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    ebi_soujiro

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    ebi_soujiro

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    893🔶DK🐳
    この後セッ…するし、躾と称して🐳に56しさせたり、デロデロに甘やかして飴と鞭を上手く使い分けて懐柔させていくメリバみたいな続きが頭の中にはあるけど一生書き終わらない。

    人間って奴は想像を越える事態に遭遇すると何も出来なくなるんだな、って今日初めて知った。
    高そうなスーツに身を包み、これまた高そうな腕時計をちらつかせる目の前の美丈夫は至極不機嫌そうに俺んちのソファーに腰かけている。不似合いすぎる。俺はというと、正座で俯いてこの美丈夫に旋毛を見せつけることしかできない。

    「学校は楽しかったか?」
    「………………いや、あの…」
    「チッ」
    「………」

    舌打ち一つが怖すぎんだろ!学校は楽しかったか?とかあんた親戚のおじさん?なに!?楽しかったとか答えればよかったの!?何で俺舌打ちされたの!?
    もう泣きそう。学校から帰ってきたらこんな黒ずくめの男たちが家を占拠してるとか思わないじゃん。玄関の扉に「売却済み」って貼り紙あるのとかそんなんフィクションの世界だけかと思ってたし、何ならこれ自分ちじゃないかもとか思うじゃん。呆然としてたら玄関から黒ずくめの男出て来て、ずるずる引きずられて、人んちのソファー(売却済み)にドカッと座る美丈夫の目の前に連れてこられたら、そりゃ誰でも泣きそうになるだろ。お綺麗な顔してるけど、どう考えてもヤクザだろ、こいつ。しかも両脇に二人はべらせてるんだから、絶対偉い人。何?俺んち、何したの?

    「アヤックス、今の状況が分からないようだな?」

    げ~、身バレしてる~!そりゃそうか。差し押さえにきてるんだし。何処か他人事で、そりゃ泣きそうではあるんだけど、フカンしてるっていうか。ボケっとしてる俺に美丈夫はあろうことか踵落としをお見舞いしてきた。踵落としなんか初めてされたもんだから受け身なんて当然出来なくて、景気の良い音を立てて床に思い切り打ち付けた。額と鼻がじんじんと熱を持ち、どろりとした感覚があるから多分鼻血が出ているんだろう。視界なんか眩暈のように回って、明暗が混濁し、点滅している。

    「お前は売られたんだ。自覚しろ」

    売ら…れ、た…?売られた?売られた!?

    「誰に!?」
    「両親に決まっているだろう」
    「マジか………」

    頭に美丈夫の足を乗せながら、勢いよく頭を上げた俺に少し目を見開いて驚いていたけど、俺としては美丈夫の反応なんてどうでもいい。売られた!?両親に!?確かにあいつらギャンブル好きではあったけど衣食住はしっかりしてたし、ちゃんと働いていた…かはちょっと怪しい。そういえばあの人たちが何の仕事してるか知らない。でも、小遣いは毎月くれたから何とも思ってなかった。まさかヤクザから金を借りて生活してたってこと!?それで借金返せなくなって、家と財産を売ってもまだ足りないから息子の俺までも売ったと。ははーん、なるほど。なるほど。
    ………状況を理解した瞬間、ドッと汗が噴き出す。手足まで震えてきたし、鼻血は止まらないし、なんだこれ。

    「ははっ。今頃恐怖したのか?」
    「うぐっ」

    器用に爪先で俺の顎を持ち上げる美丈夫。お高そうな革靴に俺の鼻血が着いても顔色一つ変えない、黄金の瞳が俺を射抜く。

    「ふむ、可愛い顔をしているな?」
    「………う、」
    「お前に残された道は3つある。若いからな、臓器は高く売れるだろう。」
    「ぞっ!?」
    「男娼として稼ぐ手もある。お前なら客もつくだろう。稼ぎは全て返済へと当てさせてもらうがな。まあ、死ぬまでには返し終わるだろう」
    「………」

    は?こいつの提案クソばかりか?臓器売るとか「はい、死にます」って言ってるもんじゃないか。男娼とか意味分かんないし。おっさんに尻差し出せって?ありえないだろ。しかも死ぬまでって俺がじじいになったら人身売買して殺すってことじゃないの?どっちも死ぬじゃん!嫌すぎる…18年しか生きてないのに死にたくない!

