裏口ハッピーエンド③出会って数年だが虎杖悠仁という人間を一言で表すなら『人たらしの圧倒的善人』だと断言出来る程その善性は確かな物だと思っている。
その虎杖に最近恋人が出来た。
「同性だから反対されるかもだけど伏黒にはどうしても言っておきたくて」
そう照れながら言った虎杖はとても幸せそうで、天涯孤独な身の上の虎杖に大切な存在が出来た事に俺はとても喜んだ。
だけど懸念事項が一点あった。
相手は男で、年上で、偶然出会って運命だとのたまう頭のおかしい奴で、世間一般的に整った顔をして大企業の代表という出来過ぎた人間だ。
だけどそれではなくて、
「虎杖、お前一年位前にセミナーで一目惚れして運命の人に出会ったって言ってたよな」
「そんな事言ったっけ」
虎杖がケラケラと笑う。大学の食堂はいつも通り賑わっているのに周りの声がどこか遠く聞こえ自分の心臓の音がうるさい位響いた。
「それから話題にしなかったから上手く行かなかったんだと思って聞かなかった」
「……」
「そのセミナーに居た学生だと思ってたんだが、そのセミナーの講師って五条悟だったよな」
「んー……そうだっけ?良く覚えてねぇや」
「……なぁ、虎杖。それは本当に運命なのか?」
「ねぇ、伏黒。終わり良ければ全て良しなんだって」
そう言って微笑んだ虎杖は俺の知らない表情をしていて、それは、それはまるで、