老獪偶人(ろうかいぐうじん)My設定が入るんだけれど、ボクオーンは人間時代だった時の自分と瓜二つの人形を持っていると思うの。
で、ある時どういうわけだか、その人形に皇位が継承されてしまった。
部下から人形が動き出したと連絡を受けたボクオーンが様子を見に行くと、不自然な動きだが確かに歩いていた。
だがコッペリアと違い魂が宿っていないため、自らの意思は無さげである。
これを見てボクオーンは、とんでもない悪知恵を働かせた。
なんと人形と合体する奥義を使い中に入り込み、正体を隠して帝国へ出向き、継承者として名乗り出たのである。
七英雄の野望を邪魔する帝国を利用するか滅ぼすか、そのどちらかの目的で。
……で、ここからシリアル展開とシリアス展開の二パターン考えまして。
シリアル……つまりギャグパターンは、なんと帝国は前皇帝(誰かは知らない)の仕業で既にボロボロ状態!!
利用するには疲弊し過ぎて使えず、滅ぼすのは正直このまま放置していれば良いんじゃね?な具合な有り様に、ボクオーンお口あんぐり。
ある程度復興させて、希望を見出ださせてから地面に叩き落として絶望させてやろうと考え、ボクオーンによるアバロン再興計画が発動した!!
で、途中で絆されたりなんやかんやあるパターンになり、多分和睦になる。
一緒に大神官の行方探してひと狩りいこうぜ出来るよ、やったね!!
そして、シリアスパターン。
こっちは完全に咲かせましょうぜ悪の華って感じ。
私の大好きなヴァイカーがめちゃくちゃ活躍する。
推しは都合良く活躍させこそなんぼです。
最初こそ誠心誠意国に尽くす新たな皇帝の姿を見せ、ある程度の信頼を勝ち得るボクオーン。
この世界ではまだ運河要塞が攻略されておらず、私が何とかしましょうとボクオーンはヴィクトール運河へ。
門の前まではお供を連れて行くが、ここからは一人で行きますと無謀な事を言い出す。
もちろん反対されるが、力では解決しない(実際歴代皇帝の中に門に挑んで敗れていた者がいた記憶があった)、話し合いで解決してみせると説得。
門を護る兵士達にも争うつもりは無い意思を伝え、この要塞を護るリーダーに会わせてほしいと交渉。
やり取りの結果、見張りつきで皇帝一人のみならばと、対面を許可させる。
敵に囲まれながら進むボクオーン。
やがて、運河要塞を守護するヴァイカーのいる部屋へたどり着く。
最初ヴァイカーはゲームの様な高圧的な感じで接してくるのだが、ボクオーンの仕草や話し方、含みのある言葉に違和感を覚え、相手の正体に気づく。
部下達を下がらせ人払いをさせ二人きりになり、ヴァイカーは皇帝ボクオーンに跪く。
「わしの正体に気づくとは……さすがじゃのう」
それまでの丁寧な口調を崩し、老人の様な話し方で素を出すボクオーン。
「ここまでの非礼、お許しください」
「構わぬ、お主の対応で逆に他の者から信頼が得られた」
ボクオーンはヴァイカーを立たせ、これから行おうとしている計画を話した。
その内容はとても規模が大きく、そしてヴァイカーにかなりの負担を負わせるものであったのだが。
「やってくれるな?ヴァイカー」
「当然です。
このヴァイカー、身も心も全てボクオーン様に捧げております。
如何様にも、お使いください」
「それでこそ、我が片腕よ」
くくく……と悪い笑みを浮かべるボクオーン。
その後、『説得に成功した』ボクオーンは仲間の元に戻る。
『説得を受けた』ヴァイカーから、一旦我が主に確認を取るので時間がほしいと言われたという事で、一旦アバロンへ帰る。
それからしばらくして、アバロンはモンスターの襲撃を受ける。
正面の門からだけでなく、下水道からも攻めて来られもう大パニック。
モンスターを先導して攻めてきたのは、ヴァイカーだった。
運河要塞の門の守備は強固。だが護りが強いからといって攻める能力も高いとは限らない。
実際今まであちらから攻めてくる様子は一度もなかった。だから、完全に油断していたのだ。
帝国兵は応戦するも、凶悪なリザードやパイロレクス等が縦横無尽に暴れまわり大苦戦。
やがて対峙する、現アバロン皇帝ボクオーンと侵入者ヴァイカー。
ヴァイカーは一騎討ちを申し込み、皇帝はそれに応え武器を構える。
そして始まる激戦。
拮抗していたが、徐々に皇帝が圧されていき……
武器を弾き飛ばされ一撃を受け、片ひざをついたのは皇帝であった。
「この程度の力で皇帝か!!我が主ボクオーン様の足元にも及ばないな!!」
ヴァイカーはそのまま逃げ遅れていた臣下達や民にモンスターをけしかけようとした。
「待ちなさい!!彼らに手出しはさせません!!」
立ち上がり、よろけながらもヴァイカーと人々の間に入り込む皇帝。
「退け、敗北した貴様に価値はない。
後にボクオーン様への土産として、首を持っていってやる。
そこで大人しく帝国が滅ぶ様を眺めているが良い」
「させません……実力が伴わなくとも、私は皇帝。
最期まで、この国を護る義務がある、退くわけにはいかないのです」
緊迫した空気がしばし流れ、やがてヴァイカーは皇帝に近づき胸ぐらを掴み上げその顔を覗き込む。
そのままにらみ合いが続き……
ヴァイカーは一つ提案した。
帝国の支配権を自分に譲れ、そうすれば民の命は保証しようと。
そんな要求は到底受け入れられないと拒否する皇帝に、ならば滅びを受け入れろと地面に投げ捨てるヴァイカー。
モンスターに指示を出そうとするヴァイカーの足に皇帝はすがりつき阻止、そして。
やむを得ないと、その要求を受け入れた。
こうしてアバロンは七英雄が一人、ボクオーンの片腕であるヴァイカーの手に堕ちた。
町はヴァイカーの手下とモンスターが道を闊歩し、人々は命こそ奪われないものの日々を恐れながら生きる事を強いられた。
皇帝は人質として兵士、臣下が追い払われた城に囚われ、国を護れなかった罪悪感にさいなまされているという……
と、人々に思われているが、実際は。
「よくやった、ヴァイカー。素晴らしい働きであったぞ」
「はっ身に余る光栄です」
人目が無くなった、かつての皇帝が囚われている薄暗い部屋。(牢屋ではない)
優雅に椅子に腰かけている没落した皇帝であるボクオーンは、目の前で跪いている帝国の主となったヴァイカーを称賛していた。
そう、全ては『強大な力を持つ七英雄の手下に力及ばず破れた継承の力を持つ皇帝』の姿を、人々の目に焼きつけるための壮大なやらせであった。
世間を騒がしている七英雄。彼らと対抗できるのは継承の力を受け継ぐアバロン皇帝のみ。
そんな人々の希望を打ち砕き、七英雄の邪魔をしようと考える者を排除するため。
そして、自身がアバロン皇帝のままで生きながらえ次の皇帝を生み出さない様にする為の茶番劇を、二人で演じたのであった。
(普通に生きればずっと不老不死のボクオーンは怪しまれるが、七英雄の手下によって謎の力により永遠に生かされ続けている……みたいにすれば、如何様にも誤魔化せるのだ)
表向きはヴァイカーが、裏ではボクオーンが帝国を支配する。
七英雄が目的を果たしこの次元を立ち去るまで、アバロンの日は沈められたままとなる。