    「おっ、俺!大学行かないで働くんで!人身売買も男娼もどっちもーーぐっ!」
    「俺がいつ喋って良いと言った?」
    「~~っ、」

    こいつ蹴りやがった!俺の顎を持ち上げてる爪先を離して、側面で俺の頬をサッカーボールよろしく蹴りやがった。舌は噛んでいないけど、頬粘膜を噛んでしまったのか奥歯が折れてるのか、口腔内に鉄の味が広がる。噛み千切ってはいない、けど、滅茶苦茶痛い。鼻からも口からも血をだらだら流し続ける俺は滑稽なのだろうか。生理的な涙を流しながら美丈夫をちらりと見ると、うっすら笑っている。

    「人の話は最後まで聞くんだ、アヤックス」

    歯を噛み締めながら、こくり、と頷く。下手に喋って蹴りが飛んできたらたまったものじゃない。出来れば、痛いのは回避したい。

    「俺としては最後の選択肢が一番良いとは思うんだが、」
    「…?」
    「俺の女になるんだ」

    お、んな…?俺の女ってなんだ?俺、男だけど?俺の女って何するの?
    要領を得ず、目を丸くする俺に美丈夫は口角を少し上げながら話始めた。

    「俺は自分の女には優しいぞ。多少自分好みには矯正するが、お前の意思を通そう。可愛がってやる。お前は器用良しと聞いたからな、たまに仕事を手伝ってもらうかもしれないが。ああ、衣食住はちゃんとしている。俺の言うことを聞いたら小遣いもやるかもな。どうだ?」
    「やっ、やります!なります!あんたの女に!」

    即決だった。人身売買と男娼よりマシだ。こいつの女がなんなのかは話を聞いてもピンとこないが、優しくしてくれて衣食住きちんとしているならそれが良い。これ一択だろ!

    「そうか。では、契約をしよう。これにサインしてくれ。拇印は…お前の口から出てる血で良い。一度契約すれば反故にすることは許さん。その時は死をもって償ってもらうからな」
    「わ、わかった!わかりました!」

    契約書なんか碌に読まずに名前をサインし、その横に口元の血を拭った親指を押し付ける。
    契約書を受け取った美丈夫は、それに目を通したあと、俺の頭を撫でながら微笑んだ。

    「契約成立だ、アヤックス」
    「ぁ、」
    「自己紹介がまだだったな。璃月組の組長、鍾離だ。好きに呼ぶといい」
    「あ、アヤックス…です………」
    「ん」

    自己紹介に釣られて知っているであろう(ていうか既に何回か名前呼ばれてるし)自己紹介をすると、美丈夫もとい鍾離は慈しむ様に微笑み、腫れ物に触るように俺の髪を撫でる。「俺の女」に優しいのは本当だったんだ。緊張が溶けたのか、疲れた。帰りたい。いや、帰る家無くなったんだ。

    「アヤックス」
    「は、い?」

    撫でるのを辞めたかと思うと、眼前に足を向けられる。散々俺を蹴っていた右足。黒い革靴だから解りづらいけど、俺の鼻血が着いている。

    「舐めろ」
    「え、」

    舐めろ?靴を?確かに外なんか歩いてませんってくらい綺麗だけど、所詮靴だ。舐めることなんか絶対嫌だ。

    「お前が汚したんだ。舐めて綺麗にしろ」
    「ぁ…えっ、と………」

    ちらりと鍾離の両脇に立っている部下であろう男二人に視線を向けた。一人は呆れたように俺を哀れんでいて、一人は口角を引き上げて苦笑している。あ、れ…?鍾離の言う「俺の女」って、

    「どうした?俺の女なら出来るだろう?」

    やっと止まった震えがまたぶり返してきた。呼吸も上手く出来なくて心臓が煩い。

    「アヤックス、蹴られたいのか?」

    ぶんぶん首を横に振って必死に否定する。こいつは言った。俺の女には優しいけれど好みに矯正はすると。それって、事実上鍾離専用の奴隷にするってことじゃないか。間違った、選択を間違った。いや、違う、最初から俺にはこの選択しかなかったんだ。
    靴なんか舐めたくない。けれど、鍾離の蹴りは靴に鉛でも入れてんのかと思うぐらい痛い。頭がガンガンするし、靴を舐めて回避出来るなら…。何より鍾離の俺を見る目が、冷たくて、怖い。
    恐る恐る足元に近付き、舌を出す。意を決して、ちろりと舐めれば、革靴独特の味と血の味が口に広がる。ぶっちゃけ吐きそうだ。けれど、ここで吐いたら絶対蹴りが飛んでくる。

