赤い実が育つまで最近どうも息が苦しい。
「なんか息苦しいな」
そう呟けば、隣を歩く万斉も首を縦に降った。
「確かに息苦しそうでござるな」
「季節の変わり目だからかな」
「風邪引かんようにな」
「うん」
そんな会話をしたのが先週の話。
俺は今、布団の上で蹲っていた。
起き抜けにスマホを見ようとしたところで体に激痛が走り、上手く息が吸えなくなったのだ。ゴホリと空咳を吐いては背を丸めて息を吸う。それを何度か繰り返した所で万斉から着信があった。
俺は息も絶え絶えにスマホの通話ボタンを押した。
すると心配そうな万斉の声がスピーカーから漏れる。
「退、もうすぐ始業の時間でござるが、大丈夫か」
「ぁ、ば、んさい、げほっ」
声を上げようにも咳が邪魔して言葉を上手く発せないのだ。
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