
『むしろ銃を持って戦うのが趣味みたいなもんだからな』

リビングに入り、ソファに座って待っててと彼に促される
落ち着かず、彼がコーラを用意してくれてるのを見ていると、家の扉が開き
点々と血濡れになっているトードが戻ってきた

『あーつまんねえ、もっと強いやつ呼べよエッド』
『なんで俺がお前のために、わざわざ強いヤツを連れてこなきゃいけないんだよ』

気だるそうに向かい側のソファに寝転がるトードの無茶ぶりに、
エッドという青年がコーラを出しながら反論する
出されたコーラをいただくと、エッドがトードの血濡れた姿をみて顔をしかめる

『うわ、トード返り血すげえな』
『アイツら弱かったし、てか元々赤いだろ』
『いや着替えろよ、ソファに付くだろ』

パーカーの返り血を気にすることもなく、ソファを陣取り横になるトード
エッドは諦めたのか自分の隣に座り、話しかける

『とりあえずアイツらは大丈夫みたいだ』

そう言ってエッドは笑う

『少しここで落ち着いていってもいいから』