    「…そういえば口腔内が切れていたか。汚れが酷くなったぞ、アヤックス?」
    「!」

    確かに舌に付着していた血が靴に着いていた。けれど酷くなったぞと言われても、今少し舐めただけだ。現状は舐める前後でそこまで変わっていないだろ。ただ、この瞳に見られると本能が警告を鳴らして恐怖する。さながら蛇に睨まれた蛙のようだ。

    「まあ、最初から上手く出来るものではないからな。失敗は誰にでもある」
    「あ…、」
    「だが、次はないからな」
    「うぁ、は、はい…」

    喉が乾いて掠れた声になってしまった。そして次があることに怯える。なんで俺がこんな目に…。自分でいうのもなんだけど、成績優秀で先生や同級生にも好かれてたし悪行に手を染めたこともない滅茶苦茶親孝行者なんだけど。これが良く聞く親ガチャ失敗ってやつ?
    呆然とする俺なんかお構い無しに鍾離は「立て」とかいって、俺の腕を掴んで無理矢理立ち上がらせる。ご丁寧に俺がよろけないように腰まで掴んで。………いや、腰抱く必要無くないか?
    腰をぐっと引かれて、鍾離との顔の距離が近くなる。うわ、近くで見ると一層イケメンだな。何歳かわかんないけど、高校の制服とか着れそう~。それに対して俺は顔の下半分は血みどろだし、最悪だ。いや、まあ、この男のせいなんだけど。

    「鼻血は固まってきたな。口腔内はどうだ?」
    「あ、や………、よく、わかんない、です」
    「ふむ…。口を開けてみろ」
    「あ!?」

    開けてみろって言ったくせに指突っ込んできて無理矢理開口させられた!なんだこいつ!本当になに!?次は指舐めろとか言わないよね!?

    「頬粘膜が切れてるな。まだ出血しているがそのうち止まるだろう。歯は無事のようだ。よかったな」
    「…はぁ………」

    お前がやったんだろ!?何でそんな他人事なんだよ!?顎滅茶苦茶痛いんですけど!?文句は死ぬほど言いたいけど、暴力奮われたくないし怒られたくない。ちょっと冷静になってきたけど、そもそもヤクザに向かってタメ口きいてたのってかなりヤバくないか?今のところ許されてるけど。鍾離の顔を見ながら色々考え事をしていて俺はかなり変な顔をしていたのだろう。鍾離は「ああ、そうか」とか言い出して、俺の顎を掬う。そして、キスしてきた。

    ………………いやいやいや!は!?な、なに!?キス!?これキス!?え、全然離れない!?こいつびくともしないんだけど!?ていうか部下いるよね!?今どういう気持ちなの!?自分の上司が突然男子高校生とキスしてたらどういう気持ち!?さっきまで哀れみと呆れた瞳で俺を見ていた鍾離の部下たちは爪を弄ったりスマホを見たりして態度で「俺たちは何も見ていないし聞いていないが?」とか言わんばかりだ。何なんだこいつら!?
    鍾離のキスは何度も角度を変えてきてリップ音が室内に響いて恥ずかしい。遂には離れた隙に酸素を取り込もうと開いた口に舌まで突っ込んできてきやがった。歯列はなぞられるし、舌は絡んでくるし、切れてる頬粘膜までべろべろ弄ってくる。苦しいしなんかこいつのキス上手いし、なのに俺の頭はやけに冷静だし、反抗のつもりで力一杯鍾離の胸を叩くと唇が離れた。やっと息が吸える。

    「っはぁ!はぁ、はぁ、な、なんっ………!」
    「口付けが欲しかったんだろう?」
    「………は?」
    「言っただろう。お前の意思を通してやると」

    ふわり、と笑う鍾離を美人だな、と頭の片隅で思いながら理解不能の発言に口を開けて呆ける。口付けが欲しかったんだろう?欲しかったんだろう!?

    「欲しくなかったんだけど!?」
    「そうなのか?物欲しそうな顔をしていたから、てっきり」
    「………」

    て、天然なのか、こいつ?ちょっと可愛いじゃん…いやいや!絆されかけるな、俺!馬鹿か!?蹴って靴舐めさせてキスしてくる奴に絆されかけてどうすんの!?

    「ふむ、」
    「ぎゃっ!?」
    「少し痩せすぎではないか?もう少し肉をつけた方が俺好みだ。」

    突然尻を鷲掴みされて変な声出た。人の尻揉みながら変なこと言ってるし!何で鍾離の好みの尻にならなきゃいけないんだ?お前の好みなんかしらねぇ~!

