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    murasaki9721

    @murasaki9721

    シェイクスピアを愛でるもの

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    murasaki9721

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    うお〜!!!
    仄暗いK龍プロポーズです
    人類愛の話かも、CP要素は少ないです

    Twitterでつぶやいたネタとかポイピクに投げたメモとか、いつかまとめたいな

    ##K2

    椅子取りゲームは終わっている「この村と、Kの一族について話そう」

    ダイニングテーブルには今日も6つの椅子が綺麗に並べられていた。龍太郎と一人は向かい合う形でその椅子に座る。
    「はあ……村と、けーの一族……」
    龍太郎の頭には「冥土の土産だ、教えてやろう」と魔王が演説している映像が流れていた。

    前々から変な村だとは思っていた。深く知ろうとしなかったのは、単に「なにも知らない研修医」というポジションが楽だったからで、決して配慮などではない。

    全て聞いたあとに龍太郎の口から出たのは「そうなんスね」という呆けた言葉だけだった。目の前の上司も不真面目な返事だと思ったのか、若干眉を顰めている。

    「お前がこれを聞いて、この診療所から出るというのなら止めない」
    「……?」
    「ただこのことを話したのは村の皆の意見もあって……」
    「はあ……」
    「聞いているのか」
    「え、あ、はい。聞いてます」
    お互いなぜか気まずい空気が流れる。なんなんだ、本当に。
    「……なんとも、思わないのか」
    「えっと、……どっひゃ〜!そんなことが……あ、スミマセンスミマセン」
    いよいよピキッという音が聞こえてきたので、居住まいを正して龍太郎は一人と真正面から向き合う。

    「だって、みんな頑張ってたんスよね。まあ確かに法律的には……かなり危ないっスけど……。その頑張りを、オレがどうこう言う方が失礼じゃないっスか」
    「……頑張り、か」
    「ああでも」
    「なんだ」
    「授け手の皆さんがどんな人だったか教えてくださいよ」
    「……」
    「オレ、お墓参りぐらいしか出来ないんで」

    そう言うと、机に置いていた手をガッと掴まれた。驚いて変な声が出たが、咎められることはなかった。

    「ヒッ……せ、せんせえ?かずとせんせ?なんかオレ、変なこと言いましたか?」
    「ずっとこの村にいてくれ」
    「…………は?」

    「お前の人生を決めることは誰にもできない。だから、これは俺のわがままだ。さっきも言ったがこの村を出るなら止めない。だが、頼む」
    「…………」

    ずいぶんズルいことを言う人だ、と龍太郎は一人の伏せられた顔を見ながら思った。精一杯こちらに寄り添っているつもりなのだろう。

    「……オレ、お墓参りはしても、違法な手術なんてしませんから」
    「それでいい」
    「あと貯め?だって。そもそも献血出来ませんし、オレ」
    「ああ」
    「ちゃんと妊婦さんたちにも許可とりますから。カルテも……」
    「ありがとう」
    「なんでお礼言うんスか……」

    どうか「今言ったことは全部忘れろ」と言ってくれ。

    断っても承諾しても、オレの居場所がなくなることをわかっているのか?
    いや、きっとわかっていない。

    「なにも知らない研修医」というポジションは今奪われた。そして「高品龍一の息子」という立場は自ら捨てろというのか。
    代わりになにが残る?「この村の医者」は先生、じゃあ「先生の弟子」?

    (いや……)
    自分が今使っている部屋は、そもそも他の弟子のものだ。

    6つの椅子は今日も綺麗に並んでいる。
    そこに自分の席はない。
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