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    mkz_0503

    @mkz_0503

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    ※mrfs兄弟しか話しません(会話文多め)
    ※死ネタ
    ※そしかい後
    ※深いことは考えずゆるっと読んでください

    良い夢を「……景光なのか?」



    とうの昔に定年退職してそこから落ちていった視力だというのに死んだはずの弟だけがやけにはっきり見えることに目を見開く。警察学校を卒業するときに貰った写真より幾分か大人びてはいるが柔らかく微笑む姿は小学生の頃と変わらない。無意識のうちに手を伸ばそうとするが腕が上がらない。そうだ、自分はもう先がないと他人事のように思い出す。




    「兄さん久しぶり。…ちゃんとおじいさんになれたんだね」


    「…あぁ、歳を取ると大変なことばかり増えたがな」


    「そっか…でも今の姿の方が口髭よく似合ってるよ。サンタクロースみたいに真っ白だけど」





    そう言っていたずらっ子のように笑う景光。不服そうにするとごめんごめん、と眉を下げて謝られるからこれ以上怒るに怒れない。姿は見慣れないが昔と何一つ変わっていなかった。そんな時ふと思いつく。





    「…景光が見えているということは私はもうすぐそちらにいくのか?」


    「随分と急だなぁ…でもそうだよ、ある意味オレが迎えに来た感じかな」


    「そうか」


    「……怖くはないの兄さん?」


    「これ以上は生きれないことは分かっていたからな、驚くこともない」


    「もー…最後まで変わらないな兄さんは」





    急な質問にも少し寂しそうに目を細めて答えてくれた景光。当たり前というように目を閉じる自分に苦笑い混じりで言った言葉は呆れもなく温かい。





    「でも折角会えたんだ、色々と聞いてもいいか景光?」


    「うん、いいよ。」






    頷いてくれた弟を見て少し思案する。いつまでこの状態が保つか分からない。山ほど聞きたいことはあるが今聞きたいことに要点を絞って3つにまとめる。最初に聞きたいのは家族のこと。






    「父さんと母さんはどうしているんだ…?」


    「死んでからずっと見守っててくれてたみたい、今もね。オレが逝ってしまったときは2人して泣きながらよく頑張ったねって沢山褒めて撫で回されてつい貰い泣きしちゃったな。」


    「今も…」


    「そう、大人になった今でもずっと見守っててくれてたよ。」





    思い出せるのは自分が生きてきた中でほんの一瞬の出来事だけだが簡単に想像できてしまう姿に頬が緩んでしまう。聞きたいことはあと2つ。その一つはあの幼い頃から知っていた2人。




    「敢助くんと由衣さんはどうしてるんだ、元気にしてるのか?」


    「うん、元気にしてるよ。1番危なっかしい兄さんを置いてきてしまって最初は慌ててたけど途中からスポーツ応援みたいに兄さんの警察の仕事を見守ってたかな。こっちに来たらすぐ半殺し食わせてやるって2人して毎日せっせと作ってたよ。」


    「…変わりませんね2人とも。その話を聞いてると久しぶりに食べたくなってきたな…逝けたら顔でも見せてあげましょうか。」


    「その方がいいと思うよ。大事な親友を持ててよかったね兄さん」





    楽しそうに話してはそう言って締め括られてしまい"敢助くんとは腐れ縁なだけです"と頬を膨らませるとわかったわかった、と宥められる。そしてあと一つ。最後は弟の大切な……







    「零くんは…近くに居るのはなんとなく分かるが体がもう限界なのか視界がぼやけててよく見えないんだ。声も遠い。」


    「零はね……兄さんが入院してから毎日お見舞いに来てたよ。今は兄さんの側に居て泣くのを必死に我慢してる。笑った顔で見送ってあげたいんだと思うんだけどそれのせいでしわくちゃになってていつもの童顔が年相応みたいになってるよ。」


    「……そうか、1人にしてしまうのは心苦しいが…」


    「その気持ちは分かるよ。でも酷なことを言うと零ならあと20年は生きれるんじゃないかな。誰よりも頑張り屋さんだから…十分だって言ってもそれ以上に頑張っちゃうからね。」


    「……」


    「大丈夫だよ兄さん、零ならオレ達から沢山力をあげたし側に居る。みんな死んでもヤンチャ盛りみたいで色々な楽しい迎え方考えてる…けど結局泣きながら髪の毛ぐしゃぐしゃになるまで零のこと撫で回すだろうね。」






    ふふ、と楽しそうに笑う景光に先程までの不安が少し和らぐ。同期の4人が居ればたとえすぐ側に居られなかったとしても彼なら大丈夫だろうと。







    「そうだ、聞くのを忘れるところだった。兄さんはどういう風に迎えられたい?」


    「……久しぶりに父さんと母さんに褒められて頭を撫でて貰いたいな…と言ってもこの体じゃおかしな光景になってしまうか」


    「…いや、生きていた姿ならいつのでもなれるよ。オレはこの歳までしか生きれなかったからおじいさんにはなれないけどほら、子供の姿なら」






    そう言って自分が瞬きをしている一瞬で景光の姿が大人の姿から小学生の頃のあどけない姿に変わる。くるっとその場で一回転してはにぱっと人懐っこい笑顔を浮かべて。





    「その姿で抵抗があるなら兄さんも中学生の頃の姿に戻ればいいと思うよ。…なんかその姿想像してるとオレも久しぶりに父さんと母さんに抱っこしてもらいたくなったかも。もちろん、兄さんにもね」


    「あぁ、あの頃の景光はとても軽かったからな。おんぶでも抱っこでもしようか。」


    「ありがとう兄さん。…それとこっちに来たらさ、2人で長野にいた頃のように手繋いで父さんと母さんの元に行こうよ。あの日最後まで食べれなかったご飯も今度は3人じゃなくて4人で食べよう。味はしないけどきっと美味しいと思うんだ。」


    「……そう…だ…な………」







    そこまで話すと不意に眠気が襲ってくる。さっきまで普通に見えてた弟の姿も段々とぼやけていってしまう。









    「……そろそろみたいだね。でも大丈夫兄さん、また会えるからそれまではゆっくりおやすみ…良い夢を」
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