    「これからここも使うのだからお互い骨が当たるのは痛いだろう?」

    ………使う?尻を?骨が当たる?なに?
    頭にクエスチョンマークを浮かべていると、バイブ音が響く。どうやら鍾離のスマホに着信が入ったらしい。鍾離は俺を離すとそのまま電話に出つつ、指先と口パクで部下に指示らしきものを出すと部屋の外に出ていった。

    「いや~~~お前馬鹿だな!」
    「…は?」
    「何で組長の女になるかな~いや、まあ、あの選択肢じゃ選ばざるおえないけどさー」
    「俺なら男娼になるな」
    「バッカ!お前なんかに客がつくかよ!」
    「だってやることなんか一緒じゃねーかよ。組長の女になった方が色々おまけが付くけどよ。」
    「有り難いおまけがな!」

    ぎゃはは!と笑う鍾離の部下。こいつらこんな喧しかったのか。硬派なのかと思ったら意外と軟派だ。鍾離がいたから黙っていたのか?いや、部下のことはいい。あの、ていうか、なんか、俺、もしかして、

    「煩いぞ、お前ら」
    「すみません!」
    「まあ、いい。アヤックス、帰るぞ」

    電話を終えて戻ってきた鍾離がまた俺の腰を抱いて引き寄せる。

    「あ、の、帰る…って?」
    「俺の家だが?お前は俺の女なのだから、俺と共にいるのは当たり前だろう」

    腰を抱かれたまま玄関へ行くと部下の一人が玄関のドアを開けて、もう一人は外に停めてある黒塗りの高そうな車のドアを開けて待機していた。俺は抵抗する間もなく(ていうか鍾離マジで力強すぎて俺の抵抗なんて空しいもの)、車に押し込められるように乗せられた。鍾離が乗り込むと、すぐに部下が助手席と運転席に乗り込み、平凡な住宅街に不釣り合いな黒塗りの高級車が発進する。そろり、とリアガラスを見ると近所のおばさんやおじさん数人が外壁の影から心配そうな顔で覗いていた。
    ああ、間違っていた。「俺の女」は奴隷なんかじゃない。冷静だと思っていたけれど、突然の事で頭がパニックになっていたみたいで全然働いてなかった。「俺の女」は言葉通りだ。鍾離の「女」だ。生物学的な性別は関係ない。男だろうと何だろうと鍾離の「女」として扱うと。だから腰を抱いたりキスしてきたり尻の具合を確かめていたんだ。靴を舐めさせたのは要は躾なんだろう。従順な奴が好みなのか?この関係は恋人のように甘くはないし、奴隷としては厳しくない。俺は自らの口で、態度で、全てで。それを望んだ。望んでしまった。望まされた。………はぁ、つまり、だ。俺は、鍾離の、

    「愛人ってやつじゃん………………」
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    ebi_soujiro

    MOURNING893🔶DK🐳
    この後セッ…するし、躾と称して🐳に56しさせたり、デロデロに甘やかして飴と鞭を上手く使い分けて懐柔させていくメリバみたいな続きが頭の中にはあるけど一生書き終わらない。
    人間って奴は想像を越える事態に遭遇すると何も出来なくなるんだな、って今日初めて知った。
    高そうなスーツに身を包み、これまた高そうな腕時計をちらつかせる目の前の美丈夫は至極不機嫌そうに俺んちのソファーに腰かけている。不似合いすぎる。俺はというと、正座で俯いてこの美丈夫に旋毛を見せつけることしかできない。

    「学校は楽しかったか?」
    「………………いや、あの…」
    「チッ」
    「………」

    舌打ち一つが怖すぎんだろ!学校は楽しかったか?とかあんた親戚のおじさん?なに!?楽しかったとか答えればよかったの!?何で俺舌打ちされたの!?
    もう泣きそう。学校から帰ってきたらこんな黒ずくめの男たちが家を占拠してるとか思わないじゃん。玄関の扉に「売却済み」って貼り紙あるのとかそんなんフィクションの世界だけかと思ってたし、何ならこれ自分ちじゃないかもとか思うじゃん。呆然としてたら玄関から黒ずくめの男出て来て、ずるずる引きずられて、人んちのソファー(売却済み)にドカッと座る美丈夫の目の前に連れてこられたら、そりゃ誰でも泣きそうになるだろ。お綺麗な顔してるけど、どう考えてもヤクザだろ、こいつ。しかも両脇に二人はべらせてるんだから、絶対偉い人。何?俺んち、何したの?
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