吸血鬼な兄をお世話する弟ペタペタと廊下に響くスリッパの音_景光は兄である高明を起こすために部屋へと向かっていた。そっーと開けた扉の先には呼吸によって規則的に浮き沈みする毛布。その中で兄は眠っている。最初はぽんぽんと優しく毛布越しに叩いてみるが案の定起きない兄。声を掛けても反応なし。ここまではまだ想定内。吸血鬼である兄は朝が弱いのだ。ふわふわの毛布を剥がそうとするともぞもぞと動き引っ張り返して毛布に顔を埋める姿は可愛らしい。いつもの凛とした姿の面影がないぐらい子供っぽいことをする兄につい頬が緩んでしまうが朝ご飯は食べて貰わないといけない。吸血鬼であるが故に日光浴や外で遊ぶことも簡単ではない兄にはしっかりとご飯を食べて健康でいてもらわないと…それにこのままでは折角作ったご飯が冷めてしまうので半ば強引に毛布を剥がす。それによって肌寒くなったのか宙に手を伸ばすも毛布は剥がしてしまったので掴めない。そこでようやく半ば不機嫌そうに兄が目をうっすらと開ける。
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