魔法少年と悪の参謀が恋に落ちる確率は限りなくゼロに近いけれどゼロではないのならば、それは、 侵略、搾取、蹂躙、この世の悪の限りを尽くし生きて来た。そしてこれからもそうするつもりだった。それ以外の生き方を知らないのだそれは仕方ない。今日も自分とは縁もゆかりもない土地に降り立ち、どうこの地を攻めるか考えていると後ろから足音が聞こえて来た。
「悪の組織め! 今日こそ容赦しないぞ!」
そこに現れたのは何度も相対している、こちらの野望を阻止せんとする存在、いわゆる魔法少女――目の前の自分より幾分小さい存在はどこからどう見ても男の子だからこの場合は『魔法少年』だろうか。何度力の差を感じても懲りないのか、と呆れてしまう。今日こそは永遠に自分の目の前から退場頂こう、そう思って罵詈雑言でも浴びせるかと口を開く。
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